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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第26話:憤怒 中編

大魔殿に向かうためにデジモン達を再びデジクロスさせたタイキ達。

しかしここで、大輔から予想外の進言を受けた。

「タイキさん、俺とインペリアルドラモンは別ルートで侵入します。その間…ヒカリちゃんと賢を頼みます」

「え!?」

「だ、大輔君!!?」

いきなりのことに目を見開くタイキ達だが、大輔は別行動を取る理由を説明する。

「キメラモンとムゲンドラモンの軍団を作れるのはあいつらしかいない」

「…ダークナイトモンとシェイドモンだね?」

賢の言葉に頷く大輔。

「あいつは…ダークナイトモンだけは許さねえ…ネネさんを利用して傷つけたあいつだけは絶対に…あいつを見つけだして叩き潰す。そうすればバグラモンや三元士との戦いで邪魔されないで済む」

「な、なら…私と賢君も一緒に…」

「インペリアルドラモンのベースになっているのはエクスブイモンだから…ベースのデジモンのジェネラルの俺がいればインペリアルドラモンはフルパワーで戦えるはずだ。俺…ダークナイトモンを見たら、自分を抑えられるかどうか全然自信がない。みんなやヒカリちゃんにそん時の俺の顔を見て欲しくないんだ」

「そんな…今まで一緒に頑張ってきたのに…」

「ヒカリちゃん…頼むよ。今回だけ…今回だけ俺の我が儘を聞いてくれよ。頼む…!!」

ヒカリの肩に手を置いて言う大輔を見て、梃でも動きそうにないと理解したヒカリは目に涙を滲ませながら俯いた。

「ずるいよ大輔君…そんな風に言われたら私、何も言えなくなっちゃうよ…」

「ごめんなヒカリちゃん」

「でも…約束してね大輔君…絶対に無事に帰ってくるって!!」

「勿論!!じゃあ行ってくる!!」

インペリアルドラモンHDMに乗り込み、ダークナイトモンを捜しながら大魔殿に先に向かう大輔。

タイキ達もシャウトモンX7に乗り込み、大魔殿に突入して玉座の間まで一直線に向かう。

そして壁をぶち破って、バグラモンに迫ろうとするが、タクティモンが攻撃を仕掛けてきたために阻まれてしまう。

「へっ…!三元士が2人も残っていなさるたぁ…華々しいラストバトルになりそうじゃねえかぁ!!」

遂にバグラモンと対面したシャウトモンX7とタイキ達。

タクティモンはバグラモンの前に立つと懇願する。

「陛下…終の戦場と見受けます。賜ったこの剣の封印…解いて頂きたい。武人の我が儘で御座る。何卒…」

「よかろう、君の内に眠る修羅…存分に解き放つがいい!!」

バグラモンが異形の右手を鳴らすとタクティモンの蛇鉄封神丸の封印が解かれた。

「悟の太刀…五稜郭!!」

抜刀と同時に繰り出された高速の斬撃がシャウトモンX7に迫る。

「えっ…!!」

その斬撃の速さに人間であるタイキ達は愚か、シャウトモンX7ですら反応が遅れた。

「がっ…!!?」

「X7…!!?」

「カアアアア!!エンプレス・エンブレイズ!!!!」

斬撃をまともに喰らって吹き飛ぶシャウトモンX7。

リリスモンも即座に印を結んで、魔法陣から異形の腕を出現させ、シャウトモンX7を押し潰す。

「ぐあああああ!!」

そんな隙を逃すわけもなく斬りかかるタクティモン。

「げっ…!?うっ…動けねえ…」

「応戦!!セブンビクトライズだ!!!」

「うおおおおおお!!セブンビクトライズ!!」

キリハの咄嗟の判断によって異形の腕を打ち消し、シャウトモンX7は自由を取り戻す。

しかし威力の大半を殺がれたのか、タクティモンのマントで容易く防がれた。

「大丈夫っ!?」

「いっ…一撃でやられるとこだったぜ…!!」

解き放たれたタクティモンの蛇鉄封神丸は邪悪な蛇のような瘴気が溢れ出し、蛇の顔模様のような物が刻まれた禍々しい刀だった。

「蛇鉄…封神丸!!?」

「あれが真の姿か…!」

蛇鉄封神丸から放たれるあまりの禍々しい瘴気に圧倒されそうになるタイキ達。

「リリスモン?」

「野暮は承知の上よ。あっちだって、てんこ盛りのデジクロス体なんですもの。私もちょっかいくらい出させてもらうわ」

「あの刀の力がここまでとはな…」

「こ…この上、リリスモンやバグラモンまで一度に相手にするんでちか~!?」

「へっ…!こりゃ思ったよりヘビーだぜ…!!」

力を解放した蛇鉄封神丸の力はキリハの予想を遥かに上回っていた。

リリスモンとバグラモンまで相手にするとなれば確実に勝ち目は薄い。

「(正直三元士のどちらかは指揮のために前線に出ていると思ってたけど、やはりこいつらには戦争そのものよりも重要な目的かあるのか…!?)」

「さあ、リベンジマッチよ!!皇帝陛下には指一本触れさせ…」

リリスモンの言葉を遮り、突如地面から現れる何か。

【!!?】

それはダークナイトモンに取り込まれた三元士であるブラストモンの体だった物である。

地面から飛び出したのは多くのデジモンを強制デジクロスで取り込み、最早ダークナイトモンとしての原形を留めていない異形の化け物となったダークナイトモンと追従するシェイドモンの姿が。

「フヒッヒヒヒヒ。中々楽しいゲームが始まっているではないかね!!どれ、1つこの私も混ぜておくれ!!?」
「姉しゃまっ!!」

「ダークナイトモン…!!あっ…あの姿は、うわっ!!?」

ダークナイトモンの開けた穴に落ちていくシャウトモンX7とタイキ達。

「君達は精々そこの化け物と楽しく遊んでいてくれたまえ!!なぁに心配無い!!皇帝バグラモンはこの私が倒し、デジタルワールドに平和を齎してみせよう!!このダークナイトモンの名の元、死と暗黒の平和をね…!!」

