| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十九話 合格してからその六

「お婿さん迎えないといけないからね」
「余計になのね」
「そう思ってるのね」
「そうなの、誰かいい人にお引き寄せしてもらって」
 そうしてです。
「結婚してからよ」
「そうしたことはっていうのね」
「それ奥手過ぎるでしょ」
「戦争前じゃないんだから」
 皆私の返事に呆れてしまいました、何で呆れるのかわかりませんが。そんなお話をしているうちに準備体操を終えて体育の授業を受けました。
 この日の授業の後下校しようとするとまた阿波野君に会いました。
「今から帰りですか?」
「そうだけれど」
 横に来た阿波野君に答えました。
「阿波野君もでしょ」
「はい、ただ僕は今日も時間があるんで」
「また回廊ひのきしんさせてもらうの」
「あとお墓地にもお参りしようかなと」
 そちらもというのです。
「そう考えてます」
「部活してないのに何か色々動いてるのね」
「折角おぢばにいるんですから」
 だからだという返事でした。
「色々させてもらわないと」
「それでなのね」
「はい、今日もですよ」
「回廊を拭かせてもらって」
「お墓地も参拝させてもらって」
「活発になのね」
「勇んでいきます」
 まさにという返事でした。
「そうしていきます」
「阿波野君昨日のこともあるけれど」
 長池先輩に言ったことは忘れられません、このことを言わずにもいられませんでした。あんないい人にあんなきついことを言ったのですから。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