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許されない罪、救われる心

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146部分:第十三話 贖罪その九


第十三話 贖罪その九

「それは同じだから」
「同じね」
「城崎さん達も辛い思いしてきたから」
「そうね。如月達は」
 弥生は実際に今四人の身体に上から触れている。その触れている身体はだ。彼女が知っている四人のものよりずっと痩せてしまっていた。
 その身体をわかっているからこそだ。弥生は今言うのだった。
「もう。壊れそうだから」
「そうよね。それは同じだから」
「この娘達。許してくれるのね」
「もう泣かなくていいから」
 神無の言葉だった。
「もうね」
「ねえ」
 ここでだった、弥生は四人に声をかけた。
「もう立ち上がろう」
「えっ?」
 如月がここで声をあげた。
「弥生?」
「そうよ、私よ」
 その泣き崩れる彼女達に答えたのだ。
「もう泣かなくていいから」
「けれど・・・・・・」
「もう。全部終わったから」
 だからだというのだ。
「起きて。何時までも泣いていたら駄目よ」
「私達・・・・・・」
「許してもらえたの?」
「本当に」
「ええ、そうよ」
 その通りだと。また四人に言った弥生だった。
「だからね。起きて、もう」
「・・・・・・許されるって」
「そんな・・・・・・」
「酷いことしたのに」
「それでもなの?」
「確かにね」
 弥生は起き上がろうとする彼等を見ながら話す。その目も声もこのうえなく優しいものになっている。その優しさの中での言葉だった。
「如月達のしたことは許されないことよ」
「・・・・・・うん」
「絶対にね。けれどね」
「けれど?」
「それでもなの?」
「そうよ。例え誰も許せなくても」
 それでもだと。話すのだった。
「その人が許してくれたら」
「その人が」
「この場合は椎葉さんね」
 神無その人がだというのだ。
「許してくれたらそれでいいのよ」
「それでなの」
「許してくれたら」
「それでいいのよ」
 そうだというのであった。弥生はこう四人に話すのだった。
「それに誰かを許す許さないって」
「ええ」
「それは人が決めることよね」
 今度はだ。人のことを話すのだった。
「人がよね」
「人が?」
「人間がなの」
「人が誰も許さなくても。神様が許してくれるわ」
 弥生は今度は神のことを話したのだった。人ではなくだ。
「本当に悔い改めたなら」
「私達本当にそうできてる?」
「悔い改めてるの?」
「今は」
「そうだったら。いいのだけれど」
「今の貴女達がその証拠よ」
 こう四人に温かい声で話すのだった。
「その涙も。身体の震えも」
「そうね」
 神無も言った。見ればだ。
 四人の身体は震えていた。嗚咽の結果だ。そうなっていたのだ。
 
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