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許されない罪、救われる心

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81部分:第七話 地獄のはじまりその八


第七話 地獄のはじまりその八

「その犯人達です。僕の学校の、そして僕のクラスでいじめをしていました」
「へえ、その連中がか」
「その連中がいじめっ子か」
「何か性格悪そうだよな」
「そうだよな」
 岩清水の前に集まる人々は四人の写真を見てまた言う。
「ああ、この制服ってな」
「あの高校だよな」
「あんたの高校の女の子の制服じゃないか」
「じゃあやっぱり」
「そうです。ですから僕のクラスでいじめをしていた連中です」
 その写真を見ながらさらに話すのだった。
「この連中がです」
「女の子がねえ」
「いじめか」
「そんなことしてるのか」
「ええと、名前まで書いてあるな」
 通行人達はその立て板をまじまじと見て話す。
「女同士のいじめってえげつないらしいけれどな」
「相当なことしたんだろうな」
「そうだろうな」
「いじめは許されません」
 ここでまた言う岩清水だった。
「だからこそ私はあえてここで皆さんに訴えます」
「いじめを許さないってか」
「そう言うんだな」
「それでここにいるのか」
「はい、そうです」
 まさにその通りだというのである。
「皆さん、この四人を見つけたら容赦なく糾弾して下さい!」
「ああ、この顔かあ」
「ふんふん、名前メモしておくか」
「そうするか」
 中には携帯で記録してメールで他人に送る者もいた。それを一部始終見ていた四人はだ。その場で蒼ざめてしまっていた。
「ちょっと、何あれ」
「私達のことじゃない」
「名前までって」
「何やってんだよあいつ」
 何とかして止めたかった。しかし足はすくんだままだ。
 それで動けないでいるとだ。通行人が気付いたのだった。
「あれっ、あそこにいる四人って」
「そうだよな」
「この立て板の連中じゃないか」
「だよな、この四人だよな」
「ここにいたのかよ」
「はい、そうです!」
 また通行人達に訴える岩清水だった。
「あの四人がです。いじめをしていたのです!」
「へえ、あの連中がね」
「あの連中がいじめグループか」
「まさかこんなところで会うなんてな」
「皆さん!」
 岩清水はここぞとばかりに訴える。
「いじめは許されません!」
「いじめなんて最低だよ」
「絶対に許せないからな」
「そんなことはな」
「だからこそです。いじめを糾弾しましょう!」
「ああ、そうだな!」
 そうしてだった。通行人達はだ。口々に立ちすくむ四人に対して言うのだった。そこには怒りと嫌悪に満ちた糾弾のみがあった。
「御前等最低だよ!」
「生きていて恥ずかしくないのか!」
「親からどんな教育受けてきたんだ!」
「とっとと死んで罪を償え!」
「どっかに消えろ!」
 そうしてだった。四人の方に迫って来た。
「皆さん、いいでしょうか」
 岩清水は拡声器を持ったまま通行人達を導いていく。
「暴力はいけません」
「暴力はか」
「それは」
「そうです、暴力はいけません」
 それはだというのである。
 
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