ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第41話:Special Skill Ⅱ
前書き
バイオレンを倒せるところまで追い詰めたエックスであったが…
ダメージから立ち直ったエックスは何とか立ち上がってカウンターハンター3人を睨み付ける。
「(相手は3体…バイオレンの実力は大体把握出来たが、アジール…特にサーゲスの実力は未知数だ…特殊武器を使って上手く立ち回る必要があるな…。)」
「エックスさん、バイオレンの主武装を破壊し、バイオレンを倒す寸前まで追い詰めたあなたの実力は評価に値しますよ。そしてあなたはバイオレンの弱点…パワーと装甲に重きを置いた結果、それなりの高度からの着地の際にその体重を支えられなくなり、一瞬足の機能が止まって無防備となるところを見抜いた。更にバイオレンのパワーを逆に利用して攻撃するとは流石です。どうやら流石の我々も1対1では分が悪いようですね」
「しかし、お主にも弱点はある。お主のダブルチャージショットは確かに強力じゃが、2発しか撃てんと言うことと、ダブルチャージショットを放つ際の反動で僅かな間だけ動けなくなるということじゃ」
サーゲスは用意した飛行ユニットに乗りながらエックスに向かって言い放つ。
「そう、つまり我々のうち2人は対処出来ても3人目には対処出来ないと言うわけです。さあ、エックスさん…どう戦います!?」
3人同時にエックスに襲い掛かってくる。
特にアジールの速度は凄まじく、一瞬エックスは対応が遅れてしまう。
「(速い!?)」
アジールのサーベルによる攻撃をギリギリのところでかわすものの、胸にX字の傷が出来る。
「ほう、避けましたか…」
「(何て速さだ!シグマに匹敵する…)」
現在のシグマの実力を知らないエックスは先の戦いのシグマが基準となっているが、それでも恐ろしい速度なのは変わらない。
「(このままではサーベルの餌食になる!!早く奴から離れ…)がっ!?」
全身に衝撃が走り、咄嗟に目を向けると指先のマシンガンでバイオレンが狙撃したようだ。
「しまった…敵は1人じゃなかったんだ…」
たたらを踏むエックスはいつの間にか仕掛けられていた地雷を踏んでしまい、爆発によって吹き飛ばされる。
「ふぉふぉふぉ!油断しとるとわしの地雷の餌食になるぞ」
「地雷と言うのは」
「こ・こう進むんだ・だな」
アジールは地雷をかわし、バイオレンは自分の装甲に物を言わせて地雷を構わずに踏みつけて強引に突破してくる。
「不味い、ラッシングバーナー!!」
このままでは集中攻撃を受けることになると判断したエックスはエアダッシュとチャージラッシングバーナーによる超加速で離脱した。
チャージラッシングバーナーは全身に炎を纏わせて敵に突撃する技なのだが、こういう風に回避と移動にも使える。
この技は全身に纏う炎を推進力にしているためにフットパーツのバーニアは関係ないのでそれにより特殊武器エネルギーを消費するものの、それに見合う超加速を使用出来る。
「ほう、武器をそのように使いますか」
「ふん、特殊武器を回避に使うとは忌々しい奴を思い出させるわい」
「に・逃がさないんだなぁ~っ!!」
エアダッシュとチャージラッシングバーナーの超加速はアジール達も驚かせたが、すぐに切り替えてエックスに向かってくる。
「(相手は3人…一番厄介なのは地雷を仕掛けて此方の機動力を削いでくるサーゲスだが…)」
取り敢えず広範囲への攻撃が可能な特殊武器を主体に攻めることにしたエックスはバスターを真上に掲げた。
「ソニックスライサー!!」
チャージソニックスライサーの無数の衝撃波の刃が3人に向けて降り注ぐ。
「シャアッ!!」
「き・効かないんだなぁ~っ!!」
「ぐはっ!?」
アジールはサーベルで衝撃波を防ぎ、バイオレンは衝撃波をものともしないが、小柄なサーゲスには堪えるのか苦悶の表情を浮かべた。
