魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第百六十七話
同日 14:00
シュヴァルツェアハーゼ駐屯地、会議室。
「で?」
「はぁ…」
「何があったの?」
「話したくないが……仕方あるまい…」
千冬が隣に座るクラリッサに視線を向けた。
クラリッサが頷く。
「本日、EOS野外運用試験任務に置いて野獣被害にあったと思われる住民と接触。保護しました。
そしてブリュンヒルデと合流の後、保護した住民と交戦。
隊員数名が敵の音波兵器と思われる武装でダウン。
ラウラ少尉が腹部に傷を負いました」
「そこは報告書で読んだんだけどさぁ、ワケわかんないんだけど?」
ゲオルグが千冬に視線で催促する。
「はぁ……奴の名前はカルタフィルス。簡単に言えばテロリストだ」
「テロリスト? でテロリストにやられてむざむざ帰って来ちゃったの?」
ゲオルグの声は何時ものようにからかう物だったが、その中に混じるのは怒りの類いではなくただただ困惑だった。
ブリュンヒルデがたった一人のテロリストごときに引いたのか、と。
「無茶を言うな。あちらは生体兵器を持っていたんだぞ。
それに私だけならともかく荷物を背負っての追跡などできる物か」
「生体兵器?」
「キメラだよ。蝙蝠の羽に蟷螂の腕、狼の胴のな」
「チフユ? 君はいったいいつからそんなジョークを言うようになったんだい?
キメラ? そんなの居るはずないだろう?」
「お前がそう思うのならそうなんだろうな。
お前の中ではな」
千冬が気だるげに言いながら、USBメモリを取り出した。
EOSから取り出した画像データだ。
それをテーブルに置いた。
「ゲオルグ。忠告だ。この世界の裏側は何時でも私たちの隣にあり、私たちを見ている。
そして、常に私たちを誘おうとする」
千冬が指を一振りすると、シュガーポットの蓋が浮き上がった。
中から角砂糖が出ていき、ゲオルグの目の前のコーヒーの中に飛び込んだ。
「世界に存在する力は、科学だけではないんだよ。
そして、裏側には裏側のやり方しかつうじないことも多い」
それだけ言うと千冬は立ち上がり、会議室を後にした。
クラリッサもそれに続く。
「………はっ!? まさかチフユがNINJAだったとは!?」
シュヴァルツェアハーゼのハンガーではEOSの整備と敵生体兵器の解析が行われていた。
「織斑教官。敵の…あの攻撃はいったいなんだったのでしょうか…」
クラリッサの目の前には、脚部が破損したEOSが鎮座している。
千冬はしゃがみこみ、脚の切断面に触れた。
綺麗に切れたそれは鏡のような面をしていた。
「超音波メスだろうな。それも科学的な物ではなく、恐らくは魔法との併用。厄介な相手だ」
「魔法…ですか?」
「おいおい。そんなイタい奴を見る眼を向けてくれるなよ。
これでも私だって魔法使いの端くれなんだ」
「えー…じゃぁルーモスやってください教官」
「ルーモス?………うん? ハリポタ? うん?」
千冬は指先に気功を集めると、それを光エネルギーに変換した。
「照明魔法…であってるか? 弟が好きなシリーズなんだが私はからきしでな」
「えっと…他には何ができるんですか?」
「ISくらいなら魔法で切れるぞ。さっき森を薙いだやつだ」
「きょ…教官って魔法少女だったんですか?」
「魔法少女? 私が?」
千冬はツボに入ったらしく、うずくまって爆笑し始めた。
「くく…魔法少女…魔法少女ねぇ……。
クラリッサ、お前そういうのが好きな質か」
「ええ、まどマギ大好きですよ」
「くく…少なくとも私は少女では居られなかった。
母や姉…もしかすると父や夫といった役割を果たすしかなかったぞ」
千冬は切断面を右手で触れた。
『アリス』
『組成出たよ。荷電粒子とかの残留は無し。
でも、やっぱりナノレベルで融けてる。
超音波メスっていう判断は間違ってないみたいだよ』
『咄嗟にミラージュを使ったが、本当に粒子砲の類いだったら防げんからな』
「恐ろしい切れ味ですね…」
「ISであれば、この程度の超音波メスでは貫けない。
逆にIS以外で正面からこれを防ぐのは難しい」
「難しいって…じゃぁ今度ヨセフが来たらどうするんですか? 未完成のシュヴァルツェアシリーズを出しますか? 壁にしかなりませんよ?」
「案ずるな。カルタフィルスが来れば私が出る。
一対一で正面からならば、負ける事はあるまい」
勝てるかは解らんがな、と千冬は続けた。
これまで千冬はカルタフィルスと二度相対し、どちらも退けた。
それはカルタフィルスが退いたからだ。
千冬はカルタフィルスに勝てた事はないが、退かせるだけの力はあった。
某所
髪の長い男が、大きな水槽を眺めていた。
「ジェヴォーダンビースト……精霊の末裔」
こぽぽぽ…と水槽の底から気泡が生じる。
「これが失敗だったら、今度は本物の精霊をつかおうかな」
男が眺める水槽の中には異形が佇んでいた。
「あ、その前に、これの子供で試してみないと」
男はタブレットPCを取り出した。
そこには、赤いマーカーが表示されている。
「この前捕まえようとした時、確かに力が強まった。先祖帰りかな…?」
唐突に、男が顔をしかめた。
右手で萎んだ左袖を押さえる。
「ああ…そうだ…早くあの女を手に入れないと…でもなぁ…面倒そうだしなぁ…」
男が思い浮かべるのは、表で世界最強と呼ばれている女だ。
魔法を操り森を薙いで見せた女。
「ブリュンヒルデ…………か」
後書き
センターまで残り十日を切ったけど、実感がない。
受験生なのに何してんだろ俺…。
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