魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epica33襲撃~Final Attack~
前書き
皆さん、GWはどうお過ごしでしたか? というか10連休でしたか?
10連休・・・ナニソレオイシイノ?
†††アギト†††
今日はあたしの二等空士への昇進試験ということで、あたしのロードであるシグナムや、マイスターであるはやての融合騎・リインと一緒に、ここミッドチルダ地上本部へと赴いてる。試験は筆記と実技で、朝から他の三等陸士たちと一緒に臨んでいた。
「お疲れ様~、アギト♪」
「試験の出来はどうだ? 落第などするようなお前ではないとは思うが」
ロビーで待ってくれていたリインからは労いを、シグナムからはプレッシャーを貰った。八神家ははやてはもちろん、あたしの名付け親のマイスター・オーディンと同じセインテスト家のルシルは、とっても優秀なんだよな~。そんな八神家の一員である以上、あたしも頑張らないと。
「大丈夫だって。ここ最近はずっとアインスやリインにも勉強見てもらってたし。筆記試験の方は絶対良い点を取れてるよ」
実技試験はお昼ご飯を終えてからの午後だ。リインの話じゃ融合騎として魔導師として完成されてるあたし達ならそう難しくないらしい。だからと言って油断大敵だ。リインが受けた時からずいぶん年数も経ってるから、内容だって変わってるかもしれない。
「お昼はカフェテリアで軽いものにします?」
「サンドイッチとかそういうのでいいや。重いものを食べての実技なんて、嫌な結果になっちゃいそうだし」
試験会場のあるフロアからカフェテリアのあるフロアへと向かうためにエレベーター室へと移動しながら、緊張を紛らわせるように3人で他愛ない話をする。今はシャルの家に泊まり込んでるルシルやフォルセティが帰ってきたら、家族旅行でもしようって。
「そのためには最後の大隊を潰さなければな」
「はいです。フォルセティ達がなんの不安もなく外を出歩けるように・・・」
局は今いろいろと不正問題なんかでメチャクチャになっちゃってるけど、騎士団と同じように大隊を追ってる。けど最近はそんなに事件を起こしてないんだよな~。
――なんや嵐の前の静けさって感じやな。ルシル君たちからも何の連絡ないし。ホンマ嫌な感じや・・・――
はやてもそう言ってたし、大隊が何を仕出かさないかが不安だ。エレベーターに乗って階下に降り、いい香りが漂ってくるカフェテリアに歩いてると、ざわざわと騒がしいことに気付いた。シグナム達と顔を見合わせて、ちょっと早歩きで向かう。
「おいおい。これまずくないか?」
「これ本当の話なのか?」
「さすがにこれはハッタリでは?」
「ああ、俺もそう思う」
「チーム海鳴のメンバーは管理局の英雄だぞ?」
「でもさ、バニングス二尉が大隊の一員として・・・」
「馬鹿やろう! 俺たちのアリサ姐さんを悪く言ってんじゃねぇ! あれはきっと偽者なんだ!」
「私もやはり偽者か、もしくは確認できないレベルですごい洗脳術で操られていると思いますわ」
「だよな! だからセインテスト調査官だっていくらなんでも・・・ヤるわけねぇべ?」
ルシルやチーム海鳴の名前が出てきたことで、あたし達は騒ぎの中心へと向かう。あたし達、正確にはシグナムに気が付いたみんなが「お疲れ様です!」ってサッと左右に分かれて道を開けた。
「何の騒ぎだ?」
「それが・・・」
みんなの視線の先にはテレビモニターがあって、映っていたのは「最後の大隊・・・!」だった。流れている内容は、ルシルやシャルが所属してるオランジェ・ロドデンドロンのメンバー全員の悪評というか・・・罪状。どれもこれも根も葉もないようなものだけど・・・。
「プライソン一派のレーゼフェア、リンドヴルムのシュヴァリエル、情報屋を営んでいた民間人グランフェリアの殺害・・・!」
