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許されない罪、救われる心

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20部分:第二話 部活からその十二


第二話 部活からその十二

「あいつの机と椅子にね」
「よし、じゃあ明日朝早く行ってね」
「それか放課後にやってね」
 文月と霜月が時間を言ってきた。
「それでいきましょう」
「今度は教室でね」
「よし、じゃあ決まりだな」
 長月が笑顔でまとめた。
「明日朝早く行ってな」
「ええ、そうね」
「そうしましょう」
 これで話が決まった。翌朝如月はいつもより早く家を出た。あんまり早いので母親が少し驚いていた。
「もう行くの?」
「そうだけれど?」
「早過ぎない?」
「早いって?」
「そうよ、普段より早いじゃない」
 こう娘に言うのだった。
「どうしてこんなに早いの?今日は」
「ああ、ちょっとね」
 理由を言える筈もない。だから頭の中で辻褄を合わせて言うのだった。
「友達と待ち合わせしてて」
「弥生ちゃんと?」
「部活違うから」
 弥生は美術部にいる。彼女は文科系なのだ。体育会系の彼女とはそこが違うのである。
「そうじゃないわよ」
「じゃあ誰となのよ」
「長月達とよ」
 ここでは本当のことを話した。これ位なら問題はないと思ったからだ。
「ちょっとね。朝のうちにコンビニに行ってね」
「何か買うの?」
「そうなの、限定のお菓子をね」
 母の問いに乗ってだ。こう述べたのであった。
「買いに行くのよ」
「そうだったの。ならいいわ」
「ええ。それじゃあね」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
 こう挨拶をして学校に向かう。そのうえで長月達と合流して朝練の前に急いでだった。やることをやってそのうえで部活に向かった。
 そして部活が終わって教室に入ると。四人の予想通りだった。
「おい、誰だよ」
「誰がこんなことやったんだよ」
「酷過ぎるだろ」
 滅茶苦茶に落書きされた神無の机があった。それに黒板にも彼女を中傷する言葉や落書きがこれでもかと書き殴られていた。そのうえだった。
 机の中にはゴミ箱にあったゴミが放り込まれていた。何もかもが滅茶苦茶だった。
「これっていじめか?」
「そうだよな」
「いじめだよな」
 男子生徒達が険しい顔で言っていた。
「それにしてもこれ酷過ぎるよな」
「ああ、ないぜこれって」
「ちょっとな」
「そうよね」
「こんなことする人がいるって信じられない」
 女子生徒達もだった。呆然としながら話す。
「酷過ぎるわよ」
「こんなことするって」
「一体誰が」
「そんなことは今は問題じゃないよ」
「そうよ」
 ここでだ。葉月と弥生が出て来て皆に言う。
「こんなのこのままにしてはおけないからね」
「何とかしよう、すぐに」
「それでいい?」
 葉月が自分の机の前で呆然となっている神無に対して話した。
「椎葉さんは」
「う、うん」
 神無はだ。呆然となったまま彼の言葉に頷いた。
 
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