許されない罪、救われる心
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51部分:第五話 エスカレートその七
第五話 エスカレートその七
「いてくれるけれど」
「ラクロス部の部長さんね」
神無の所属している部活のことは知っていた。それで言ったのだ。
「あの人ね」
「ええ」
「それじゃあその人にも言って。力になってくれるから」
「そうすればいいのね」
「とにかく。皆じゃないし」
このことはことさら強調した。神無を落ち着かせ励ます為だ。
「私達がいるからね」
「いてくれるのね」
「絶対によ。だって」
そしてだ。弥生は言い切った。
「友達じゃない」
「友達?」
「そう、友達よ」
こう神無に告げる。
「頼りにして。何があってもね」
「うん、じゃあ」
「言えないことがあっても」
それもわかっての言葉だ。
「それでもね。力になるから」
「じゃあ」
「とりあえず裏サイトやブログは通報するわ。そうすれば閉鎖させられるから」
「そういうことできるの?」
「できるから。だって酷過ぎるし」
それでできるというのだ。これは弥生が知っている事実だ。
「暫くしたら収まるから」
「だったら」
「このことは任せて。いいわね」
「うん」
神無は弥生のその言葉にこくりと頷いた。そのうえで応えた。
「それじゃあ」
「任せてね。じゃあ帰ろう」
「何処に?」
「クラスによ」
そこだというのだ。
「誰が何言っても気にしないで。私が傍にいるから」
「いてくれるのね」
「何度も言うから絶対にいるから」
また告げた。
「だから泣いたりしないでね」
「わかったわ」
何とか頷いた神無だった。そのうえで自分のクラスに戻る。
その日はずっと弥生が彼女の傍にいた。如月はそれを見てだ。自分でも意識しないうちに嫉妬した。そしてまた三人に対して言ったのだ。
「何かむかついたからさ」
「またやるのね」
「もっとしてやるのね」
「そうよ、今度はね」
止まらなかった。嗜虐性が自分でも気付かないうちに膨れ上がっていた。嫉妬がそれをさらに大きくさせていまっていたことにも気付いていなかった。
「もう二度と立ち直れないようなことしてやりましょう」
「二度とね」
「そうしてやるのね」
「そうよ、それはね」
そうしてそのことを三人にも話す。次の日だった。
昼の時間になると神無にだ。声をかけるのだった。
「ねえ椎葉」
「食べに行かない?」
こうだ。何気なくを装って声をかける。
「いい場所見つけたからね」
「だからね」
「えっ・・・・・・」
四人の声を聞いて青ざめる神無を囲んでだ。さらに言うのであった。
「私達友達じゃない」
「だからね」
「お昼一緒に食べようよ」
「いいでしょ?」
「あの」
その四人にだ。弥生が声をかけた。
「私も一緒に行っていいかな」
「弥生も?」
「うん、一緒にね」
こう言うとだった。神無は弥生の顔を見て生き返ったようになった。だがそれは一瞬で終わってしまうことになってしまったのだった。
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