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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第8話:戦いの終わり

シャウトモンX4の全パワーを込めた一撃はグレイモンとメイルバードラモンを吹き飛ばした。

しかし次の瞬間にエネルギーを使い果たしたからか、デジクロスが解除されてしまう。

「どわわっ!?」

デジクロスが解除されたシャウトモン達はそのまま重力に従って地面に落下した。

「グレイモン!!」

メイルバードラモンはともかく、グレイモンはシャウトモンX4の一撃をまともに喰らったためにキリハはグレイモンに駆け寄る。

そしてグレイモンの状態を見てキリハは気付いた。

「(パイルドラモンの攻撃で受けた傷よりダメージが大きい…!?)」

「ウグッ…!オオオオ…」

シャウトモンX4の攻撃によって出来た左胸の傷を押さえながら口から血を吐くグレイモン。

「(たった一撃だが…奴の威力を上回ったと言うのか…!!)」

「グウッオオオオオオ…お…己えええぇっ!!?キリハ!!奴だ!!奴をリロードしてデジクロスさせろっ!!あんな奴ら一瞬で灰にしてやるっ…!!」

「…駄目だ。ここは撤退する。」

撤退…その言葉を聞いたグレイモンが思わずキリハを見遣る。

「タクティモンも…いや、他にも多くの勢力がこの戦いを監視しているはずだ。まだ手の内を全て晒すわけにはいかん…!!」

事実、タクティモンのみならず天野ネネもこの戦いを監視していた。

このまま戦い続けて全ての手の内を晒してしまえば対策を立てられてしまうとキリハは危惧したのだ。

「貴様っ!!!」

グレイモンの巨大な手がキリハの首を掴んだ。

「この俺に敗北の屈辱を飲めと言うのかっ…!!」

首を掴まれ、命の危機に曝されているのにも関わらず、キリハは冷静である。

「よしんば奴らを倒せたとしても…今の状態で戦えば此方も更に深刻なダメージを受ける。そこを他の勢力に狙われれば一溜まりもない…俺の首を折って溜飲を下げるか!?折るがいい!!だが、貴様らがこんなつまらん戦場で死ぬことは許さん!!反吐を吐いてでも生き残り、必ずパイルドラモンやタクティモン以上の敵と相討ちになって…死ね!!!」

「ぬ…」

キリハの言葉に気圧されるグレイモンを見てメイルバードラモンが愉快そうに笑みを浮かべた。

「フ…キリハの方が役者が上だぞグレイモン。こんな男だから俺達もジェネラルに選んだんだろう?」

「ぐぬぬぬぬぬ…こんっっっ畜生おおおぐやじいいいいいい!!おいお前ら、絶対また戦おうな!!て言うか俺が勝つまでやろうな!!?」

「「うっわ、マジ迷惑!!?」」

悔し涙を流しながら駄々っ子のようにドタバタするグレイモンに呆れるアカリとサンフラウモン。

どこまでも諦めの悪い奴である。

「お前そろそろXローダーに戻れ。工藤!!」

キリハはタイキにある物を投げ渡す。

それはスノーゾーンのコードクラウンであった。

「あ、これ…」

「スノーゾーンのコードクラウンじゃないですか、キリハさん手に入れてたんですね。じゃあ、どっちみちコードクラウンを手に入れるにはキリハさん達と戦わなきゃいけなかったんだ…」

大輔とヒカリがタイキの掌のコードクラウンを見つめる。

「コードクラウンは勝者にこそ与えられるゾーンの支配者の証だ…故に今はお前達に預けておく。いずれお前達が俺の部下になるまではな!また会おう!!」

メイルバードラモンに乗り、この場を去って行くキリハ。

「勝手なこと言うなーっ!!」

「もう二度と来なくていいっシュよ~!!」

「どっかでバグラ軍にやられちゃえー!!」

「まあまあ、キリハさん達との戦いでドルルモンは完全に仲間になったし、俺達だってマテリアルクロスとかジュエルビーモン…X4、色々大きな物を手に入れられたじゃないですかー。おーい、キリハさーん!次は俺負けませんよー!!絶対にまた勝負しましょうね!!!」

