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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epica30いざ往かん無限書庫~Go Go !~

†††Sideヴィヴィオ†††

今日は本局の無限書庫で、ジークさんのご先祖様であるヴィルフリッドの書き記したと思しき“エレミアの手記”を探しに行く。シャルさんちで朝ご飯を美味しく頂いた後、シャルさんとルーツィアさん、ヴィクターさんの執事エドガーさんの運転する車3台で中央次元港へとやって来た。

「えっと・・・お、居た居た。はやて、アインス!」

「ルシル君! フォルセティ!」

ルシルさんが、本日わたし達の護衛兼付き添いをしてくれるはやてさんとアインスさんに手を振った。はやてさんとアインスさんがわたし達のところにまで駆け寄って来てくれて、「おお! すごい顔触れやな~♪」ってジークさん達を見回した。

「えー、今日みんなの付き添い・・・と、本局内を案内する、八神はやてです、よろしくな♪」

「同じく、八神リインフォース・アインスだ。道中よろしく頼む」

はやてさんとアインスさんからの挨拶にわたし達も「よろしくお願いします!」って挨拶を返してお辞儀。

「チーム海鳴のメンバーにしてかつて機動六課を率いた部隊長、八神はやて海上司令・・・! お会いできて光栄です・・・!」

「おおきにな~、エルス選手♪」

エルスさんはチーム海鳴の大ファンらしく、ルシルさんやシャルさんにサインをお願いしてた。はやてさんから「じゃあ混雑する前に搭乗手続きに行こっか~♪」そう促されて、わたし達は「はーい! いってきます!」ルシルさんとアイリとシャルさんにって手を振った。

「うん、いってらっしゃい!」

「子供組は、しっかりはやてやアインス達の言う事を聞くんだぞ~」

「いってらっしゃ~い!」

シャルさん達も手を振り返してくれてる中、はやてさんが「アインス、先に行っててくれるか?」って、アインスさんに向かって手を合わせてお願いした。アインスさんがチラッとシャルさん達の方へ向いて、ふふ、って小さく笑った。

「判りました。まだ時間がありますので、どうぞゆっくりと」

「おおきにな♪」

はやてさんが向かったのはルシルさんのところ。シャルさんとアイリがはやてさんに何か喋った後、ルシルさんを置いて次元港の出口に向かい始めた。そっか、ルシルさんとはやてさんって、わたし達が冬休みに入ってからは直接逢えていないんだよね・・・。

(うーん、2人には申し訳なさでいっぱいだよ~)

2人きりでお喋りしてるルシルさんとはやてさんに心の底からごめんなさいして、「おい、ヴィヴィオ、行くぞ!」ノーヴェに呼ばれたわたしも、搭乗手続きをするためにカウンターへ向かった。

「身分証や財布、デバイスなどといった貴重品は各自持ち込むように。着替えなどのかさ張る大きな荷物はそのまま宿舎へと配達してもらうため、無限書庫での探索を終えるまでは手を付けられないからね」

「アインスさん。それって別料金が掛かるやつっスよね? あたしら、料金払ってくるんで・・・」

「いや、すでにルシルが必要経費を全て支払っているからね。そのまま預けてくれていいよ。ヴィクトーリア達も、彼の厚意を受け取ってもらえると私としても嬉しい」

ジークさん達がお礼を言うべくルシルさんとはやてさんの元へ向かおうとしたけど、「お待ちなさい」ってヴィクターさんが止めた。番長が「あ? なんでだよ?」って振り返って、ジークさんも解からないって困惑顔。

「そうだね。お礼はまた帰った後か、本局に着いてからでもいいんじゃないかな」

ミカヤさんもそう言うんだけど、番長とジークさんはやっぱり解かっていないようで。ヴィクターさんが「ジークはまだ仕方ないとはいえ・・・」って呆れた風に溜息を吐くから、「オレがなんだよ?」って番長が不機嫌そう。

「番長、ジーク。ルシルさんとはやてさんを見てどう思う?」

「えっと・・・、楽しそう・・・かな?」

「もう。私とミカヤさんとで態度が違いすぎですわよ」

ヴィクターさんが呆れて肩を落とす中、番長の答えを聞いたミカヤさんが「その通り。だから邪魔はしてはいけないよ?」って笑顔で人差し指を立てた。腕を組んで唸る番長はまた解かってないようだけど、「まぁミカねえがそう言うなら」って渋々納得。

