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許されない罪、救われる心

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18部分:第二話 部活からその十


第二話 部活からその十

「誰がこんなことしたんだ?」
「一体」
「そうだよ、御前か?」
「俺がこんなことする筈ないだろ」
「じゃあ誰なんだよ」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ」
 ここで葉月が出て来てクラスメイト達に話した。
「こんなの。早く直さないと」
「そうよ。ねえ椎葉さん」
 弥生も出て来た。そして神無に声をかけるのだった。
「気にしないで。悪戯だから」
「う、うん」
「なおそう。こんなの」
 こうしてだった。葉月と弥生は神無を優しく慰めながらそのうえで花瓶も花もなおしたのだった。話はこれで一旦終わった。しかし四人はそれをクラスの端で見ながらほくそ笑んでいた。
「見たかよ、あいつの顔」
「見た見た」
「唖然ってしてたわよね」
「もう何が起こったのかわからない顔だったわね」
 三人に続いてだった。如月も歪んだ笑みで言った。
「いい気味よ」
「誰がやったかわかってないみたいだしな」
 長月は笑いながらまた話す。
「それで次は部活でやってやろうぜ」
「そうね。ロッカーとかね」
「部活の時にやるのもいいわね」
 長月の提案に文月と霜月が応える。
「じゃあ。ジャージとか隠す?」
「ロッカー滅茶苦茶にするとかね」
「いいわね。それじゃあロッカー滅茶苦茶にしてやろう」
 如月はロッカーを提案した。
「何なら今から行く?」
「いいな、部室の窓の鍵壊れてるしな」
 彼女達にとって都合のいいことにだ。長月は如月のその提案に笑って応えた。
「じゃあやってやろうぜ」
「そうね」
「それじゃあね」
 文月と霜月も頷いてだった。そのうえで四人でこっそりと部室に向かいだ。何食わぬ顔で教室に戻ってそのうえで授業を受けた。
 部活の時間になるとだ。まず部長が怒った。
「何、これ」
「何って」
「どうしたんですか、これ」
「一体誰がやったの!?」
 本気で怒った顔で部員達に対して問う。今彼女達は部室にいた。神無のロッカーが荒らされゴミが入れられ落書きがされていたのだ。
 その落書きの文字が実に汚い。明らかに彼女を罵倒し中傷するものだった。それが実にあからさまに書かれていたのである。
「こんなことを」
「私じゃないですよ」
「違いますよ」
 皆強張った顔で否定する。
「誰がこんなことするんですか」
「悪戯にしては酷いですよね」
「そうよ、こんなことする人はね」
 部長は目を怒らせて言った。
「退部にするから。誰でもね」
「退部ですか」
「そこまでなんですか」
「当然でしょ」
 部長はそれを当然と断言した。
「こんなことをする娘がスポーツマンだと思う?絶対に許さないから」
「そうですよね、本当に」
「これはあんまりですよ」
「とにかく」
 こう話してからだった。部長は神無に顔を向けて言った。
「椎葉さん」
「は、はい」
 神無もそこにいた。そして変わり果てた自分のロッカーを見て蒼白になっていたのだ。何故こんなことになったのか自分でもわからなかったのだ。
 
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