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許されない罪、救われる心

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73部分:第六話 暴かれた時その十七


第六話 暴かれた時その十七

「皆とね」
「よし、じゃあ皆で食べるか」
「そうしよう」
「皆でね」
 クラスメイト達も口々に言う。そうしてだった。
 四人をあえて無視して屋上から立ち去る。それで残ったのは。
「そんな・・・・・・」
「弥生・・・・・・」
「皆も・・・・・・」
 四人だけだった。四人は愕然としながらその皆が立ち去る姿を見るしかなかった。
 その日の夕方岩清水は従兄に対して報告していた。今日のことをだ。
「どうかな、これで」
「うん、いいよ」
 従兄は微笑んで彼の言葉をよしとした。
 そしてそのうえでだ。彼に対してさらに話すのだった。
「これからはわかるよね」
「本格的に攻撃を仕掛けるんだね」
「そうだよ。やり方は考えてるかな」
「勿論だよ。徹底的にやるよ」
「そうだよ。徹底的にね」
 従兄はどす黒い微笑みを浮かべて従弟に話す。
「いつも通りやるといいよ」
「いつも通りだね」
「ほら」
 ここでだった。従兄はパソコンの画面を開いた。そこには赤く大きなバツが描かれた人間の顔写真が何枚もあった。彼はそれを見ながら従弟に話すのだった。
「君が今まで成敗した人間達だよ」
「これまで六人だったね」
「そう、君は六人のいじめっ子を成敗したんだ」
 こう従弟に話すのだった。
「全員追い詰めて破滅させてそして墓場まで壊したね」
「悪党には墓場も不要だよね」
「そう、いじめっ子は悪党だ」
 従兄は言った。
「その悪党は社会的にも精神的にも完全に破滅させるべきなんだよ」
「お兄さんいつも僕に教えてくれるね」
「僕はもう三十五人のいじめっ子を完全に破滅させたよ」
「そうだよね。けれど僕はまだ六人しかいないね」
「これで十人かな」
 従兄は今回のことを考えながら述べた。
「四人だったよね、確か」
「そうだよ、四人だよ」
「ならその四人を何一つできないまでに壊して死に追いやるんだ」
「それもいつも通りだよね」
 岩清水はさらりと話す。その言葉には邪悪なものがあった。
「死なせてそのうえで墓場まで」
「そう、壊す。周りの家族も何でもね」
「相手を破壊する為にだね」
「そう、徹底的にやるんだ」
 とにかくそうしろというのである。
「わかったね」
「わかってるよ。じゃあ今から」
「やるんだよ」
「明日から早速仕掛けるよ」
 岩清水はまた話した。
「派手にやっていいよね」
「それもいつも通りにするといいよ」
「いつも通り。そうだね」
 そんな話をしていた。そうしてだった。岩清水は本格的に動きだした。それは如月達にとって地獄のはじまりであった。最悪の地獄の。


第六話   完


                     2010・8・20
 
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