「うん。ヴィクターの言うことは間違ってへんし、帰ってきてからお礼言うことにする!」

そういうわけで、わたし達は手荷物カウンターで着替えの入ったスポーツバッグを預けて、貴重品の入ったポシェットは検査場で危険なものが入ってないかを検査。もちろんわたし達は、そんな危ないものを持ってないということで何事もなくパス。

「アインスお姉ちゃん。今日はリインお姉ちゃんは・・・?」

「ん? あぁ、今日はアギトの昇級試験がミッド地上本部であるからね。リインとシグナムはその付き添いだよ」

「そうだったんだ~。アギトお姉ちゃんに、今の内にメールを送っておこうっと♪」

はやてさんのパートナーであるリインが珍しくはやてさんの側に居ないと思ったら、そういうことだったんだね。フォルセティは十字架型ペンダントを待機モードとする“エマナティオ”をポケットから取り出して、「アギトお姉ちゃんにメール。音声入力」って指示。

≪応。準備完了≫

「アギトお姉ちゃん。試験があるって聞いたよ。頑張って、応援してるよ。・・・以上」

≪メール内容受諾。送信・・・完了≫

フォルセティがメールを送り終えたのを見て、なのはママとフェイトママへのメールの返事はまだかな~ってそわそわしてると、“クリス”がわたわたと四肢を振った。ママ達からの返信メールが届いたみたい。

「クリス。受信モニターを出して」

手の平サイズの小さなモニターが展開されて・・・

――はーい♪ 気を付けて行ってらっしゃい。はやてちゃんとアインスさんの言う事をちゃんと聞いて、お友達のために頑張っておいで~♪――

メッセージの最後にはなのはママとフェイトママの2ショット写真が貼られてた。

・―・―・―・―・―・

「こちら監視班。高町ヴィヴィオ、イクスヴェリア・フライハイト、八神フォルセティが、本局往きシャトルに搭乗したのを確認」

ロビーの一角にあるソファに座るスーツ姿の男が、携帯端末を使ってそう報告していた。彼は最後の大隊の一員だが戦闘員ではなく、標的の監視を行う裏方の一員だ。報告相手は『了解。護衛戦力はどうか?』大隊本部の通信司令室。

「八神リインフォース・アインスが搭乗済み。ルシリオン・セインテストと八神はやてはロビーに2人きりで会話中。騎士イリスと融合騎アイリは外へ出ました」

『こちら駐車場。騎士イリスと融合騎アイリを視認。自家用車に乗車するようです』

別の監視役からの報告も入った。大隊は、イリスら護衛が以前のヴィヴィオ達の外出時、ルシリオンみたく姿を消して付いて来ていないかを確認する必要があった。

「あ! ルシリオン・セインテストと八神はやてに動きあり・・・!」

ルシリオンとはやてが談笑しながらトイレへ向かっていく。その様子に監視役は「チッ。男女で連れションかよ。爆ぜろ」と不満げに吐き捨てた。彼女いない暦=年齢の彼にとって、男女が仲良く話しているだけで嫉妬の炎を燃え滾らせるには十分なのだ。そんな彼はトイレの出口を監視し続け・・・

「両名を確認! 八神はやては受付カウンターへ、ルシリオン・セインテストはエントランスへ向かいます!」

ルシリオンとはやては別れる前に一度だけハグ。そして笑顔で手を振り合いながら別れた。監視員にとって重要なのはルシリオンの動向だ。彼がヴィヴィオ達に付いて行っていないのを確認できれば、それで任務完了だ。ルシリオンが外へ出たことを報告し、さらに駐車場からの『ルシリオンが車に乗車したのを確認!』というもう1人の監視役からの報告によって、彼らの任務は無事に完了した。

『騎士イリスと騎士ルシリオンがミッドに残ったことが確認できた。監視班は撤退せよ』

「『了解』」

†††Sideヴィヴィオ†††

「では、それぞれ指定席に向かってくれ」

アインスさんの指示に従って、わたしはチケットに記載された席番号を確認しながら「えっと、わたしの席・・・」を探していると、「ヴィヴィオさん、こっちです!」ミウラさんが手招きしてくれた。

「じゃあ僕はこっちだね」

「ボクはフォルセティさんの左隣で、ヴィヴィオさんはフォルセティさんの右隣ですね」

そういうわけでわたし、フォルセティ、ミウラさんの順で座るんだけど、わたしはその前に周囲をキョロキョロ。アインハルトさんとイクスとジークさん、コロナとリオは番長、ノーヴェとミカヤさんとエルスさん、ルールーとリヴィとヴィクターさん、そして「お待たせや!」はやてさんが遅れてやってきて、アインスさんの隣の席に座った。

