許されない罪、救われる心
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157部分:第十四話 戻ってきたものその九
第十四話 戻ってきたものその九
それを話してだ。弥生はさらに話す。
「私、そんなの嫌」
「私が晒されることが?」
「如月が死んでそうなってたら私絶対に耐えられなかった」
「弥生・・・・・・」
「ずっと一緒だったじゃない」
如月を見ての言葉だった。
「だから。友達だから」
「友達だからなのね」
「そう、友達だから」
それが理由だった。理由としての全てだった。
「だから」
「友達だから」
「それでね。如月」
如月にあらためて声をかけてきた。
「もうすぐね」
「そうね。もうすぐね」
「長月のお家ね」
こう言ってきたのだ。
「そうよね」
「そうね、もうすぐね」
如月も弥生のその言葉に頷いた。そうしてだった。
そのうえでだ。如月はまた言うのだった。
「最初は長月よね」
「それでね。文月と霜月もね」
「四人でね」
そして。弥生がここでまた言った。
「私もよ」
「弥生もなのね」
「そうよ、絶対にいるから」
それは絶対だというのだった。それを話すのだった。
「それでいいわよね」
「うん、有り難う」
「それじゃあ」
電車が停まった。ここで。
そうしてだった。また弥生が如月に声をかけた。
「行こう」
「ええ」
如月も頷いてだった。二人で電車を降りてだ。その二人で駅を出てそのうえでだ。長月の家に向かう。そして文月と霜月もだった。
幸い岩清水達は誰の家にもいなかった。そのことは幸いだった。しかし五人になったところでだ。弥生は深刻な顔になって話した。
「学校にね」
「いるのね」
「やっぱり。あそこに」
「あの連中が」
「間違いないわ」
弥生が四人に話していく。
「それはね」
「そうなんだな」
長月はそれを聞いて顔を暗くさせた。
「あの連中、学校で」
「けれどもう」
「行かないと」
文月と霜月は暗くなった顔で話した。
「そうよね、元に戻らないと」
「絶対に」
「うん、一緒に戻ろう」
弥生はその二人の言葉に微笑みで応えた。
「絶対にね」
「元に戻らないと」
「こんな状況は」
「そうよ、戻りましょう」
また言った弥生だった。
「一緒にね」
「弥生、有り難う」
「本当に有り難う」
三人はその弥生に対して礼の言葉を述べた。
「私達にそこまでしてくれて」
「迎えにまで来てくれて」
「当たり前よ。友達じゃない」
言うことは如月に対するのと同じだった。
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