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喰種の少女は麦わらと共に

作者:A吉
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ローグタウン

 
前書き
二話 

 
ハクが麦わらの一味の仲間になって数日、その間ハクはこの世界のことについて学びながら始まりの町 ローグタウンへとたどり着いた。
 町に着くとそれぞれが別々に行動をする、ルフィは死刑台、サンジは食料調達、ウソップはスーパー、ゾロは刀屋、ナミとハクはショッピングとそれぞれ行動していた。

「ここに行きましょうか」

「うん」
 ここ数日、ナミにこの世界のことを教えてもらっていたハクはナミとの仲を深めていた。そんな2人ではじめての買い物、そしてこの世界に来ての始めての町で、いつも物静かなハクも少しテンションが上がっていたのだが、そこで見たものは……

「あら~いらっしゃ〜い♡ 可愛い子達ねぇん。来てくれて、おねぇさん嬉しいわぁ~、た~ぷりサービスしちゃうわよぉ~ん♡」

「本当! あたしラフな感じの服が欲しいのよ」
 その服屋には化け物がいた。身長2メートル強、全身が筋肉で覆われ、一度出会ったら一生忘れないという濃ゆい顔、禿頭の天辺にはチョコンと一房の長い髪が生えており三つ編みに結われて先端をピンクのリボンで纏めている。
 動く度に全身の筋肉がピクピクと動き、両手を頬の隣で組みくねくねと動いている。服装は……腕と足、そして腹筋が丸見えとだけ言っておこう。

「あらあらぁ~ん? どうしちゃったのあなた? 可愛い子がそんな顔してちゃだめよぉ~ん♡ ほら、笑って笑って?」
 どうかしているのはあなたの方だ、笑えないのあなたのせいだと盛大にツッコミたいところだ。でも喰種として生きてきてバケモノと呼ばれた私でも、この本物の化物には勝てる気がしない。

 しかし、物凄い笑顔で体をくねらせながら接近してくる化物に、つい堪えきれずハクは呟いてしまった。

「……人間?」
 その瞬間、化物が怒りの咆哮を上げた。

「だぁ~れが、伝説の海賊すら裸足で逃げ出す、見ただけで正気度がゼロを通り越してマイナスに突入するような化物だゴラァァァァ!!!」

「ひっ!! ご、ごめんなさい……」
 ハクはふるふると体が震え涙目になりながら後退り咄嗟に謝罪すると、化物は再び笑顔? を取り戻し接客に勤しむ。

「いいのよ~ん♡ それでぇ? 今日はどんな服をお求めかしらぁ~ん?」

「……えっと…その、私…服とかよく分からなくて……出来ればコーディネートを…お願いしたい…です」
 肩をびくりと動かしオドオドしながら答えるハク。

「いいわよぉ〜 あなた可愛いから選びがいがあるわねぇ〜、ほらこっちにいらっしゃい〜♡」

「あら、なら私も混ぜてよ。ハクに似合いそうな服見つけちゃったの」

「あ……ナミさん、えーっと…お手柔らかにお願いします」

「「任せて!!」」
 その後、ハクは2人の着せ替え人形とかしたのであった……
 結論から言うと、化物改め店長のリリベルさんの見立ては見事の一言だった。品揃え豊富で品質良質で、機能的で実用的、されど見た目も忘れない良いお店だ。ハクはリリベル店長にお礼を言い店を出た。その頃には、店長の笑顔も愛嬌があると思えるようになっていた、これは彼女? の人徳ゆえだろう。
 店を後にした2人は他の者と合流するために歩き出した。

「ねぇ…ナミさん買ってもらってなんなんだけど……なんでメイド服なの?」
 ハクは現在クラシカルロングメイド服と呼ばれる服を身につけ、腰まで届く長い白い髪はポニーテールにしてある。

「似合ってるからいいじゃない。他にも色々服も買ったしまた行きましょう」

「う、うん……」
 2人があんまりにも色々着せるから正直疲れた。でも私も楽しかったし、リリベル店長さんもいい人だった、人は見かけによらないとはこのことだ。

「さっきから気圧が異常に落ちてるからきっと嵐が来る、早くみんなを探して船に戻りましょ」

「分かった」
 その後、2人はルフィ以外の3人と死刑台のある広場でばったり出くわす。

「それでルフィのやつはどこにいるんだ?」
 死刑台を見に行くと言っていたルフィの姿はそこには無かった。ハクは辺りを見渡す。
 喰種の身体能力は人間の数倍上、その力を使いルフィを簡単に見つけることが出来た。