「!!その姿…ブラストモンをっ…己ぇぇぇ!!!」

ダークナイトモンに取り込まれたブラストモンの仇を討つべく、リリスモンはダークナイトモンに突撃した。

一方、城外ではマグナモン達がキメラモンとムゲンドラモンの軍団を相手にしていた。

「はああああ…シャイニングゴールドソーラーストーム!!!」

自身に迫るキメラモンとムゲンドラモンを出来るだけ引き寄せ、空間を急速圧縮・瞬間膨張させ、黄金のレーザー光でキメラモン数体、ムゲンドラモン数体を消し飛ばす。

「スパイラルマスカレード!!」

ロードナイトモンも体の帯刃を自在に操り、キメラモンを斬り刻んだ。

「むうんっ!!エンド・ワルツ!!」

魔槍を高速回転させ、ムゲンドラモンを斬り刻むクレニアムモン。

「やれやれ、キリがありませんなぁ!!」

「ざっと見て400体以上の合成デジモンがひしめき合っている…!」

ドゥフトモンは機動力に優れた獣形態のレオパルドモードとなってキメラモンを相手にしていた。

「こいつらは多分、強制デジクロスとやらで作り出されたんだろうな!!」

「も…もしそうなら…こっ…この数を揃えるのに何体のデジモンが犠牲になったんだ…!?」

「少なくても犠牲の数が4桁を軽く超えるのは確かだ…それにしてもキメラモンとは…若い頃の変態仮面騒動の嫌な思い出が蘇るぜ!!マグナムキック!!」

強烈な回し蹴りを叩き込み、キメラモンの頭部を粉砕するマグナモン。

次の瞬間、大魔殿の一部が吹き飛ぶ。

「「!?」」

アルフォースブイドラモンとマグナモンが急いで大魔殿を見遣る。

「X7!!?」

「と、あれはタクティモンですね~♪」

そこには競り合うシャウトモンX7とタクティモン。

タクティモンの刀をスタンドマイクの柄で防ぐが、あまりの衝撃に耐えきれずにシャウトモンX7は地面に叩きつけられる。

「あの刀は…蛇鉄封神丸!!前の戦いで3体以上のロイヤルナイツを同時に圧倒した力だ…!!X7がいくら強くてもこれでは…!」

「アルフォースブイドラモン、そっちにキメラモンが向かったぞ!!」

ムゲンドラモンの相手をしていたマグナモンがアルフォースブイドラモンに向かって叫ぶ。

「くっ…邪魔だあっ!!アルフォースセイバー!!」

アルフォースブイドラモンはキメラモンの頭部を光剣で斬り裂き、瞬時に撃破する。

「加勢に行きたいが…こっちの戦線も余裕がない!!保ってくれよX7…!!」

此方に迫るキメラモンやムゲンドラモンを見て苦々しげな表情を浮かべるアルフォースブイドラモン。

「シャウトモン!!」

「離れてろタイキ!奴はやべえぞ!!」

「!だ…だけどジェネラルと離れ過ぎたら充分なパワーが…うわっ!?」

「(俺達も奴も扱う力が大き過ぎる!タイキ達を巻き込んじまうっ…!!)」

「「(シャウトモン…!?)」」

タクティモンとの戦いにタイキを巻き込まないようにと飛び立つシャウトモンX7。

デジクロスしているドルルモン達はシャウトモンから妙な違和感を感じていた。

一方、大魔殿ではダークナイトモンに挑んだものの、力及ばず返り討ちにされてしまい、壁に磔にされたリリスモンの姿があった。

そしてバグラモンの目の前に立つダークナイトモン。

「グフッフフフフフフ…あ…あの強大なX7を圧倒している!そ…その使い手たるタクティモン共々、空恐ろしい程の威力ですな…蛇鉄封神丸…!!デジタルワールドを分断するために古代の超兵器、ゼロアームズ<オロチ>のデータを元に建造されたものと聞き及びます。全く…兄上の成されること…創られる物にはつくづく驚かされますよ…!!」

「(…!?…兄…上…!?)」

リリスモンは意識が朧気ながらも驚愕する。

