こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第31話。変人と殺人貴。
アルと分かれた次の日の朝。
「・・・・クッ。クククククククク」
「ニイさん。不気味だからやめてくれ。」
昨日のことを思い出すたびについニヤけてしまう。口元隠さないと。
「所でニイさん。台所になんの用?」
「おう。これや。」
といって冷蔵庫から取り出した牛乳を取りだす。
「ゴッゴッゴッゴッ・・パハッ~」
「2Lイッキかよ・・・・」
「今度から牛乳は俺が買ってくるわ。」
「どうしたのいきなり?」
べっ・・別に背伸びしないと届かなかったのが悔しんじゃないからな!
「とりま187目指す」
「何で187なんだ?」
分からんのか?流川だよ流川。
いつものように学校に行き、午後10時にアルとシッキーと待ち合わせしているので三咲町に向かう。15分前集合やで?
「だーれだ?」
「キャッ!?」
「俺や。待たせたの」
「もうっ!晋吾!!」
「てか真祖の姫に気づかれずに背後を取るなんて出来るの俺ぐらいやから。」
早速バカップルを始める二人。志貴は晋吾の5分後についたが、何とも行きにくそうだ。
「シッキー遅かったやんけ。20分遅れやで?」
「遅い!志貴!!」
お前らのせいだと言いたい志貴であった。
「さてシッキー。微調整が終わったからの、今日は実践や。覚悟はええか?」
「・・・・ああ。出来ている」
真剣な表情のシッキー。晋吾は満足げに頷く。
基本は俺とアルが探してシッキーが狩るって感じかな?
あと2日もすればアルも大分回復するだろうし、そうしたらアルとシッキーの二人に死者狩りは任せて。
俺が奴を消す。
「所でさ、ちょっと気になったんだけど」
「おん?アルどうしたん?」
「志貴って、メガネしてると『死』が見えなくなるの?」
「ああ、そうだよ?」
「ちょっと見せてくれない?」
志貴は見たらすぐに返してくれとだけ伝え、アルクェイドにメガネを渡す。
「やっぱり、すごい魔眼殺し。志貴、このメガネくれた人。まだこの町にいる?」
「いや、子供の頃偶然あっただけだから・・・・」
アルクェイドはその人物が現存する4人の魔法使いの内の一人。ミスブルーであることを告げる。
「は・・ははっ。本当に魔法使いだったんだ。」
「なぁ、アル。ミスブルー?ってどんな奴?」
「私の聞いた限りだと、『破壊』に関しては他の魔術師の追随を許さないの技量を持つ、破壊特化の魔術師って話よ。」
「危ない奴やな」
「確かに初対面で顔面蹴り飛ばされそうになったっけ」
「男?女?」
「女だよ」
絶対男だろと晋吾は思った。
「どんな魔法使えるん?」
「確か・・第五魔法『青』って行ったわね。どう言ったものかは分からないけど」
「『青』?マジで?」
「晋吾知ってるの?」
「知ってるも何も、赤毛のねえ―ちゃんに銀髪イケメンが教えてたのがそれだってしっとるだけや。」
「それって・・・・」
「志貴。聞かない方がいいわよ。死にたくなかったらね」
魔法に至る道は根源に至ることではなく、根源にいる管理者から授かることである。魔術師たちの目的を根本から崩壊させる一言だった。
図らずも知ってしまった志貴だが、ぶっちゃけよくわかっていなかった。そして晋吾も、その価値を分かっていないのだから救いようがない。
死者の匂いを追って着いたのは、鉄筋だけが組まれたどこかの工事現場。
「さてシッキー。アドバイスや。」
「アドバイス?」
「おう。正直な話や。シッキーがこれからやることは『殺し』やない。」
「・・・・」
「俺は『殺すコト』とは『意志を潰すコト』だと思ってる。せやから意志のない死者はもう殺されてるんや。ロアにの」
「・・・・・・」
「今からシッキーがやることは救うことや。」
「・・・・・・救うこと」
「そう、魂をあるべき場所に返すためや。」
「・・・・・・・・あるべき場所に」
「そのために今やるべきことは・・・・」
「分かっている。・・変・・・・身ッ!」
光と共に暗視スコープ付きのヘッドギアを装着した志貴。
「目標を駆逐する!」
志貴は地面を這い走る蜘蛛のように疾走し、鉄筋を駆け上がる。
「疾ッ!」
一体の死者とすれ違いざまに首、両腕、胴を切断し、さらに駆ける。
鉄筋から鉄筋を移動し、寄って来る死者たちは蜘蛛の糸に絡まるかのように動きを止め、次の瞬間には細切れになって行く。
死者たちは鉄筋を崩し何とか止めようとするが、崩れゆく鉄筋から鉄筋に飛び移り、死者を頭を掴み地面にたたき付け、胸に一指し。そして斜めに切り裂く。
後ろから立ち上がり際を狙った死者が襲うが、斜め下から蹴り上げ、反対の足で消し落とす。
衝撃でバウンドする死者を着地した瞬間に消えるように駆け、体を5つに解体する。
「・・・・最初から最後までクライマックスやなシッキー。」
思ったより強くてビックリした晋吾であった。
「シッキー平気か?」
「ああ、大丈夫だよ。」
シッキーが少し疲れたようなので近くのゲーセンで一休み。現在11時で閉店間近だが、人が一人もいない。大丈夫かこのゲーセン?