【余計なことを言うなー!!】

キリハに再戦を望む大輔に全員のツッコミが炸裂した。

「…だそうだぞキリハ?」

「フ…本宮大輔…不思議な奴だ…それに…(不思議と言えば奴もそうだ。自らの才や可能性には興味が無いなどと言いながら、他人の馬鹿げた夢のためには命すら賭けてその才能を使う。だが…何だろうな、奴らと競い合うことが俺自身の可能性を開くようにも感じる…)」

キリハは笑みを浮かべながらこの場を後にした。

「別にキリハさんは悪い人じゃないと思うんだけどなー」

「それは大輔君だけじゃないかなあ…」

大輔の言葉にヒカリは顔を引き攣らせながら言う。

一方デジタルワールドのどこかで戦いを見ていた存在であるタクティモンは全てを見届けるとこの場を後にしようとする。

隣のリリスモンがタクティモンを見遣る。

「あら…コードクラウンは?スノーゾーンからは手を引くの?」

「奴らを倒すのは何時でも出来る…デジクロスと失われた進化の力…些か興味が沸いた…今少し泳がせて様子を見るのも悪くない…」

「(あらあら…パーフェクト優等生のタクティモンさんが今日は妙に燃えていらっしゃること!久しぶりに大暴れしたからかしら…でも分かるわぁ…あんなに可愛い男の子達なんですもの…タクティモンに内緒で私が食べちゃおうかしら…!)」

そして此処とは違う場所で一部始終を見ていたネネ達は…。

「で…我らが姫君はこの者達をどう見るかね?」

「みんな充分な素養の持ち主だと思うわ。けど、タイキ君とキリハ君の色は純粋過ぎて…きっとあの2人は混じり合わないわ…」

「それは残念だ…!あれだけの素材だと言うのにね…ではネネ…君の花婿には誰がより相応しいだろうか?」

「もおっ!その言い方よしてよね!」

「………」

そしてスノーゾーンではタイキが考え事をしていた。

「(天野ネネに…蒼沼キリハ…か)」

「どしたの?」

アカリがタイキの様子に気付いて声をかける。

「いやさ…俺達やあいつらがこのデジタルワールドに飛ばされて来たのって、何か意味があるのかなって…」

「それは多分タイキさん達が選ばれたから…」

ヒカリが言い切るよりも先に向こうから声がかかる。

「おお~い!待ってくれタイキ殿~!!わしも仲間に入れてくれ~!!」

「オチムシャモン!?」

「仲間ってお前…バグラ軍はどうすんだよ!!」

「私達について行ったら確実に裏切り者認定されるわよあんた?」

「いや、よく考えたらタクティモン様の軍におってもそうそう負け戦なんて巡り会えんじゃろ?その点、お主らとおれば負け戦には不自由しなさそうじゃ!いやあ、良い主君に巡り会い申した!」

「なあ、タイキ。あいつ一発殴っていいか?」

「私達が負けること前提なのがムカつくわね」

「あれなら殴っても罰は当たらないだろ」

シャウトモン、テイルモン、ブイモンがこめかみに青筋を浮かべながら言う。

「何を言ってるんだ!僕らは心正しき正義の味方じゃないか!…だが許す」

直後、オチムシャモンはシャウトモン達にボコボコにされた。

「つ…つれないこと言わずに拙者と落ち延びましょうぞ~!殿って呼んでいい?」

「あ…何かもう」

「好きにして下さい…」

「まあ、色んなゾーンを回ってみるしかないさ!この世界はまだまだ俺達の知らないことばかりなんだからな!!」

「ああ…そうだな!行こう、次のゾーンへ!!」

「次はもっと暖かいゾーンがいいな~」

子供達はゲートに飛び込み、新たなゾーンへと向かう。

一方、タクティモンはある人物の元に向かっていた。

「…君の魂に熾る…黒い炎の揺らぎが見えるようだ。新たなジェネラル達…それ程のものなのかねタクティモン」

「未だ種火に御座る。なれど一度薪の中に放られれば、天壌を焦がす轟火ともなりましょう。陛下に賜ったこの刀の封印…解いて頂く日が来るやもしれませぬ」

タクティモンは跪き、異形の姿のデジモンにそう伝える。

「君にそこまで言わせるとは…我が宿願…成就する日が近いかもしれぬな…」

バグラ軍皇帝・バグラモンが異形の右腕を見つめながら呟くのであった。 
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