許されない罪、救われる心
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129部分:第十二話 家族その二
第十二話 家族その二
「ほら、これも」
「この写真って・・・・・・」
「如月この写真全部大事にしてたわよね」
「うん・・・・・・」
「これのネガも全部持ってたから」
「また焼いてくれたの」
「大切にしてくれてたのよね。絶交って言ったその時からも」
弥生はここにだ。如月の心を見たのだ。彼女はいつもだ。弥生、そして他の面々も皆だ。友達と思い大切に思っていたのである。
このことがわかったからだ。弥生は今こうしているのだった。
そしてだ。弥生はまた言ってきた。
「今日はもう御家族の人達は寝たのね」
「多分」
「じゃあ私達も寝ましょう」
こう如月に言った。
「お風呂入ってからね」
「けれど弥生は」
「泊まるから」
彼女の傍にいるのだというのだ。
「だからね」
「一緒に」
「いてくれるの」
「一人の方がいい?」
弥生は何かがどうしても信じられないような顔になっている如月の顔を見て尋ね返した。彼女に気を使っての問いなのだった。
「そっちの方が」
「ううん」
如月はその問いに首を横に振って返した。
「やっぱり。今は」
「私が一緒にいていいのね」
「御願い、一緒にいて」
これが彼女の言葉だった。
「本当に。御願いだから」
「そうなの」
「もう一人は嫌だから」
こう弥生に返した。
「だから」
「わかったわ。それじゃあね」
「うん、じゃあ」
「まずはお風呂にね」
こうしてだった。二人で風呂場に向かった。湯は入っていなかった。だが弥生は栓をして湯を入れてだ。そのうえで脱衣場のところに立っている如月のところに戻った。
そのうえでだ。彼女の服に手をかけた。
「あっ、それ位自分で」
「できる?」
「うん、大丈夫だから」
如月は申し訳ない顔で彼女に返した。
「これ位は」
「そうなの」
「自分で脱ぐから」
如月はまた言った。
「弥生はね。自分の服をね」
「わかったわ。じゃあ」
「ええ」
二人で服を脱ぐ。如月はピンクの、弥生は白の、それぞれの下着姿になる。弥生は如月のその下着から見える白い身体を見てだ。また言った。
「本当に」
「本当に?」
「やつれたのね」
確かにだった。今の彼女の身体はやつれだ。その肋骨まではっきりと見えていた。手足もまるで針金の様になってしまっている。
そのやつれた身体を見てだ。言ったのである。
「そこまで・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「けれど。もうこれからはね」
「これからは」
「また。一緒だから」
こう如月に告げた。
「安心して」
「ええ・・・・・・」
下着もそれぞれ脱いで風呂場に入った。そこで二人で身体を洗いあいそして一緒に湯舟の中に入った。そこに入るとだ。如月はその心が急に癒されていくのを感じた。
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