「……ねぇ、あそこ」
 ハクは遠くの死刑台の上にいる赤い鼻の男とルフィを指指す。

「「「な、なんであいつがあそこにいやがる!!?」」」
 ゾロ、サンジ、ウソップの3人が驚き、ナミはため息をつく。

「ちっ…おい、行くぞ!!」

「おれに命令すんじゃねぇ!」
 ゾロとサンジが死刑台へと向かう。

「ハクあんた強いの?」
 ナミがハクに聞くとハクは目を合わせずに答える。

「……まぁそれなりに」

「あいつら結構強いけど、あの数相手じゃルフィを助けるの難しいかもしれない、だからお願い」
 ナミがハクの目を見て言う。

「……分かった、行ってくる」
 2人の後を追い死刑台へと走り出した。死刑台へと向かうハクに赤い鼻の男、バギーの部下が迫ってくる、ハクは赫子を使わず蹴りで倒して行った。
 敵を倒しながら人だかりの中を進んでくと死刑台の上から話し声が聞こえてきた。

「さて麦わら最後に言い残すことはあるか?せっかくこんなにたくさんの見物人がいるんだ、最後に何か言っとけよ」
 バギーがルフィは拗ねたような顔をするだけで何も答えなかった。

「まーいいさ。言う残そうが残さなそうが、どの道おまえはここで終わりなんだからな!!」
 ルフィは大きく息を吸いこう言い放った。


「おれは‼︎海賊王になる男だ!!」


「海賊王だって?この町でなんと大胆な」
「はは、バカかあいつ」
「なんだべ?」
 死刑台を眺めていた者達はルフィの盛大な宣言に驚きや嘲笑などさまざまな言葉を発している中、ハクは死刑台に向かい敵と戦いながら考えていた。


 羽赫での結晶体でなら死刑台を破壊出来る。でも、ここで赫子を出すということは自分は喰種ですといっているも同然。
 もしこの場に喰種のことを知っている人がいて、その人が一味の誰かに喰種の正体を伝えたら私はもう一味にいることは出来ない、そしたらまた1人になってしまう。

 人間は弱い生き物だ、他人から伝わった情報でもすぐに信じ今までのことが無かったかのように親しい仲から赤の他人へと変わる。
 彼らもまた彼女達と同じように私を見捨てるのだろうか、その時私は……


 (人間と喰種は違う、本当の友になどなれはないのだ)
 (近寄らないでバケモノ!! )
 (いたぞ! 殺せ!!)
 (人が生きているのに罪は無いが、喰種は生きてるだけで罪)

 (違うの、私は食べたくなんてない。人間しか食べられないなら喰べるしかないじゃん……私だって人間みたく生きたいよ)

「ゾロ、サンジ、ナミ、ウソップ、ハク……」
 頭の中で葛藤が続いていたハクは、ルフィの声ではっと我に帰り死刑台へと顔を上げる

「……わりぃ、おれ…死んだ……」

「「ば、ばかなこというんじゃねぇ‼」」
 ゾロとサンジがルフィの言葉を驚くが、ハクはルフィの表情で驚いていた。

「……笑った?」
 人間は誰しも死ぬことに恐怖するそれは喰種だって同じ、それなのにルフィは死が目前に迫っていたにもかかわらず、まるで死ぬことに恐怖を感じず、悔いがないかのような純粋な笑顔。

 次の瞬間、空を真っ二つに割いたかのような雷鳴が音を立てて死刑台へと落ち、その光景を目の当たりにしていた全てのものが言葉を失った。
 死刑台がガラガラと音を立て崩れ落ち周りに煙を撒き散らす、煙の中から2人の人影が現れた。

「なっはっはっは!! やっぱ生きてた、もうけ」
 ルフィは笑いながら麦わら帽子を被り直し、そのすぐそばでは雷に打たれ黒焦げになっていたバギーが横たわっていた。ゾロとサンジは急いで近くに駆け寄る。

