歌集「冬寂月」
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六十四
秋染めの
草木も花も
枯れ果てん
染めし想いは
遙かなりしも
あんなに色鮮やかだった秋も去り…美しく紅葉した木々の葉も散り草は枯れ、花もまた朽ちてゆく…。
ずっと美しいまま…と言う訳にはいかないものだ…。
恋しさに染まった想いは、もうずっと…褪せもせずにあると言うのに…。
冬風に
里の白雪
偲びなば
甘く切なき
恋の香ぞする
冷たい冬の風が吹き始めた…。また冬が来たのだと溜め息をつくも、幽かに懐かしき香りがする…。
こんな冬の匂いがし始めると、田舎では初雪が近かった…。
あぁ、あの時もそうだった…と、目を閉じてみれば…そこにはあの人に恋した日々の香りさえ香っていた…。
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