「お茶でええ?」
「ありがとう晋吾。」
「ほれ、アルも。」
「ありがとう。」
「・・・・吸血鬼なのにお茶飲むのか?」
「晋吾が前に持ってきたわ。でもこれ、晋吾が持ってきた奴の方がおいしいわね。」
上の玉露と比べちゃいけません。伊右衛門には伊右衛門の美味しさがあるんですよ。綾鷹には綾鷹の美味しさがあるんですよ。
だが、生茶スパークリング。俺は貴様の存在を認めねぇ。
「ほな、明日も同じ時間でええ?」
「ああ、分かった。・・所で晋吾の家は大丈夫なの?」
「大丈夫?」
「あ・・いや、家の人とかさ平気なのかなって。」
「理解ある弟がいるから平気や。姉ちゃんは夜、親父がおらへんと起きてられんしの。」
「両親は?」
「親父は入院中。おふくろはおらん」
微妙に困った顔をするシッキー。少し面倒だと感じる。まぁ、同情を駆るのには相応な人生だしな。仕方がないか
「まぁ、てことで俺の家は平気や。シッキーは平気なん?」
「俺は・・・・秋葉、妹にばれなければ大丈夫。」
むんっ、と胸を張るシッキーだがもうとっくにばれてるようにしか見えないのはなんでだ?
ふと、会話に参加してこなかったアルに気になると、どうやらクレーンゲームに夢中らしい。
「どうしたアル?やってみるか?」
コクリと頷くアル。・・・・可愛い奴め。
どうせ小銭とか持ってないだろうと思い、財布を出して100円を入れてやる。
失敗。もう100円。失敗。むーっと唸り声をあげるアル。カワぇえ奴め
「これ取れないわよ晋吾」
「まぁ、このゲームはこんなもんや。」
「晋吾、取れないの?」
上目遣いで懇願するアル。ぐはぁ。
いや、俺アーケード派だったからさ。クレーンゲームとかさっぱりなんだよね。別に取れなくてもいいならやるけど?
結局、1300円ほど使ったら取れた。・・・・執念だな、俺。
「てかさ、何でこんな騒ぎになってんのに教会の奴らこんの?」
「さぁ?この国が無神論者の国だからじゃない?」
「そんなん関係あるんか?」
「もしくはもう来てるとか」
「マジか」
「教会?」
シッキーが頭の周りに?マークを飛ばしていたので、アルに説明させる。メンドクサイからではない。アルの方が詳しいと思ったからだ。
「その人たちも吸血鬼退治が目的なんだろ?その人たちと協力すれば早くカタが付くんじゃないか?」
「・・・・ダメね。奴らにとってはヒト以外の霊長類は存在自体が悪なのよ」
「・・・・そっか、アルクェイドや晋吾も悪って訳か。」
「晋吾は違うわよ?むしろ歓迎されるかも」
「なんでさ?」
「簡単に言うと教会ではアポストロスが神の化身とされているからよ。」
「あ~。」
納得したと言ったようにこっちを見るシッキー。こっち見んな。
「まぁ、埋葬機関とか来ても、狙われるのは私だけだから安心して?」
「アホ。俺がキチガイをアルに近づかせる訳ないやろが。」
「晋吾~~」
アルのハグを、両腕を広げて受け止める。シッキーが熱いのか手で煽ぎ始めた。どうした?このゲーセン、ガンガンに冷房ついてるぞ?
「そう言えば最初、志貴のこと教会の人間じゃないかと思ったんだっけ?」
「・・もしかして。俺に盾になれとか無茶なこと言ってたのはそう言うことだったのか!」
「アホ。男だろシッキー。盾になるのは当たり前やろ」
「男とか女とかの前に、吸血鬼相手なら盾になった瞬間終わりだから」
そう言って納得いかない表情を浮かべるシッキー。
「贅沢な奴め。じゃ誰の盾ならなるんや?」
「そう言う問題じゃない。」
「アハハッ。志貴みたいな凄腕の殺人鬼なら、盾になるより剣の方が似合うわよ」
「ちがーーーう!」
うがーと唸る様に吼えるシッキー。
「あのな・・一応言っとくけど、俺が人を殺してしまったのはおまえが初めてだよ。殺したいって思ったことも。この眼を使おうと思ったことも、おまえに会うまで一度もなかった。」
「・・・・嘘。あんなに卓越した殺人技術を持っているのに?」
「あれじゃね?退魔の血が騒ぐ!・・・・的な。」
二人が一斉にこっちを向く。アレ?俺、何か失言した?
「おっと失敬、時間の様だ。また明日10時に会おう!」
「ちょっ・・晋吾!待っ・・・・」
逃げるように帰る俺。くっ、こんなくだらない所でポロるとはッ!凛ちゃんのうっかりがうつったか?今度一成の所でお祓いしてもらおう。
後書き
晋吾の身長は140cm後半ぐらい。ちなみに中学2年生男子平均身長は159.9cm。何も言うなッ! ルカワはぶっちゃけ作者が少年の時に思い描いていた淡い期待。現在174cmですが何か問題でも?魔法に至る道云々とかは軽くスルー推奨。簡単に言うと、自ら辿り着くものじゃないんだよ?という他人の手を借りずに努力をし続けた魔術師の夢丸つぶしなオチ。幼女神出した時から考えていた設定。魔術師がち涙目。
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