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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
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10.魔法学院(別世界)から魔王と魔女がやってきました。
  stage2

 
前書き
琴葉視点 

 
 躰に感覚はあるか。
 死んでも直ぐに違う世界で生まれてしまうので、感覚はある。
 目を開けた時、世界がそのままなら"成功"。違ったら"失敗"。

 さて、結果は――――――


「…………あ、キタコレ」


 目の前には瓦礫と少しの建物、黒い空。後ろに目を見開いているレン。

 成功だ。


「大丈夫? レン」
「えっ、あ……え?」


 説明しよう。
 爆裂魔法が放たれたのは確かだ。実際、私とレンの直前まで魔法は迫っていた。故に眩い閃光を見たのだから。
 だが、街にも私達にも、爆裂魔法の被害は無い。それは何故か。
 此の街一帯を消滅の膜で覆えば、中に入ろうとする爆裂魔法は消滅する。街全体を守る必要が無いのなら、私とレンの周りを覆うだけでも良い。それだったら、レンを連れて、時間操作で時を止め、此処から離れていればよかった。
 が、それらをするには、気付くのが少し遅かった。
 そこで、いっその事爆裂魔法を異空間へ送ってしまえばいいのではないか、と言う考えに至った。なので、直ぐに空間操作で、爆裂魔法を異空間へ転送、そして異空間内で消滅を使って消したのだ。

 だが、一つ疑問が出来た。

 私は、前の世界で消滅を使って爆裂魔法を凌いだ。今回は異空間内だが、消滅を使って爆裂魔法を消した。どちらも、消滅を使っているのだ。
 だが、今回の方は、前回と少し爆裂魔法の質と言うか、精度が違った。

 そもそも、"消滅"と言う能力は、私のみが扱う事が出来る、全能力の頂点に立つ様な能力。此れを打ち消す、正反対の能力は存在しない。
 消滅は、"ソレ"が存在する、ある等と言った事実を消す能力だ。例外は存在しない。
 今回の場合、異空間内に爆裂魔法が存在すると言う事実を消した。因みに、前回は私に対して爆裂魔法の被害があると言う事実を消した。なので、今回は爆裂魔法が、前回は私へ対する爆裂魔法に因る被害が消滅した。

 干渉したモノの性質はなんとなく分かる。
 今回疑問が出来たのは、一回目に干渉した爆裂魔法の性質と、二回目に干渉した爆裂魔法の性質が、微妙に違う物だと思ったからだ。

 如何やら、此の世界の侵略者は、誰でもポンポン爆裂魔法を撃つことが可能らしいな。

侵略者(インベーダー)は何処?」

 私が問うと、レンはローブの内側から携帯端末を取り出し、画面をスクロールする。此方から画面は分からないので、私は黙って見ている事しか出来ない。

「……ええと、五番シェルター辺りです」

 パッと顔を上げるレン。如何やら、見ていたのは地図らしい。
 でも、五番シェルターね……ただの一般人は、シェルターの中で安全に暮らして居るって事か。

「私は先程の爆裂魔法を発動した者を探してみる。レンは先に行っていてくれないかな?」
「……っ、わかりました。ローブだけは回収しておきますね」

 レンが白いローブを手渡してくる。黒いローブは脱げと言う事か。
 まぁ脱いで、大体畳んでから白いローブと交換すると、レンは其の場で黒いローブを焼いた。指先に炎が生成されたところから察するに、此れは魔法か。

「では、先に行っています」

 レンが携帯端末をしまい、何処かへ走って行く。"ローブに付けられた、追尾用のマーカーに気付かずに"。

 暫く爆裂魔法を発動した輩を探してから、マーカーの近くに転移すればいいか。

 此のマーカーは、普通のシールからでも作る事が出来る。まぁ、シールを隠蔽系の能力で隠し、事実改変系の能力で、シールが剥がれた時、その事実を改変する様にし、其れをしっかりと機能させるために時間操作系や、条件作動系の能力を掛ける必要があるが。
 一時期は、其れを売り捌いて軍資金を稼いでいた時期が在った様な。

 爆裂魔法を発動した奴も探すのも良いが……そう言えば、グレースとラルに合流しなくてはいけない。
 うむ、どちらを優先すべきだろうか。


「―――おい、居たぞ」
「あんなひょろっちぃ女が……」


 …………前方に人影。五十人程だろうか。
 間違えなく、爆裂魔法をぶっ放した集団である、侵略者共だ。
 全員が私が先程まで羽織っていた黒いローブと同じものを羽織っていて、いかにも頭のおかしそうな奴等だ。


「確保し、処刑しろぉっ!!」


 如何やら、私を追ってきた奴等らしいな。
 まとめて殺してやろうか。

 奴等は此方に向けて手を突き出す。すると、其処に氷の結晶が生成される。いかにも、弱そうな魔法だ。
 私へ向けて一直線に結晶は飛来する。スピードはかなりあるため、常人なら即脳天をぶち抜かれて終了だろう。あくまで、"常人なら"の話だが。

「遅いねぇ」

 此の速さと距離では、能力を発動するには充分だった。

「【複製】」

 爆裂魔法を複製(コピー)し、収束。結晶と同等程の大きさにした其れを大量に生成し、目の前に壁を作り上げる。
 氷の結晶は壁に阻まれ、此方まで届くこと無く四散していく。
 腕を振れば、壁は一つ一つの粒に分裂し、侵略者目掛けて飛んでいく。そして、侵略者は狼狽えながら、死んでいった。

 こう言う魔法の使い方で良いのか、少し不安になるが、まぁ気にすることは無い。


 屹度、此の世界でも願は叶わない。叶ったとしても、死ねるか分からない。
 まぁ、死ぬにしても死なないにしても、此の世界の奴等から、私に関する記憶が抜けるのは確かだからな。

 
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