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許されない罪、救われる心

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33部分:第三話 歪んでいく心その十一


第三話 歪んでいく心その十一

 だがそれでもだ。ヒビが入ってしまった。しかしそのことには如月が気付くことはなかった。
 そのうえで学校に向かうとだ。最初に弥生に会った。
「あれっ、早いのね」
「ちょっと寄るところがあってね」
 登校中の朝の道でだ。笑顔で話をするのだった。
「それでなの」
「寄るところって?」
「朝限定で売ってるものがあるのよ」
「朝限定っていったら」
 そう聞いてだ。如月が連想したものは。
「お豆腐?」
「そう思うの?」
「だって朝早くっていったらお豆腐じゃない」
 これは豆腐屋のことである。豆腐屋の朝が早いことは如月も知っている。実は彼女は豆腐が好きで何かというと食べているのである。
「それじゃないの?」
「まあお豆腐は使ってるわね」
「やっぱり」
「けれどお豆腐じゃないの」
「どういうこと?それって」
「豆腐のお菓子なの」
 弥生はこう如月に話した。
「それなのよ」
「お豆腐のって」
「お豆腐屋さんがお菓子を作りだしたのよ」 
「何か変わってるわね」
 如月は弥生のその話を聞いて思わず首を傾げさせてしまった。彼女にとっては今一つどころか何が何なのか見当のつかない話だった。
「それって」
「やっぱりそう思う?」
「っていうか何でそうなるのよ」
「最近多いけれどね」
「多いの」
「お豆腐を使ったお菓子はね」
 それはだというのだ。
「増えてきているわよ」
「そうなの」
「ほら、豆乳あるじゃない」
 今度話に出て来たのはそれだった。
「それから作るのよ」
「豆乳ねえ」
「それから作ったアイスね」
「今から買いに行くのはそれ?」
「そう、それ」
 まさにそれだというのだった。
「それを買いに行くのよ」
「豆乳アイスって」
「これが結構美味しいらしいのよ」
「会うの?それって」
「話を聞くとね」
 会うというのだ。少なくとも弥生はそう述べている。
「美味しいらしいわ」
「ううん、何か頭の中でつながらないけれど」
「けれどお豆腐って癖ないじゃない」
 豆腐の特徴である。淡白で食べやすい。そのうえ栄養があるという非常に優れた食品である。だから昔から食べられているのだ。
「豆乳だってね」
「だからお菓子にもなの」
「まずは食べてからよ」
 弥生の今度の言葉はこれだった。
「食べればわかるわ」
「食べれば、ね」
「だから買ってみるのよ。如月もどう?」
「そうね。アイス好きだし」
 彼女はアイスクリームも好物なのだ。豆腐と同じ位である。
「いいかも」
「じゃあお金出してくれたらね」
「買ってきてくれるの」
「如月の分もね。それでどう?」
「それじゃあ」
 それを聞いてだった。動きはすぐだった。
「御願い」
「ええ」
 弥生は微笑んで彼女のその言葉に応えてくれた。
 
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