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許されない罪、救われる心

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134部分:第十二話 家族その七


第十二話 家族その七

 その彼女の代わりにだ。弥生が言うのだった。
「ねえ如月はね」
「・・・・・・・・・」
「私の隣に座って」
 そうしてくれというのである。
「いいわね」
「・・・・・・うん」
「私が話すから」
 自分がだというのである。
「だからね」
「わかったわ。それじゃあ」
「じゃあ座って」
 如月のその背中に手をやっての言葉だった。
「私の横にね」
「うん・・・・・・」
 頷くだけだった。家族を見ることもできなくなっていた。しかしだった。
 家族はその如月を見てだ。忌々しげに言うのだった。
「何で戻って来た」
「ずっと入院してればよかったのよ」
「大体だよ」
 両親も睦月もその如月を見て彼女に言う。目にはこれ以上までにない嫌悪がある。
「御前のせいでお父さんも閑職に追い込まれたんだ」
「次のパート先も見つからないし」
「学校で皆に言われてるんだよ、いじめっ子の弟って」
「あの、それでも」
 その三人にだ。弥生は言うのだった。
「家族じゃないですか」
「家族!?」
「何処がよ」
「もう家族でも何でもないよ」
 三人はその弥生にも言葉を返した。
「今こんな状況にしておいて」
「家にまだ抗議のデモ隊が来るのよ」
「学校にまで来るし。全部お姉ちゃんのせいじゃないか」
「確かに如月はいじめをしました」
 弥生もこのことは認めた。
「ですが」
「ですが?」
「それでどうしたの、弥生ちゃん」
「見て下さい、今の如月」
 その如月を見るように言ったのだった。
「この娘、こんなにやつれて。ずっと辛い思いをしてきたんです」
「そんなの自業自得じゃない」
 母親の言葉だ。
「この娘がやってきたことが自分にも返って来ただけよ。当然のことよ」
「そうだよ。お姉ちゃんがそういう目に遭うのは当然のことだよ」
 睦月もまた言った。
「どうせなら死んだらよかったんだ、あの時」
「そうだ、御前なんかもう娘じゃない」
 父もであった。
「どうとでもなれ」
「それなら」
 三人の言葉をここまで聞いてだ。弥生はそれでも話した。
「どうしてなんですか?」
「どうして?」
「どうしてって」
「こうして。私の話を聞いてくれるんですか?」
 正面からの話を搦め手に変えてきた。
「それはどうしてなんですか?」
「それは」
「その」
「それにこの娘にも会ってくれてますし」
 如月を見てだ。また話すのだった。
「それはどうしてなんですか?」
「そう言われても」
「弥生ちゃんが言うから」
「それだけではないですよね」 
 如月の両親の今の言葉に返した。
 
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