それは近くで聞いていたウィザーモンとテイルモンも同様だった。

「なっ、何の話してるのよあいつら…!?」

「ダークナイトモンとバグラモンが兄弟…!!?(い…いや…あの姿のモノをダークナイトモンと呼んで良いのかどうか…どういう経緯か分からないが…弱ったブラストモンを強制デジクロスで取り込んだんだ!もしや、人間界でのあの戦いその物が奴が仕組んだ物だったのか…!?)」

「ブブフッ…フフフフ…そっ…その圧倒的な才覚…力…清廉な魂…!ありとあらゆる栄光を約束された大天使としてこのデジタルワールドに生を受けた兄上とは逆に…私は世界から憎まれ…蔑まれるばかりの惨めな小悪魔だった…!」

兄弟であるにも関わらず、あまりにも差があり過ぎることが両者の間に大きな溝を作り出した。

「そ…その憤り…!身を焦がす焦燥…!!だ…だが今はそれも少年の日の甘酸っぱい思い出のように感じますよ…!私は力を手に入れたっ…!!いっ…いや…これから全てを手に入れるのだ!!力をっ!!栄光をっ!!!このデジタルワールドに君臨する…絶対の王に…!!」

ダークナイトモンの言葉を聞きながら、バグラモンは一瞬だけ視線を無傷の壁の方に向けた。

「(この凄まじい力…並行世界の過去から来た少年のデジモンか…)」

「シェイドモン!!強制デジクロスだ!リリスモンを取り込むっ…!!」

ダークナイトモンがシェイドモンに強制デジクロスをするように指示を出す。

しかし、シェイドモンはそれを制する。

「殿下。先日、ブラストモンを取り込んでから日が浅くまだ安定しておりません。今また魔王級デジモンを取り込めば殿下の自我が…」

「五月蝿いっ!!」

「!!」

シェイドモンの警告を無視して、その体を握り潰そうとするダークナイトモン。

その姿にかつての冷静だったダークナイトモンの面影は全くない。

「自我っ…自我だとっ!!?ごっ…こっ…これから私が手にする栄光と比べてそんなものにどれ程の値打ちがあるというのだっ…!!」

「かはっ…!あっ、あぐっ…」

「貴様などダークネスローダーに付属する部品に過ぎんのだ!!物が口答えするな…!!!」

「かはっ…!はっ…はい…」

そして、ただ黙ってその光景を見つめ、表情を全く崩さないバグラモン。

力に溺れて変わり果てた弟の姿を見てバグラモンは何を思ったのだろうか…。

「なっ…何よあれ、タイキ達の話よりキャラがぶっ飛んでるわよっ!?」

「無理なデジクロスを重ね過ぎて自我が崩壊しかけているんだ…!!(あんな奴がデジタルワールドの覇権を握ればバグラ軍どころの脅威ではない…!!と…止めなければ!!だが、我々の力では…)」

そう、ブラストモンを取り込んだ時点で最早ダークナイトモンは並みの魔王級を超えている。

そんな相手にウィザーモン達が挑んだところで結果は分かり切っている。

解放されたシェイドモンが強制デジクロスのためにダークネスローダーを構えた時であった。

「来る…」

「「!?」」

今まで無言だったバグラモンが声を発したことにダークナイトモンとシェイドモンが振り返った瞬間、壁に亀裂が入った。

「弟よ…君が怒らせた…地獄からの鬼が…!!」

亀裂が入った壁の向こう側から放たれている鬼のような憤怒の気配にバグラモンが汗を一筋流した。

「「ダークナイトモーーーーンっ!!!!」」

次の瞬間、壁が吹き飛び、憤怒の表情を浮かべた大輔とインペリアルドラモンHDMがダークナイトモンに襲い掛かるのであった。 
 

 
後書き
次回はダークナイトモンフルボッコ 
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