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永遠の謎

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582部分:第三十四話 夜と霧とその五


第三十四話 夜と霧とその五

「私に会わせて下さって」
「だからですか」
「はい。それではですね」
「何を楽しまれますか?」
 王から皇后を誘う。
「音楽でしょうか。それとも」
「船を」
 それをだとだ。皇后は微笑んで述べた。
「トリスタンだったでしょうか。貴方の船は」
「あれに乗ってですか」
「少し湖を見たいのですが」
「わかりました」
 王は微笑みだ。皇后のその言葉に応えた。
「それでは今から船に乗りましょう」
「船にですね」
「はい、そうして青い湖を見ましょう」
 青という言葉には王は笑顔になった。微笑みからだ。
「そうしましょう」
「では」
 こうしてだった。王は皇后を船に案内してそのうえでだ。青い湖に出た。船はゆっくりと進みそのうえで青い湖を進む。周りには緑の森がある。
 その青と緑の中にいてだ。皇后は船の中から恍惚として王に話すのだった。
「貴方は今もなのですね」
「はい、青が好きです」
「そして緑も」
「自然の中にいることはいいことです」
 誰にも見せない微笑みを皇后に見せながらだ。王は話していく。
 二人は今船の甲板にいる。そこから後ろにホルニヒや侍女達を控えさせてだ。そのうえで話をしているのだ。二人だけで今はそうしているのだ。
「心が癒されます」
「そうですね。私もそうですし」
「貴女もウィーンにいるよりですね」
「はい、旅をして」
 そうしてだった。皇后もまた。
「青や緑を見ることが好きです」
「鴎の様に」
「そうですね。鴎は海の鳥ですが」
 それでもだった。皇后も自分で言う。
「私はいつも青や緑を見ていたいのです」
「それも自由に」
「鳥になりたいです」
 そしてこうも言うのだった。
「空を飛ぶ鳥に」
「そうなるのには少し時間がかかるでしょうか」
 王はここで時間の概念を話に出してきた。
「鳥になることは」
「鳥にですか」
「はい、鳥になれます」
 王はこう皇后に話すのだった。
「何時か人は科学によって空を飛べるようになります」
「それも近いうちになのですね」
「そうです。実際に人は科学によって多くのことを成し遂げてきていますね」
「そうですね。今世界は大きく変わってきています」
 実際にそうだった.。オーストリアにおいても。
「鉄道もあればその他のものも」
「そうですね。私は鉄道も好きです」
「専用のものを持っているそうですね」
「ええ。あれはいいものです」
 こうだ。王は鉄道について何処か子供の様に機嫌をよくさせて話していく。
「新しい形の旅をもたらしてくれています」
「馬よりもずっと速く動き」
「そうして多くのものを見せてくれます。しかも優雅に」
「だからこそ鉄道を好まれていますね」
「あれは人に多くのロマンをもたらせてもくれます」
「科学も人にロマンをですか」
「もたらせてくれます。実際にです」
 今度は城の話もするのだった。
 
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