歌集「冬寂月」
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六十五
忍びたる
凍みにし冬の
夕暮れは
秘めし想ひそ
解きて悩まし
寒さの堪える真冬…春を待ちながら、ただ耐えるだけ…。夕にもなれば寒さも一層厳しくなり、吹き抜ける風に凍てつく…。
紅い夕陽はどことなくくすみ、足早に日は落ちてゆく…。
そんな短な夕暮れは…隠している気持ちを浮かび上がらせ、寂しさを助長させては消えてゆく…。
残るは白い溜め息ばかり…。
筆をとり
書くは想ひの
黄昏の
残す寂しさ
空に染みける
こうして歌を詠んでは、想いに黄昏…残す意味を自問する…。
意味などきっと何もない…当たり前のことに、ただ苦笑する…。
未だ愛している…それは変わりようもないが、痛みは少しずつ和らいで…いつか優しさへと昇華されることだろう…。
だが、まだ早い…。
寂しさは影の様に側にある…そんな寂しさの様な黄昏の空に、想いが染みる…。
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