「(効いた…!!)あぐぅっ!!」
サーゲスにはダメージを与えられたが、アジールとバイオレンの攻撃を受けてしまう。
「(ま、不味い、離脱しなくては…)クリスタルハンター!!」
水晶振動波を増幅させ、周辺の時間流を鈍らせるチャージクリスタルハンターでアジール達の動きを鈍らせる。
エックスも動きは鈍くなるものの、アジール達程ではないためにエアダッシュで離脱した。
「逃げるしかないと言うのは少し情けないですよエックスさん!!」
「挑発に乗るか!スピンホイール!!」
広範囲攻撃を可能とし、高い貫通力を持つチャージスピンホイールで攻撃し、今度はバイオレンとアジールにもダメージを与えられたが、やはり数の差は大きいのか徐々にエックスは追い込まれていき、ラッシングバーナーとクリスタルハンターのエネルギーがゼロになる。
「クリスタルハンターとラッシングバーナーのエネルギーはゼロになったか…」
つまりこれで回避することは出来なくなった。
アジール達もそれなりにダメージはあるが、エックスのダメージはそれ以上だ。
「思った以上に足掻きましたがここまでのようですね」
「奴の忘れ形見ならもう少し足掻くと思ったがのう」
「そ・そうだ!か・賭けをするんだな。みんなで一斉攻撃して、と・とどめを刺した者が、か・勝ちなんだなぁ~」
「ふん、わしらがダブルチャージでやられた後にゆっくりとどめを刺すつもりじゃろ」
「ゲヘヘっ、ば・バレた~?」
「いや、面白いですね。バスターなど避ければ良いのですからね!やりましょう」
バイオレンの提案にアジールが乗ると、3人は少し離れた場所に立つ。
「賭けの道具になってもらいますよ…エックスさん」
「…良いだろう…俺は俺に賭けるがなっ!!」
両腕にエネルギーをチャージさせていくエックスにアジール達は嘲笑う。
「そうそう…精々抗って…下さい…よっ!!」
アジール達が3人同時にエックスに向かっていく。
「(攻撃の優先順位が高いのはアジールとサーゲスだ。まずこの2人を倒さなければ!!)ギガクラッシュ!!」
エックスが最初に繰り出したのはセカンドアーマーの切り札と呼べるギガクラッシュである。
エネルギー波がアジール達を飲み込むが、ダメージはあまり与えられていない。
「雑魚相手ならいざ知らず、我らがその程度の技で…やられると思ったのですか!?笑止せ・んば…ん!?」
エックスがギガクラッシュを放った本当の目的はアジール達へのダメージではない。
「(ア、アイセンサーがっ!!あまりの光量で…壊れた!?)」
エックスの狙いはアジール達の目潰しである。
そしてエックスの本命が放たれた。
「ダブルチャージショット!!」
一発目がアジールの胴体を吹き飛ばし、飛行ユニットの陰にいたことで何とか目潰しを凌いだサーゲスの飛行ユニットと下半身を粉砕した。
しかし、まだバイオレンが残っている。
「バ・バスターの音でお・お前の位置がわ・わ・わ・わ分かったんだなっ!!」
エックスに飛び掛かるバイオレンにサーゲスは勝利を確信した。
「か…勝った…奴はチャージが間に合わん!!チャージしていない一撃ではバイオレンの装甲は貫けんわい!!やっと…やっと勝てたわい…長かった…長かったわ…!!?」
鈍い音が響き渡り、エックスの敗北した姿を見ようとするが、煙が晴れた先にはエックスの鋭いアッパーカットがバイオレンに炸裂していた。
「あ…ぎ…?」
「昇竜拳!!」
ライト博士によって新しく習得した昇竜拳をバイオレンに叩き込んだエックス。
バイオレンもまさか、エックスが徒手空拳で反撃するなど予想しておらず、昇竜拳をまともに受けたバイオレンの頭部は粉微塵になってしまった。
エックス対カウンターハンターとの戦いはエックスの勝利で終わったのである。
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