ルシルの罪状だけは確定しているものだった。他の局員たちが「お前らだって殺しまくってんじゃねぇか!」って大隊の放送にツッコミを入れる。けど問題は、ルシルが局員であることと、さらにグランフェリアが公には民間人であること。
「けどこれってさ、ルシルが説明すれば問題なくね?」
「そうですよ! ルシル君が手に掛けたのは人間ではなく兵器なのですから、殺害ではなく破壊が正しいです!」
「いや。この繰り返される放送の1クール毎の始めにあったろう。確かな情報筋から入手した、と。その情報を信じて大隊はルシル達を殺害する。後になってその情報が間違っていても、おそらく連中にはダメージはないのだろう」
「なんだよ、それ。そんなヘイトを集めて何の得が・・・?」
「このような大々的な手段を用いてでも、ヘイトを集めてしまってでも成したいのだろう。ルシル達の殺害を」
あたしとリインがその話にハッとする。それほどまでの手段に打って出たってことは、大隊にとって不都合なことをルシル達に知られたみたいな、そういった状況に陥っているんだ。ルシル達が何を知ったのかは判らないけど、「これってチャンスなんじゃない?」ってあたしは考えた。
「ああ。ルシル達を殺害できるほどの戦力を投入するだろうから、大隊は幹部クラスを寄越してくるだろう。それらを迎撃して捕まえれば、大隊の事件はすぐに終結するはずだ」
シグナムがそう言った直後、携帯端末からコール音が鳴った。あたし達は人垣から離れて、シグナムがメールを確認していると、「あたしにも?」メールが入った。
「アギト。ホテル・アグスタで大隊が出現したようだ。私の2213航空隊と、防衛隊のグランガイツ一尉のチームにスクランブルだ」
「あたしの方にも、昇進試験は一時中断かつ実技試験は後日ってメール来た」
他の局員たちもまた騒がしくなるし、大隊出現の報は広まってるみたい。
「リイン。主はやて達に、大隊の放送ジャックのことを伝えてくれ。ルシルは・・・」
「今日もミッドで仕事の予定だったはずです。一応メールしておきます!」
「ああ、頼む。アギト、出るぞ!」
「おう!」
リインは本局所属だから出撃は出来ない。地上の事件は地上部隊がやんないとな。リインをカフェテリアに残して、あたしとシグナムはグラウンドへと向かう。エレベーターで地上1階に降りてる時、「リインから通信?」が入った。
「どうした?」
『本局に居るはやてちゃん達や、ルシル君たちと連絡が取れません!』
「ええ!?」
あたしは驚くけど、シグナムは別段驚くことなく「どういう状態だ? コールは鳴るのか? それとも妨害されているような感じか?」って冷静に聞いて、リインは『後者です!』ってハッキリ答えた。
「本局には主はやてにアインス、それになのはとフェイトとアリシアも居る。通信妨害を行っているのがたとえ大隊であっても、主たちには勝てまい。それに、エグリゴリではあるが本局への襲撃を許さないとするリアンシェルトも居る。交戦が始まれば出てくるだろう」
「エグリゴリを頼りにするなんて死ぬほど嫌だけどな」
マイスター・オーディンも当時のシグナム達も“エグリゴリ”に殺された。敵だ、アイツらみんな。あの頃に抱いた怒りや憎しみで両手をギュッと握り拳にすると、シグナムがあたしの頭を撫でてきた。
「主たちは主たちで何とかするだろう。ルシル達も問題ないはずだ。ならば、地上の事件は我らで片付けるだけだ」
「うん!」『はいです!』
リインとの通信を切って、あたし達は1階へと降り立ったところで今度は『こちらグランガイツ隊』のゼスト一尉から通信が入った。内容は、あたし達2213航空隊に先行して出立するっていうものだ。首都航空隊は飛行魔法での移動だけど、首都防衛隊は車両移動になるから、先に出ないと足並みが揃えられない。
「了解しました。我ら2213航空隊もじきに出立します」
