酒好きなれど
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第三章
「退治は止めてくれ!」
「貴方は」
「泉田健吉君の塾の獣使いの先生だよ」
オークは自ら名乗った。
「名前は伊東留蔵っていうんだよ」
「伊東さんですか」
「そう、そして」
「そして?」
「うわばみは非常に高価なモンスターたい」
「そのうわばみを退治されると」
「私はとても困るたい」
高価なモンスターだけにというのだ。
「だから無傷で捕まえて欲しいんだよ」
「そうですか」
「あんた達が騒動を抑えてもな」
「それでは」
「ああ、ただあのうわばみはかなり高位のモンスターだから」
「白うわばみですね」
「うわばみでも特別な種類で」
それでというのだ。
「ドラゴンに匹敵する力があるんだよ」
「だから退治して欲しくないんですね」
「捕まえて操るのに苦労したんだよ」
「ではそのうわばみは」
「絶対に傷付けないで」
それでというのだ。
「捕まえて頬しいが」
「かなり高位のモンスターだからですね」
「催眠とか麻痺の術は一切効かない」
「一切ですか」
「そう、一切だよ」
まさにというのだ。
「どんな人が術を使ってもね」
「そうして大人しくさせようと思っていたところです」
純奈にしてもそうだった、そして美鈴も同じだ、
「退治するなと言われて」
「睡眠の術で眠らせてか」
「そうしてと思いましたが」
「だがな」
「やれやれですね、では」
「他の方法があるのかい?」
「それならです」
術が通じないならとだ、純奈は今度はだった。
自身の武器である神具の為朝の弓を出した、それを見てオークの男はまた言った。
「射るんじゃないよな」
「そうしますが」
「退治しないでくれと言った筈だが」
「退治はしません」
そこはしっかりと言う純奈だった。
「ご安心を」
「しかし何故弓を出すんだ」
「うわばみを止める為です」
「どうして止めるんだ」
「見ていて下さい」
見ればうわばみは酒を飲むことに集中している、呆れる程飲んでいるがまだまだ足りないといった感じだ。
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