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東方幻想探偵

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4.W爆誕/二人で一人。二色のハンカチ

「『─────さあ、お前の罪を数えろ!』」
 伸びた左人差し指がモータスを射抜く。処刑宣告ともとれるそれはモータスを炊きあがらせた。
「バルルン!バルルン!」
 モータスは愛車モータスヴァイパーを駆り近づこうとするアクセルを回す前にこちらから近づく。
「オラァ!」
「ブヘラァ!?」
 回り蹴りが顔面?辺りにクリーンヒットしバイクは勝手に前進しモータスはあらぬ方向へ。
「初動が速い!」
 さっきまでかすりもしなかったのに。
『丞一さんのJokerのメモリと併用されているメモリは『Cyclone』。疾風の記憶を内包しているメモリです。スピードがあがるんですよ』
「え?何?そのRPGの装備的な効果」
 でも、どうやらRPGでも格ゲーでもそうであるようにスピードタイプはやはり攻撃が軽いのかすぐ立ち直った。そして、どこからか出した鉄パイプを振り回してこっちへ向かってくる。怖っ!
 それを早苗はつかみ取り身を翻す。
「おい。攻撃力が足りないようだぞ?」
『こう言うときは』

『Heat!』
 早苗は右側のCycloneメモリを抜き取り。新たな赤色のメモリを挿し込んだ。
『Heat!Joker!』
 パイプをいなしそのまま振り下ろし裏拳が炸裂していく。うわっ!えげつねー。そして正面に向き直り悶えてる敵にボディブローで追い打ちをかけていく。うわっひでー。そして身体が勝手に動いていく。主に右半身が。
『右半身は私にも主導権がありますから。なーに。時期になれますよ』
 こいつっ!心の声を読みやがった!
『Heatのメモリは熱き記憶を秘めた記憶で高熱を発生させるガンガン行こうぜ、なメモリです』
「なるほど。わかりやすいっておい!まんまドラクエじゃねーか!」
『そして、Heatに最も適しているのが、………丞一さん、何時もメモリを持つようにしてください』
「ん?どういうこと……どういうことだってばよ!?」
 何で何時の間にか新たなメモリが手の中にあるの!?
 だが、いつもの癖なのかボタンを押してしまった。
『Metal!』
 Jokreメモリを早苗が抜き取り、俺が間髪入れずにメモリを挿し込み、倒す。
『それはMetalメモリ。闘士の記憶が内包されていて、頑強で筋力に優れた鋼の肉体に変える能力を持ちます。そして、専用武器に鉄棒『メタルシャフト』を持ちます』
 うぃっす(思考放棄)。背中にかかったメタルシャフトを構える。
「バルルン!バルルン!」
 突貫してきたところをいなしながら背中を取るが敵も翻し位置が入れ替わる。そして再度まっすぐ向かってくる。メタルシャフトで手の甲をたたきパイプを叩き落とし、そのまま振り下ろした勢いのまま腹に突きを加える。腹にひっかけ相手を真上へ持ち上げそのまま振り下ろしを唐竹に叩き着ける。
「グヘェ!ってバカめ!バイクが戻ってこりゃこっちのもんだ!」
「なっ!?しまった!あまりの急展開に思考が停止しすぎてた」
『よりによってバイクの方へ吹き飛ばすなんて。詰めが甘いですよ』
「ヒャッハー!風になるぜぇ!」
 バイクによる突進攻撃をまともに食らってしまう。
「がっ!ぐっ!ぐあ!くそっ!さすがにバイクには追つかねぇ!」
『やはりサイクロンじゃないと太刀打ち出来ませんか。ですが、それでもおそらく五分がいいところ。さすがはモータスですね』
「感心してる場合じゃないんじゃないの?」
「兎」
「つまり、あいつに追いつくだけのマシンがあればいいわけだ」
「ああ。だがあいにく俺の愛車がねーんだよ」
 そう。紫のスキマを利用したため、俺の愛車『ハードボイルダー』は守矢神社でお留守番だ。
「フッ。自分に任せときなさいって」
 そういうとてゐはドライバーのレバーに手をかける。
「───────二速。変身」
『ガッチャーン!Level Up!』


『爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!』




 そう。彼女、因幡てゐが変身する姿はゲームが元になったライダーである。レベルアップによるパワーアップだって考えられるだろう。しかし、彼女がパネルを通過するとそこにいたのは最早人ではなかった。