そうしてあたし達はグラウンドに到着。あたしとシグナムも騎士服に変身して、すでに防護服に変身してる部隊のみんなに「目標、ホテル・アグスタ! 2213航空隊、出撃!」と号令を掛けて、一路ホテル・アグスタに向けて飛び立った。飛行中、グランガイツ一尉からまた通信が入る。
『シグナム一尉。先ほどの大隊の放送ジャック。セインテスト調査官たちの罪をぬかしていたが、あれらは事実なのか・・・? いや、信じていないわけではないが・・・』
「根も葉もない、単なるブラフでしょう。しかし・・・セインテスト調査官の罪は事実です」
グランガイツ一尉や、見えてはいないけど他の防衛隊員たちも息を呑んだのが判った。
「ただし、セインテスト調査官が殺害した者が人間であれば、ですが」
シグナムは続けた。セインテスト家の先祖代々から受け継がれてきた、“エグリゴリ”の破壊という悲願。ルシルはただ、一族の役目を果たしているだけだって。グランガイツ一尉たちから安堵の溜息が漏れた。
『ゼスト隊長! 教会騎士団からの声明が放送されています!』
グランガイツ一尉の脇に居る女性隊員がそう言った。一尉は『シグナム一尉にも見えるように』って指示を出して、画面に合うようにモニターを展開させた。映っているのは教会騎士団のトップ、トラバントって人だ。
『わが教会騎士団より犯罪者を出してしまったこと、管理世界のすべてに謝罪したい。しかし、それが本当の事なのかがこちらではまだ確認を取れていない。オランジェ・ロドデンドロン全騎を教会本部へ召集し、事情聴取を行う予定ではある。しかし隊長の騎士イリスを始めとして彼女たちは現在、行方をくらましている。投降を呼びかけようと考えているが、受け入れられない場合は敵性勢力として認知、撃破することをここで宣言しておく』
トラバント団長の言葉に「はあ!?」あたしのびっくりレベルは天を突き抜けたよ。騎士団も最悪敵になっちゃうかもしれない。もう、なんだよそれ。
『こちら通信司令室。首都航空隊全部隊に緊急連絡。東部アクアベール海にて、最後の大隊が保有していると思われる艦隊を確認しました。海上警備部と合流し、これを拿捕してください』
ここでまた大隊が馬鹿な真似をしだした。というか、あたし達は今ホテル・アグスタへと向かってんだけど・・・。どうすりゃいいの?ってところで、グランガイツ一尉から『ホテル・アグスタへは俺たちだけで向かう』って通信が入った。近隣の陸士隊から応援を呼ぶって話で・・・。
『艦隊を出してきた以上、大規模な断罪が行われるはずだ。そちらを優先した方がいい』
「・・・了解です。ではこれより2213航空隊は、アクアベール海へと進路を変更。艦隊拿捕の任務へと向かいます。いくぞ、お前たち!」
あたしや他の隊員たちは「了解!」って応じた。
†††Sideアギト⇒イリス†††
ヴィヴィオ達が本局へ向かうのを見送った後、わたしはザンクト・オルフェンにある自宅へと帰ってきた。エントランスホールで待っていてくれたみんなからの「おかえり~」に「ただいま~」と応える。んで、みんなで食堂へ向かう。最早そこは食べる場所であり、雑談するための溜り場であったりする。
「さてと。たぶん、今日は忙しくなるよ。各騎、いつでも戦闘できるように準備をしておいて」
ルシルとトリシュが第57管理世界スプールスにまで飛ばされて、空飛ぶ装甲列車や機械ムカデなどといった兵器に襲われた一件。強力なAMFを使って完全に殺しに来てた。それでも2人を殺す事が出来なかった今、連中は焦ってるはず。わたし達から、大隊と教会が関わってることが公に発信されるかもって。
(とはいえあくまで状況証拠だけだから言い逃れだって出来る。けどそんな事は連中も判ってるはずだけど・・・)
