許されない罪、救われる心
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80部分:第七話 地獄のはじまりその七
第七話 地獄のはじまりその七
「けれど。これじゃあ」
「味方誰もいないし」
「弥生も・・・・・・」
如月も俯いていた。そのうえで言うのだった。
「絶交って言ったし」
「もう学校来たくねえよ」
長月がこの言葉を出した。
「このままじゃよ。学校に来ても」
「けれど学校には行くしかないし」
「そうよ。登校拒否とかしても」
文月と霜月が長月の弱音に対して言った。
「何にもならないし」
「仕方ないわよ」
「うん、学校には通うしかないから」
如月も二人の意見に賛成した。
「通おう、このまま」
「それしかないか」
「ええ、ないわ」
如月は長月にも告げた。
「だから通おう。それしかないと思うから」
「それしかないってのかよ」
長月は俯いたまま如月の言葉を聞いていた。
「今は」
「うん、誰もいないけれど」
それでもだというのだった。
「学校だけだし、辛いのは」
「そうよね、格好出たらね」
「私達のこと知ってる人いないし」
文月と霜月はそこに希望を見出していた。
「だから学校では我慢しよう」
「そのうち何とかなるかも知れないし」
「そういうことだから」
また話す如月だった。
「今は我慢しよう」
「それじゃあ今は」
「何とか」
こんな話をしてだった。四人は耐えることを選択したのだった。辛いのは学校だけだと信じて。しかしその信じたものはまたしても裏切られた。
「えっ、何・・・・・・」
「あいつ、何やってるのよ」
「どうしてあそこにいるんだよ」
四人は一緒に下校していた。高校の最寄の駅の前でだ。岩清水がいたのだ。そうしてそこでだ。また拡声器を持って叫んでいたのだ。
「僕の学校で嘆かわしいことがありました!」
「何だ?」
「何があったんだ?」
行き交う学生や社会人、主婦に子供に老人が彼に顔を向けた。
四人はそれを見てだ。嫌なものを感じていた。
「まさかと思うけれど」
「ここでもまた?」
「言うの?」
そのことに恐怖を覚えていた。そこから少しでも立ち去りたかった。しかしである。足がすくんでしまい動けなくなってしまっていたのだ。
「何処か行こうよ」
「そ、そうだよな」
「何処かに。けれど」
文月の言葉に長月と霜月が応える。しかしだった。
「足が・・・・・・」
「足、動けないから」
「えっ、二人もって・・・・・・」
実はそれは文月もだった。そして如月もだ。恐怖のあまり動けなくなってしまっていたのだ。己の過去が公にされるという恐怖の前にだ。
「どうしよう、動けない・・・・・・」
足だけでなく身体がガタガタと震えている。岩清水はその四人の前でさらに言う。見ればその後ろには立て板があり四人の写真があった。
「あの写真、誰のだ?」
「高校生の女の子達みたいだけれど」
「誰?あれ」
「誰なのかしら」
「この四人がです」
ここでまた言う岩清水だった。
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