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許されない罪、救われる心

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158部分:第十四話 戻ってきたものその十


第十四話 戻ってきたものその十

「だからね」
「それでなの」
「そうして」
「ここにまで」
「今は行こう」
 また言った。そしてだった。
 学校に向かう。校門に来た。如月が意を決した声を出した。
「いよいよよね」
「行こう」
 弥生は彼女に顔を向けて話した。
「それじゃあね」
「ええ」
 まずは如月が頷いた。
「それじゃあ今から」
「そうしよう。けれど」
「けれど?」
「怖がる必要はないから」
 彼女だけでなくだ。三人にも告げた言葉だった。
「それはね。私もいるから」
「そうよね。だからね」
「だから行こう」
 如月の手を持った。何とか元に戻ってきていた。だがまだやつれがある。
「今から」
「うん」
 如月が頷いてだった。そうしてだった。
 五人で校門に向かう。そこを通り過ぎるとだ。
 すぐに罵声が来た。しかも一つや二つではない。
「学校に来るな!」
「帰れ!」
「出て行け!」
 こうした言葉がだ。四方八方から浴びせかけられた。
 そして岩清水達もだ。同志達を集めてこう叫んでいた。
「皆、いいね」
「ああ!」
「あんな連中許してたまるか!」
「一生報いを与えてやる!」
「地獄に落としてやる!」
「覚悟しろ!」
 見ればだ。彼女達のクラスメイト達も大勢いた。彼等は敵意と憎悪に満ちた顔で四人を見据えてだ。そのうえで前から、そしてクラスの窓から叫んでいた。
「よく学校に来れたな!」
「何考えてるんだ!」
「あんなことしていてね!」
「とっとと消えろ!」
「ああ・・・・・・」
 四人はその罵声の嵐を受けて足を止めてしまった。すくんで動けなくなった。
 だがその彼女達にだ。弥生がここでも言ってきた。
「大丈夫だから」
「弥生・・・・・・」
「前に進んで」
 四人にだ。優しい声で囁いたのだった。
「前にね」
「前になの」
「そう、前にね」
 その前にだというのである。
「一人じゃないから」
「だからなの」
「言ったわよね。何があっても絶対に傍にいるって」
 弥生は四人にこのことを話した。
「だからね。安心して前に進んで」
「前に。じゃあ」
「一歩前に出て」
 そうしろというのだった。
「一歩。まずはね」
「それじゃあ今から」
「そうして」
「わかりました」
 その言葉にこくりと頷いてだ。そうしてだった。
 一歩前に出た。小さいがそれでも確かに前に進んだ。そうしてそのうえで、だった。四人は罵声の嵐の中を進んでいくのだった。
 
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