わたし達が生きている限りはその不安は拭い去れない。物的証拠だって見つけられるかもしれない。だったら口封じに拉致るか殺すかの2択を選ぶはず。ならそれを実行するタイミングはいつか?と考えたら、出来るだけ早く、すぐにでも、ってことになると思うわけ。ちょうどヴィヴィオ達も居ないし、護衛役でもあるわたし達の始末とヴィヴィオ達の拉致を同時にやっちゃおうぜ♪なんて考えるに決まってる。そのチャンスは今日この日だけになる。
「ザンクト・ヒルデ魔法学院の冬休みも残り僅か。子供たちが何の不安もなく通えるようにしておきたい。だから襲撃してきたら、全力を以って大隊を叩き潰す!」
グッと握り拳を作って力説したわたしにみんなが「ヤヴォール!」って応えてくれた。気持ちは1つ。大隊を潰し、教会を好き勝手にしてる裏切り者を牢にぶち込む。騎士団の中にも敵は居るだろうけど、今は仲間意識をすべて排除だ。
「それじゃあ各騎、今のところは解散で――」
そこまで言いかけたところで、騎士団専用回線での通信が入ったことを知らせるコール音が鳴り響いた。今や教会騎士団はわたし達にとって敵として見た方がいい組織だ。みんな顔を見合わせて、コクリと頷く。
「こちらオランジェ・ロドデンドロン、イリス」
『騎士団本部よりスクランブル要請。北部廃棄都市区画にて、最後の大隊のメンバーが確認されたとの情報が入った。逃走中の犯罪者への断罪を行う可能性がある。確認に向かってください』
「同隊所属、アルテルミナスです。お言葉だけど、私たちより現場に近い騎士隊もいるはず。それをわざわざ離れた場所に居る、休暇中の隊にスクランブルなんて。おかしい話だと思うのですけどぉ?」
通信士が『それは・・・』言いよどんだ。その間にアンジェ達に今日の警邏シフトを確認させる。どのエリアにどの騎士隊が居るか、それでこの呼び出しがヤバイやつかどうかを調べる。アンジェが手信号で、南部警邏担当が独立賛成派のタカ派の1つだと判明。つまり大隊と繋がりがある敵である可能性あり。
『トラバントだ。オランジェ・ロドデンドロン。この私からの命令を受諾するという意思表示がないようだが?』
ここで裏切り者候補筆頭のトラバント団長のお出ましだ。よしよし、出てきたな。わたし達は目線で合図を送り合って、「失礼しました」と佇まいを直す。団長直々に、休暇中のわたし達を大隊の居る(かも知れない)廃棄都市区画へ向かわせようとしている事実を確認。もしこれで大隊だけが待ち構えていたら、狙いはわたし達になる。
(ルシルとトリシュみたく、犯罪者への断罪に巻き込んで殺しにきていたこれまでとは違う。大隊の中でも最強を揃えてくるはず)
でも大丈夫。大隊の幹部と、AMFの中でぶつかってもいいようにこっちも準備万端だ。この機を逃すな。わたしは「部下がちょっと愚痴を零しました。命令受諾しました」って応じる。
『そうか。では即時出撃をしろ。自治領内と北部の各航空関連社の飛行許可は取ってある』
プツンと通信が切れる。わたしは「んじゃ、行こうか」って踵を返してエントランスドアの前に立って、ドアノブに手を掛けようとすると、わたしが開けるより先にドアが外へと向かって開いた。入って来たのはわたしとルシルとアイリの送り迎えしてくれたルーツィアだ。
「これから出撃なの」
「休暇中なのにですか?」
「そ。休暇中なのに。というわけで、ひょっとしたら夕食時間まで戻って来られないかも。だから夕飯はさめても大丈夫なような簡単なやつでいいよ」
「出来ればハンバーガー山盛りで」
クラリスだけが注文。ルーツィアは「ふふ、かしこまりました♪ いってらっしゃいませ」一礼して、わたし達を見送ってくれた。外に出て「各騎、騎士甲冑を着装!」って指示して、わたし達は騎士甲冑へと変身。
「んじゃ行きますか。各騎、飛行魔法用意」
――真紅の両翼――
「ああ」
――我を運べ、汝の蒼翼――
