許されない罪、救われる心
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85部分:第八話 生徒集会その一
第八話 生徒集会その一
第八話 生徒集会
岩清水に煽られた周囲の攻撃と糾弾はだ。終わることがなかった。
「学校に来るな!」
「辞めろ!」
「中退しろ!」
「消えろ!」
四人を見ればだ。誰もがこう罵った。
そしてだ。机もロッカーも常に荒らされた。体育をすればジャージが皆がわざわざ四人から奪ってだ。そのうえでまずはこう言うのだった。
「あんた達椎葉さんのジャージ隠したりしてたわよね」
「制服だって」
「そうでしょ?」
「え、ええ」
四人は沈みきった顔で周りを取り囲む女子のクラスメイト達の言葉に応える。ついこの前まで彼女達に笑顔を向けていた娘ばかりだ。
「そうだけれど」
「それは」
「じゃあ同じことしてやるわよ」
「あんた達への報いよ」
「ほら、こうしてね」
誰かがカッターを出してだ。そのうえで引き裂いていく。四人のジャージはだ。四人の目の前で無惨な姿に変わり果てた。
そうして床の上に落とされた。そこからまた言われる。
「掃除しなさいよね」
「あんた達のなんだから」
「いいわよね」
「うん・・・・・・」
四人は俯いて頷くことしかできなくなっていた。こうしたことが続いていた。当然弥生は何も言わない。顔を背けるだけだ。
部活も辞めさせられ学校の帰りではいつも岩清水が駅前で頑張っている。下校中も他の学校の生徒にだ。電車やバスの中でひそひそと話される。
「あいつだよ」
「へえ、あいつがねえ」
「いじめしてたんだ」
「最低だよな」
冷たい嫌悪に満ちた視線での話だった。
「いじめする奴なんて」
「全くだよな」
「このバスに乗るなよな」
「どっかに行けよ」
こんな話を聞こえるように言われる。それは行きも帰りもだった。もう四人の居場所は家しかなくなっていた。他にはなくなっていた。
その家ではだ。沈みきった如月に家族が声をかけた。
「ねえ」
「どうしたの?」
「大丈夫か?」
「大丈夫って」
夕食の時にだ。両親と弟に声をかけられたのである。
「本当に?」
「あまりそうは見えないけれど」
「顔色が」
「大丈夫だから」
またこう言いはする。
「心配しないで」
「だったらいいけれどね」
睦月もかなり心配な顔で姉に言う。
「お姉ちゃん最近暗いし」
「部活は行ってるの?」
母は部活のことを尋ねた。
「そちらは」
「え、ええ」
一応こう返しはした。辞めさせられたことはとても言えないでいたのだ。
「行ってるから」
「最近朝遅いけれど」
「あっ、ちょっとそれは」
「それは?」
「最近部活の練習のやり方が変わったのよ」
こう言って取り繕うのだった。
「それでなの」
「練習のやり方が変わったの」
「朝はそれぞれで練習してね」
思いつくことを話した。こう話して事実を隠すことにしたのである。
「それで夕方はね」
「皆でやるのね」
「そうなったから」
こういうことにしてしまった。
「それでなの」
「そうだったの」
「うん、そうなったの」
事実を何とか隠してだ。母にも父にも弟にもだ。偽りを話した。
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