「おい、おまえ神を信じるか?」

「バカ言ってねぇで、さっさとこの町をでるぞ。もうひと騒動ありそうだ」
 サンジがゾロに聞くが現実的なことを言うゾロ、その後ろからハクがルフィの前に駆け寄った。

「……ねぇルフィ」

「なんだ? 」

「……ごめん、何でもない。それより無事で良かった」
 ニッコリと笑うルフィを見てハクはとっさに笑顔をつくる。

「おう!よし、逃げるぞ!!」

「追え!奴らを逃がすな!!」
 逃げるハク達を追いかける海軍。






 ハク達が離れた少し後、
「クスクス……いつ会えるかな、楽しみだな、可愛い喰種さん」
 広場にある建物の間から1人の小さな人影がルフィ達が走り去った道を見ていた。

「いんやースッゲーもん見ちまっただなぁ、あんお人こそいずれ海賊王になるお方だべ〜って ……今、赤いローブの小さな女の子がいたような気がしたんだけんども、気のせいだべか? あー!!あの麦わら帽子の人からサイン貰っておけば良かっただ! 失敗したーー!!」
 緑色のトサカ頭の男は1人広場で嘆いていた。






 4人で大雨の中、道を走っていると目の前にメガネをかけた女海兵が現れた。

「ロロノア・ゾロ!! やっと見つけました!! 名刀和道一文字回収します」

「なんだお前か、海兵だったんだな」

「「?」」
 ハクとルフィはきょとんとした顔をしている。

「お前ら先行ってろ、すぐに追いつく」
 そういうとゾロと女が海兵が刀を交えた。ゾロを置いて行きまた3人で道を走って行くと白い髪をした目つきが鋭い男が行く手を阻む。

 あれはヤクザ? 後ろに三輪バイクあるし、葉巻吸ってるし、その筋の人だ。

「来たな麦わらのルフィ…おれの名はスモーカー海軍本部の大佐だ。お前をこの先の海へ行かせるわけには行かねぇ!!」
 全然ヤクザじゃなかった……海軍って私の世界でいうと警察って聞いたから、むしろ捕まえる方。

「邪魔だどけ!! 《 ゴムゴムのピストル 》」
 ルフィの腕が伸びスモーカーの顔に当たるが煙のように顔が消えまた元の顔に戻った。

「げぇ!? なんだこいつ!!」

「このバケモノがぁ!!」

「雑魚に興味はねぇ失せろ!《 ホワイト・ブロー 》」
 煙の腕をのばし、サンジを壁にたたきつけ、ルフィを足で押さえつけると十手をのどに押し付ける。

「海楼石で出来ている十手だ、能力者には効くだろうよ」
 海楼石? ルフィがあんまり抵抗してないのは、あの十手が問題か……ならあの十手をどうにかすればいい。

 ハクはスモーカーへと向かっていきスモーカーの頭を蹴り飛ばし視覚を奪い、一瞬尾赫をはやし十手を空中にはじき飛ばしすぐにしまう。

「何!? お前今何を!?」

「くらえ」
 ハクは空中に浮いた十手をつかみ、おもいっきりスモーカーへと投げつけるとスモーカーは驚いていた様子で十手の攻撃をもろに食らう。

「ぐはぁ!!」
 スモーカーは勢いよく壁に激突した。
 これは公務執行妨害になっちゃうな……まぁいいか海賊だし、逃げてしまえば問題ない。

「ルフィ今のうちに」

「おう!!」

「ま、まて麦わら」
 海楼石の攻撃を受け身も取らず、喰種の腕力で投げられた十手をもろに受けたため、ダメージがかなり入ったらしく追いかけては来なかった。

「やめておけ、もう追いつけまい」

「お、おまえは! ドラゴン!?」
 そこにいたのはローブで全身を覆っている男。

「海賊かそれもよかろう、お前が信じる道をゆくのだルフィ」







 船がひっくり返りそうなほど海が荒れる。
「あの光をみてあれは導きの光といって、あの光の先に[[rb:偉大なる航路>グランドライン]]の入り口があるの」

「よっしゃ!! なら偉大なる海に、船を浮かべる進水式でもやろうか」

「おれはオールブルーを見つけるために」

「おれは海賊王!!」

「おれぁ大剣豪に」

「私は世界地図を描くために!!」

「お…お…おれは勇敢なる海の戦士になるためだ!!」
 一味のみんなが次々と樽の上に足を乗せて行く。

「私は………私は自分のルーツを見つけるために」


「行くぞ![[rb:偉大なる航路>グランドライン]]!!」
 ここから長い長い旅路が始まった。 
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