「汝は遥かなる空を飛翔する者。地を揺るがすは羽ばたき。空に轟くは咆哮。行く手は苛烈なる戦火、過ぎ去るは打ち斃せし亡者の群れ。汝が主の命に応じ、いざ参れ! ワイバーン!」
召喚士でもあるクラリスが飛竜ワイバーンを召喚して、飛行魔法が使えないトリシュと一緒に鞍に跨った。アイリは腰から白い翼を一対と展開して、ルミナとセレスとアンジェは自前の飛行魔法。
「オランジェ・ロドデンドロン、出撃!」
地を蹴って空へと上がる。向かうは北部・廃棄都市区画。ここからなら十数分ちょいで到着できる距離にある。それくらいなら魔力消費は少なくて済む。
「イリス。ホテル・アグスタでも大隊が出現したようです」
いつの間にやらテレビニュースの映るモニターを展開していたアンジェから報告が挙がる。そっちには首都航空隊と首都防衛隊が向かってるらしい。さすがにあっちが本命ってことはないだろうけど・・・。
「そっちは局に任せよう。わたし達は、わたし達の仕事をこなすだけ」
廃棄都市区画に到着するまでの間、大隊からの奇襲はなかった。ただ、「通信および念話系の妨害の発生を確認したよ。これはアタリね」セレスからの報告に、「やっぱり」ってみんなで苦笑い。
「ん? イリス。こっちに向かって何かが飛んで来る。数は・・・3。見覚えがある。・・・ミサイル!」
「迎撃します。イゾルデ、セットアップ」
トリシュが“イゾルデ”を弓形態で起動して、指に挟むように生成した魔力矢3本を魔力弦に番えた。
――天翔けし俊敏なる啄木鳥――
「往け!」
放たれる3本の高速魔力矢は、目で追うのも難しいほどの速度で飛んで行って、わたしの肉眼では捉えられていない距離にあるミサイルを無事「迎撃完了」したみたい。トリシュとクラリスって、視力はかなり良い上に視力強化で数km先を見通すことが出来る。
(わたしは剣騎士だから必要のない魔法だしね~)
「さらにミサイルの接近を視認!」
「同じ巡航ミサイルだな。それに・・・上からの弾道ミサイル! 俺が迎撃する!」
「巡航ミサイルは引き続き私が!」
――天翔けし俊敏なる啄木鳥――
トリシュが魔力矢で巡航ミサイルを迎撃し始める中、ルシルをヒップアタックして吹っ飛ばしたセレスが「今のルシルはダメ。大人しくしてて」頭上にベルカ魔法陣を展開した。
「制圧せし氷狼!」
8頭の氷製狼を創り出して「Los!」と号令を下した。空から落ちてくるミサイルに狼が殺到してく中で、「この俺でも、質量兵器くらい迎撃できるんだけどな~」ってルシルがぶつくさ文句。ルシルは今重要な作戦中ということもあって、扱える魔力量や戦闘時間に制限アリな戦力になってる。だからミサイル迎撃なんぞで無駄な魔力を消費してもらいたくない。
「ほらほら、囮作戦の重要ファクターの1つなんだから、今は大人しくしてて!」
「はぁ・・・了解だ」
ミサイル攻撃を凌いだ後は、廃棄都市区画の至る所に聳え立つ高層ビルの屋上へと降り立つ。んで、周囲を警戒していると「結界・・・!」が都市区画を囲うように展開された。ミサイル攻撃に結界。そしてわたし達をここへ来るよう仕向けたトラバント団長は、やっぱり大隊側の人間だったわけだ。チッと舌打ちしているところに、「AMFの展開を確認!」された。
――真・スナイプレールガン――
――ヴァーンズィン・オルカーン――
――城砦穿ち――
――四甲――
――木枯らし――
――獄火拳――
――ボンバーユーバーファル――
それと同時に、頭上からわたし達へ向けての奇襲攻撃。防御なんて出来るような状況じゃないから、即座にその場から離れる。つまりビルの屋上から飛び降りた。両翼をなんとか保ちつつ、吹っ飛んだ屋上や階下の瓦礫を避ける。
「各騎! 臨機応変に、敵を撃破せよ!」
叫ぶように命令を出し、わたしはわたしを襲ってくる敵の撃破に動く。
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