「……………ウソーん」
『非常に興味深い。ゾクゾクしますねぇ』
 ライダーがバイクになる。
 彼女が変身したライダーは『爆走バイク』。レースゲームが下地になっている。だからといって人ですらなくなるのはある意味レベルアップではなくレベルダウンではなかろうか。
「乗れよ名人!」
「お、おう」
 ライダーがライダーにライドする。こうこれわからねぇな。
「飛ばすぜ名人!」
「お、そうだな(思考放棄)」
『一旦、サキクロンジョーカーに戻りましょう』
『Cyclone!Joker!』
 通常フォームに戻り、バイクを走らす。
 モータスとのすれ違いざまに蹴りを食らわす。
「オラァ!」
「グボァ!」
 モータスが減速したところでさらに180°ターン。モータスのサイドに着き、殴る蹴るの殴打を食らわせていく。これが最もいい攻略法のはずだ。だって、これ爆走バイクの原作再現だし。俺はこうやってライバルどもを倒してたのだ。
 モータスをノーズ半分追い抜き、ハンドルを思いっきり蹴りつける。急にハンドルが切られ前輪が滑り、バイクは転倒、モータスも投げ出されてしまった。
『そろそろ、決めましょう』
「ああ、メモリブレイクだ」
「合わせな!名人!……………あ、ガシャットを抜いてホルダーに入れてくんね?」
『ガッシャット!キメワザ!』
「んでこのボタンを押してくれ」
 最後のやりとりで閉まらねーな。
「気を取り直して。こっちも行くぜ」
 俺たちもJokreメモリをマキシマムスロットへ差し込む。
『Joker!Maximum Drive!』
『BAKUSO!Critical Strike!』
 座席から飛び上がり、竜巻が起こり俺たちをさらに上へ押し上げる。
 エネルギーをまとったてゐがモータスへと突撃していく。
「ハァ!」
 竜巻によって、一瞬だけ空中に浮遊する。
『丞一さん。併せてください!』
「はい?どゆこ」
 早苗に体の操作を奪われ、ドロップキックの体制を取ったと思ったら、なんとなんと体がまっぷたつに割れた。
「「割れたぁ!?」」
 俺とてゐの心からの叫びが竹林に響いた。
 右側の早苗が先行し、俺の蹴りが時間差で直撃した。
『ハァ!』「オラァ!」
『会心の一発!』
『Game Clear!』
 ポップな曲をバックにガイアメモリが砕ける瞬間を俺は確認した。







 後日談。

『報告書
 
 あの事件の後、俺とてゐは何も言わずに別れた。そもそも戦う必要のない相手同士だったのだ。お互いの立場もある。必要以上に関わるべきではない。少なくとも今は。
 そして、この前の事件によって俺たちの幻想郷移住計画は延期になった。やはり、向こうでもガイアメモリ絡みの事件は後を絶たないようだ。さらにあのバグスターウイルスなるもの。これからもまだまだ強大な敵が現れることになるだろう。パワーアップアイテムだけではなく俺も強くならなければならない。なぜならもう俺は一人ではないのだから。』


「よく書きますね。それ、私的なものでしょう?」
 そう。報告書だのなんだ書き連ねたがなんてことはない。ただの私的な日記だ。
「こうしないと事件が終わった気にならなくてね」
 親父の残したタイプライターであらましを残す。一種のルーティンワークみたいなものだ。
「そういえばずっと聞こうと思ってたんだ。早苗、あれどこで手に入れたんだ?」
「……ダブルドライバーと残りのメモリのことですね」
 そう、あのときあのピンチの場面でWになった。できすぎてる。
「あれは紫さんから渡されたんですよ」
「紫さんから?」
「ええ。スキマから観戦していて、頃合いを見計らって私に渡してきたんです」
 幻想郷に蔓延るガイアメモリに闇にそれを流通させているであろう何か。
 そして、俺のもつ特殊なメモリに対応しているドライバーとメモリを渡してきた八雲紫。
 何か関係があるのだろうか。
 そして、てゐも気になることを言っていた。
『さすがはちまたで有名な仮面ライダーだな』と。俺たちのような存在が他にもいるのか?
「それよりも丞一さん。君は知っているかい?ジムカーナと言うものを!」
「………また、余計なもんに興味を引かれやがって」
 だが、まあ。
 今はひとまずこののんびりとした日常を楽しむとしましょか。 
 

 
後書き
「榛名のハチロク?」
「ドリフトはもともと峠を速くは知るための技術なのよ」
「私、知りたいんです」
「おい!どこにいるんだ!」

 これで決まりだ! 
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