許されない罪、救われる心
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84部分:第七話 地獄のはじまりその十一
第七話 地獄のはじまりその十一
「椎葉さんにやってきたことだろうがよ!」
「そのまま受けて当然でしょ!」
「そんな・・・・・・」
「これって・・・・・・」
いじめだと言おうとした。しかしであった。
岩清水がまたしても言うのであった。
「悪には報いがあるべきだ!」
四人の言葉を遮ったのであった。
「この程度でいいのか!」
「いや、よくないだろ」
「そうよ」
「あんなことしてきたんだからね」
「他のクラスの人にも来てもらおう」
そうしてだった。岩清水はこう提案するのだった。
「それで今のこの連中を見てもらおう」
「ああ、それいいな」
「そうよね。晒し者にしましょう」
「そうしないとな」
こう言ってであった。すぐにそれぞれの面々が携帯で他のクラスの面々を呼ぶ。すると瞬く間に他のクラスの面々も来たのであった。
「これがいじめへの報いだ!」
岩清水は彼等にも叫んだ。
「しかしこれだけじゃない!」
「ああ、そうだよな」
「こんな連中な」
「この程度で終わると思うなよ」
誰もが憎しみに満ちた目で四人を見据えて言う。
「ほら、さっさと消せよ」
「授業はじまるだろうが」
「何とろとろやってるんだよ」
「黒板消しが足りないな」
岩清水がまた皆を煽る。
「それなら」
「ああ、そうだよな」
「消すものがないとね」
「それじゃあな」
「ほら、使えよ」
ここでだ。四人に黒板消しが投げ付けられた。それは四人に当たって跳ね返りそうして。床に転がり落ちて彼女達の足元で止まった。
「さっさとな」
「それで消せよ」
「消しなさいよ」
「うう・・・・・・」
四人はこの仕打ちに泣きそうになった。しかしだった。
「泣いて許されるものじゃないよね」
「ああ、そうだよな」
「そうよね」
「あれだけのことをやったんだしな」
ここでまた、だった。岩清水が言って周りがそれに続く。
「ほら、消せっつってんだよ!」
「泣いても許さないぞ!」
「自分達で始末しなさいよ!」
「早くな!」
「そんな・・・・・・」
「もう、こんな・・・・・・」
四人は遂に泣き出した。その場でぼろぼろと涙を流す。
だがそれでもだ。岩清水はその四人に対してだ。尚も仕掛けた。
「だからさ。消したら!」
「そんな、もうこんな・・・・・・」
「私達もうこんなことしてないし・・・・・・」
「それなのに」
「過去は絶対なんだよ」
岩清水の言葉は冷たかった。
「人間は何で決まるか。過去で決まるんだよ」
「過去でって・・・・・・」
「昔のことで・・・・・・」
「そうだよ、決まるんだよ」
こう四人に言うのである。
「過去は絶対に変えられない。それをわかるんだね」
「御前等の過去が今の御前等をこうしたんだろうが!」
「自業自得よ!」
「そうだそうだ!」
「黒板だけじゃないぞ!」
皆も四人をさらに糾弾する。泣いて動けなくなってもだ。
「早く消せ!」
「机やロッカーもちゃんとしろ!」
「自分達でな!」
「何ならな!」
誰かがだ。何処からかバケツを持って来た。
そしてそれをだ。四人に対して思いきりかけたのだった。
空になったバケツは如月にぶつけてだ。そのうえで告げた。
「水もやったからな!これで消せ!」
「何ならもっと持って来てやるぞ!」
「まだ消さないっていうの!」
「わ、わかったから・・・・・・」
バケツをぶつけられた如月が泣きながら応える。涙はかけられた水のせいで見えなくなっている。しかしそれでも流れ続けていた。
「消すから」
「うちもやるから」
「もうしないでよ・・・・・・」
「御願いだから」
「じゃあさっさと消したら?」
岩清水はここでも四人に冷たく告げる。
「まだやることがあるんだし」
「だからわかったから」
また応える如月だった。
「もうしないで。本当に」
「今はね」
岩清水はその如月にこう返した。
「じゃあ消すんだね」
「うん・・・・・・」
「これで終わりじゃねえぞ!」
「まだやってやるからな!」
「覚悟しなさいよ!」
こうして四人は周りの冷たい目と罵声の中で黒板を消して机やロッカーも何とかした。四人への糾弾はさらに続くのであった。
第七話 完
2010・8・27
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