許されない罪、救われる心
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180部分:エピローグその一
エピローグその一
エピローグ
二人の大人の女性がだ。マジックの中にいた。
そこの二人用の席に向かい合って座ってだ。コーヒーを飲みながら話をしていた。
「そう、その娘は上手くいったのね」
「ええ」
見ればだった。如月だった。大人びた雰囲気になっている彼女がだ。同じく美しく成長した弥生に対してだ。静かに答えていた。二人共あの時の髪型のままだ。顔立ちも残っている。しかしさらに優しい顔になってだ。服もそれぞれスーツになっている。どちらも白っぽい穏やかな色のスーツだった。
「何とか。立ち直れたわ」
「よかったわね。あんなに落ち込んでいたのに」
「不登校になってね」
「それでも。学校に戻れたのね」
「ええ。かなり傷ついたけれど」
それでもだというのだった。
「また登校しだしたわ」
「よかったわ。それに如月も」
「私も?」
「頑張ってるのね」
その成長した如月に対しての言葉だった。
「そうなのね」
「頑張ってるのかしら」
「頑張ってるわ。とてもね」
弥生は優しい声で如月に話す。
「カウンセラーとしてね」
「そうなの。だったらいいけれど」
「何か私も」
そしてだ。ここで弥生は自分自身のことを言うのだった。
「そういうの見てたらね」
「見てたら?」
「頑張らないとね。そう思えるわ」
「そうなの」
そして如月もだ。その弥生に対して言う。
「小学校の先生って辛いって聞いたけれど」
「やりがいのある仕事よ」
それだとだ。彼女は笑顔で話すのだった。
「とてもね」
「そう。だったらいいけれど」
「ええ。それでね」
また弥生から話してきた。
「葉月君はね」
「彼はどうしてるの?」
「会社で頑張ってるわ」
そうだというのである。
「彼もね」
「そうなの」
「ええ。元気よ」
「そう、よかったわ」
「長月達はどうしてるの?」
弥生は今度は彼女達のことを如月に尋ねた。
「あの娘達は」
「あれ、この前一緒に飲んだじゃない」
如月は弥生の今の言葉にはきょとんとなって返した。
「私も一緒だったじゃない」
「それはそうだけれど」
「知ってるでしょ。元気にやってるわよ」
「長月は看護士になったのよね」
「そうよ」
彼女はそれだった。
「それで文月は教育学部に残って」
「そこで研究員になってるわ」
「霜月は幼稚園の先生になって」
「皆元気だから」
そうだというのであった。
「三人共ね」
「そう、皆元気なのね」
「だからそれ知ってるんじゃ」
「ううん、それでもね」
「それでも?」
「確かめたかったっていうか」
何故聞いたのかだ。その理由を自分から話す弥生だった。
「聞きたかったのよ」
「それでなの」
「そうなの。やっぱりね」
ここでこうも言う弥生だった。
「三人共。幼稚園の頃からの付き合いだし」
「そうよね。長いわよね」
「ええ、本当にね」
こう話すのだった。
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