「お母さん。お父さんと直接逢って話せて嬉しかったんだな~。とっても幸せそう♪」

そう言うフォルセティも嬉しそう。本当にルシルさんとはやてさんの事が好きなんだな~。そういうわたしも、なのはママとフェイトママの事が大好き。だからこそ強く思う。早く大隊の問題が解決したいな~と。わたしも通信じゃなくて直接なのはママとフェイトママと逢ってお話したいし。

「(なのはママ達にもう一度メールしとこうっと♪)クリス、音声入力でメールをお願い」

ポシェットから頭を出した“クリス”がビシッと右手を挙手した。準備完了みたいだから、「これからみんなで本局に出発です! いってきます!」ってメッセージを口にして、最後に「送信!」って伝えると“クリス”がわたわたと手を振った。これでメール送信完了だ。それから出発時間までの間、他のお客さんにうるさく思われないように小声でフォルセティやミウラさんとお喋りしていると、機内にアナウンスが流れる。

「いよいよやな、ハルにゃん・・・!」

「はい、ジークさん。必ずエレミアの書を見つけ出します・・・!」

ジークさんとアインハルトさんの会話が聞こえてきた。ハルにゃん。ジークさんがアインハルトさんに付けた愛称だ。

・―・―・回想で~す♪・―・―・

着替えなどを自宅に取りに行ったヴィクターさん達を待ってる間、わたし達チームナカジマは、明日はトレーニング休みということもあって2人1組になってストライクアーツの組み手をしてた。わたしはリオ、アインハルトさんはコロナの組み合わせ。

「お嬢様方、ヴィクトーリア様方がお戻りになりました」

オットーがジムにやって来てそう知らせてくれた。ノーヴェが「少し早いが上がるか?」ってわたし達に聞いた。3時間ちょっとだったけど、お客さんを待たせるわけにもいかないから頷こうかとしたら、「お邪魔でーす」って番長や、「お邪魔しますわ」ってヴィクターさん達が、メイドさんに案内されてきた。

「おお! ミカねえに聞いてたけど、マジですげぇ設備だなおい!」

「隣にはプールがあるって話なんやけどホンマ!?」

「え、あ、はい。確かにプールもありますよ♪」

興奮気味なジークリンデ選手の問いにイクスが答えると、「おお!」って目を輝かせた。ジークリンデ選手、泳ぐのが好きなのかな~。それなら一度泳ぎで勝負してもらいたいかも。

「おいおい、お嬢。同じ古代ベルカの貴族・・・っつうか雷帝の子孫なんだから元王族なんだろ? この家に負けてんじゃね?」

「一度も私の家に来たこともないクセに何を・・・! わ、私の家にだってジムはありますわよ?」

「確かにあるけど、器具は数えるほどしかあらへんよ?」

「元々私しか使わないのだから当然よ、ジーク」

「そういえば以前、プールの他にもサウナもあると言っていたね」

そう言ってミカヤさんが「家にサウナとは羨ましい限りだよ」って腕を組んでうんうん頷いた。それに真っ先に反応したのはやっぱり「すげぇな! なあイクス! 後でちょっと使わせてくれ!」って言う番長。

「ウチも!」

「それなら私もお願いしようかな」

ジークリンデ選手にミカヤさん、それに「あ、私もご一緒したいです」エルスさんも小さく挙手した。ヴィクターさんは腕を組んでそっぽを向いていたけど、「わ、私も使わせてください」って若干照れながらそう言った。

「はい、もちろんです!」

「ならついでにジムのトレマシンも使わせてもらっていいか? お前らのトレーニングが終わるまで待ってるのも暇だからよ」

「構いませんよ。ノーヴェさん、それで大丈夫ですか?」

「あ、ああ。イクスがそれでいいなら、あたしからは何も言うことは無いぞ。じゃあヴィヴィオ、コロナ、リオ、アインハルト。もうちっとトレーニングを続けるぞ」

ノーヴェに「はい!」と応じて、ジムのトレーニングマシンに向かっていく番長たちを横目に、わたしは今度の組手相手のコロナと、リオはアインハルトさんと向かい合う。魔法や魔力強化を一切使わない純粋なストライクアーツでの組手をするんだけど・・・。

「見られてるね・・・!」

コロナの繰り出す右拳を左手の甲で外に払い除けながら、「うん。すごい緊張する・・・!」って返しながら、コロナの顎に向けてアッパーを繰り出す。コロナは紙一重で躱して、ステップを踏んで後退した。世界最強の座に一度は就いたジークリンデ選手が、わたしとコロナ、リオとアインハルトさんの組手をジッと眺めてる。

(ジークリンデ選手がじかに見てる。緊張する・・・けど、もっと見て欲しいっていう気持ちも湧いてくる・・・!)

