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ドリトル先生と日本の鉄道

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第九幕その五

「その通りなんだよね」
「そうだよね」
「本当にまさかだけれど」
「そのまさかがね」
「思わぬことを博物館に来た人達に教えてくれるね」
「そうだね、運んでレールをそれだけ敷いて組み立てて」
 そうしてというのです。
「沢山の人を使って動かしたから」
「とんでもない兵器だよね」
「周りやお空も守らないといけないし」
「手間暇かかって」
「とんでもない兵器だね」
「戦艦よりも手間はかかったよ」
 列車砲、それもドーラになるとです。
「列車砲は砲撃出来ても列車砲自体は空にも周りにも攻撃出来ないからね」
「そうよね」
「列車砲自体が攻撃されたら終わりだよ」
「そんなの観てわかるし」
「線路の上しか動けないし」
「線路を敷いてから攻撃開始だし」
「組み立ててだから」 
 皆もそうしたことを考えます、考えればその通りでした。
「これだけ手間がかかる兵器だと」
「もうどうしようもないよ」
「今は使えないよ」
「そもそもドーラ動かすのに千人以上使ったっていうから」
 先生はドーラを動かすのにどれだけの人が必要であったのかもお話しました。
「このことだけでもね」
「どれだけ使いにくいか」
「今使われなかったのも当然ね」
「ミサイルも出来たし」
「そうなんだ、ミサイルを開発したのもドイツ軍だしね」
 ドーラを造ったこの軍隊だというのです。
「因果と言えば因果かな」
「歴史の因果?」
「それになるかしら」
「ドーラを造った国がドーラを不要なものにした」
「そのことは」
「ヒトラーは巨大な兵器が好きで新しい兵器も好きだったから」
 当時のドイツの独裁者だったこの人がです。
「こうしたことも起こったんだ」
「そういうことね」
「それでドーラはもう過去のものになった」
「色々な問題もあったし」
「ミサイルの時代になったのね」
「その前に航空機もあったしね」
 ドーラのお話にも出たこの兵器のお話もしました。
「一次大戦の頃から登場していてね」
「二次大戦の時にはかなり凄くなっていて」
「日本でもそうだったけれど」
「ドイツ軍でもかなり使っていたし」
「あの戦争の頃はとんでもないことになっていたね」
「空から攻撃したらもっと凄いから」
 列車砲で攻撃するよりもというのです。
「しかもすぐに動かせるしね」
「列車砲と違って」
「そこはミサイルと同じね」
「戦争で航空機が凄い発達もしたし」
「列車砲は余計に使われなくなったのね」
「そうだよ、列車砲は二次大戦の頃には過去のものになっていたんだ」
 その時に既にというのです。
「そして今ではね」
「完全になくなったんだね」
「ミサイルや航空機の時代になって」
「それでよね」
「そうした意味で日本軍は時代を先取りしていたかな」
 こうも考えた先生でした。
「日本の地理的な状況もあってね」
「これだけ山が多くて平地が少ないと」
「しかも四方は海だし」
「それじゃあ列車砲よりもね」
「航空機の方がずっといいよ」
「そうした意味で正解だったね」
 日本軍が列車砲にあまり力を入れなかったことはというのです。 
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