3分間の組み手を終えて、コロナと「ありがとうございました」って一礼。休憩を挟んだ後、また相手を変えての組手になるんだけど・・・。ジークリンデ選手が「あの・・・」ってノーヴェとイクスに声を掛けた。

「何か?」「はい?」

「いろいろと、その・・・エレミアの手記とか、お世話になったからそのお礼をって思て・・・。良かったらなんやけど組手の相手とか、ウチも手伝えたらなんて・・・」

「「「「っ!?」」」」

耳を疑った。チャンピオンが、世界最強が、ジークリンデ選手が、わたし達チームナカジマの組手相手を願い出てくれた。ジークリンデ選手は「予選が始まるくらいまでって条件付きやけど・・・。どうでしょう?」って確認した。わたし達は目をキラキラさせながらノーヴェとイクスの反応を見守る。

「それは願ってもない提案です。ノーヴェさん、ご好意をお受けしては?」

「だな。ではお願いします!」

「「「やったー!」」」

「闘える? チャンピオンと・・・現代のエレミアと・・・」

わたしとコロナとリオは万歳で喜んで、アインハルトさんは右手を胸の前でギュッと握り拳にした。記憶の中にあったクラウスとリッド、それにオリヴィエの組手はすごかった。目標としてる絶対の強者との組手なんて、そうそう経験できるものじゃない。

「そんで・・・あの、ハルにゃんとまずはやってみたいなって」

「「「「「「・・・・・・ハルにゃん?」」」」」」

わたし達とフォルセティとノーヴェとイクスが同時に首を傾げた。ジークリンデ選手の顔がボンッと一気に赤くなって「ご、ごめんな急に! えっと、あのな!」ってあたふたと大慌て。

「ハルにゃんって呼んでええか?って聞こうって思ってたんよ! 確認する前にそっちで呼んでもーた! なんかな! 君の相方、確か豹・・・雪豹やったやん!?」

「あ、はい。アスティオン・・・ティオと、私や皆さんは呼んでいます」

「あ、うん! そのティオって子、にゃあって鳴くし! なんかな、アインハルト自身もなんや猫っぽいんよ!? そやからハルにゃん、って! ウチ、仲良ぅなりたい子や、親しい子にはこう・・・愛称を付けたなって呼びたくなってしまうんよ! 嫌やったら言うてな!」

可愛いって思えちゃうほどに大慌てなジークリンデ選手。アインハルトさんは「いえ、嫌ではないです」って首を横に振った。

「呼び方についてはご随意にどうぞ。ハルにゃんと呼ばれたら、私のことだと思うようにします」

「ホンマに!? ほんなら君らも・・・ヴィヴィちゃん、コロちゃん、リオちゃん、イクスちゃんって呼んでええ?」

なんと、わたし達にもそんなフレンドリーな呼び方を。もちろんわたし達は「ぜひ!」って思い切り頷いた。でもすぐにわたしは「フォルセティ・・・」が呼ばれなかったことが引っ掛かった。フォルセティもちょっぴり残念そうだし・・・。

「あ、君のことはヴィクターと同じように、セティ、って呼びたいんやけど・・・、そのな、ちゃん付けか君付けかで迷ってるんよ~。ウチ的にはセティちゃんなんやけど?」

背後にガーン!って擬音を幻視しちゃうほどショックを受けたフォルセティが、「僕、男なんでぜひに君付けでお願いします! 割と切実に!」って半泣きでお願いした。たぶん、フォルセティの事を知らない人が、セティちゃんって呼ばれてるのを見たら、きっと女の子だって勘違いされること間違いなしだもん。

「あ、うん。じゃあセティ君やな♪ ウチのことはジークでええよ! 家族や友達はそう呼ぶしな!」

・―・―・終わり♪・―・―・

あの後わたし達、それに途中参加のミウラさんは、ジークさんと順番に組手を行った。ジークさんは射砲撃戦、格闘打撃戦、密着状態での投げ技に関節技といった、まさにオールラウンドのファイター。組手だから魔法は使わなかったけど、その他の打撃・関節技に四苦八苦。結局、アインハルトさんを含めチームナカジマとミウラさんは、全員が成す術なく秒殺だった。

(でも楽しかったな~♪)

だけどアインハルトさんは楽しんでいるようには見えなかった。やっぱりクラウスの記憶に引っ張られているからだと思う。アインハルトさんの背負ってるものを少しでも減らしてあげたいわたしも、「よしっ」て両手を握り拳にした。
そんな中、いよいよシャトルが出発して、本局に到着するまでの間は静かに本を読んだり、小声でお喋りしたり、思い思いに時間を過ごした。ちなみにわたしとミウラさんは、フォルセティを挟んで格闘技談義に花を咲かせた。

「みんなー、荷物忘れへんように降りてな~!」

本局へは3時間ほどで到着。はやてさんの注意にみんなで「はーい!」って答えて、シャトルを降りてターミナルに降り立つ。こっちの次元港は民間航空専用のターミナルだから一般の人ばかり。管理局の艦はそれ専用のドックに入ることになってるから、残念だけど見ることは出来ない。

「おおー! 来たぜー、本局ー! マジで街が広がってんだな~!」

「屋内なのにちゃんと空もあるんですねー!」

「ホンマやー! 雲もちゃんと動いとる~!」

「風も吹いているし、本当に地上に居るみたいだね」

「何も知らずにココを訪れたら、まず本局の中だと気付かないでしょうね~」

「本局は、局員さんやそのご家族だけでなく、一般の人も住んでいるんですよ♪」

わたし達子供組は見慣れた光景だけど、エントランスから出ると番長さん達が驚きに目を輝かせた。ヴィクターさんが「司令。ここからは・・・?」ってはやてさんに尋ねる。

「うん、ここからはバス移動やね」

「無限書庫前までの路線がありますから、それに乗りましょう! アレです!」

わたしはバスターミナルに停車中の1台のバスを指差した。無限書庫には一般解放区画もあって、そこを利用するお客さんもいるから、ちゃんと路線の中に組み込まれてる。そういうわけでバスに乗って無限書庫へ。ガラス張りの左右に開くスライドドアを潜って中へ。

「まずは一般開放区画ですね。文字通りどんな人でも利用できて、本も10冊までで1週間レンタルすることも出来ます。で、今日のわたし達の目的地はこの奥、未整理区画になります」

ぞろぞろと大所帯でエントランスを抜けて受付カウンターへ。司書資格を持ってるわたしとフォルセティが代表として「こんにちは~!」って、カウンターに座る司書であり管理局員でもあるボニーさんとシンディさんに挨拶。

「いらっしゃい、待っていたよ!」

「今日は未整理区画での調査だよね? えっと、セインテスト調査官から、一般人のお友達も一緒だって連絡貰ってるけど・・・。危険度は低いとは言っても完全に0じゃないから・・・」

展開した空間モニターをタップして、わたし達が(正確にはルシルさんが)予約していた調査計画を確認するシンディさん。フォルセティがボニーさんに「一般人とはちょっと違いますよ」って、後ろに控えてるジークさん達に振り返ったからボニーさんとシンディさんの目もそっちを向いた。

「インターミドルの上位選手ですから!」

「え?・・・あっ! テレビで観たことあるー!」

「妹がファンなの! サイン貰っちゃおうかな~!」

「だってよ、ジーク」

「ウチ!? 番長たちもそうやろ!?」

わいわい騒いじゃってるボニーさんとシンディさんにはもう2人の紹介があったりする。わたしは一番後ろで見守ってくれてた「それに八神司令とアインス司令補です」って紹介する。

「こんにちは~♪」

「お疲れ様」

「「お、お疲れ様です!!」」

さっきまでのわいわい騒ぎから一転、はやてさんとアインスさんからの挨拶に、ボニーさんとシンディさんは椅子から立ち上がってビシッと挨拶を返した。そんな2人にリオが「司令たちが一緒なので、危ない事はないです!」って笑顔で言うと、「みたいね、あはは・・・」2人は椅子に座り直した。

「こほん。えっと、じゃあいつも通りに奥の転送ゲートから進んでね」

わたし達は奥へと進んで転送ゲートへ。かなりの大型ということもあって、わたし達全員が乗っても余裕の広さがある。

「ここから先の書庫は無重力空間になります!」

「その影響で、気分が悪くなってしまうこともあります!」

「あたしとコロナ、最初はそうだったよね~」

「うん。足を付けられないから目が回っちゃって・・・」

わたしも最初はくるくる回ってったっけ。フォルセティは飛行魔法使えるし空戦も出来るから、あの頃は良くお世話になってたな~。皆さんからの「はーい!」って元気な返事にわたしは笑みを零しつつ、皆さんがゲートの上に立ったのを確認。空間コンソールを操作して、転送先を古代ベルカ区画へと設定。

「それでは。ゲート・オープン!」

転送は本当に一瞬で終わって、わたし達は無重力が支配する本来の無限書庫へと入った。
 
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