デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第85話:デーモン
前書き
デーモン降臨
大輔達が世界中を周っていた時、東京には新たな事件が発生していた。
都内の小学生の連続誘拐事件。
病院に搬送されたはずの何人かの子供が何時の間にか行方不明となっていたのだ。
被害者の小学生の家には、身代金の要求などは来ていないが、警察は何らかの事件に巻き込まれたものとして、捜査を進めている。
12月26日…闇の頂点に君臨する1体のデジモンと選ばれし子供は戦うことになる。
「畜生、どいつもこいつも…何で大人しく過ごせねえんだよ!!」
選ばれし子供達の行動は、早かった。
伊織とタケル、丈、ヤマトがマリンデビモンが出た東京湾に向かい、京とヒカリ、芽心がレディーデビモンと交戦する。
大輔、賢、そして太一と光子郎が新たにデジモンが出現した銀座に走り、空もすぐに援護に向かう。
完全に討ち倒すために最低でも究極体は1体は必要だと言う賢の指示に従い、水場なら氷の力を強化出来るメタルガルルモン、闇に対して最強の力を発揮するラジエルモンがいる。
「コキュートスブレス!!」
サブマリモンとズドモン、ホーリーエンジェモンが注意を引き付けている間にメタルガルルモンの絶対零度の息吹がマリンデビモンに炸裂し、水中にいることもあって瞬く間に凍り付いていく。
「流石、賢だな。水場ならメタルガルルモンの技はこんなに強力になるのか…よし、メタルガルルモン!!とどめだ!!」
「ガルルトマホーク!!」
胸部のハッチが開いて大型ミサイルが発射された。
凍り付けになったマリンデビモンは跡形もなく粉砕された。
「倒した…?」
粉微塵となったマリンデビモンを伊織は呆然となりながら見つめた。
「仕方ないんだ。あいつらを生かしてデジタルワールドに帰しても多分似たようなことをするはずだ。こういうのは俺達がする。お前達は気にせず、前に進め」
ヤマトが厳しい表情で伊織に伝える。
3年前の冒険…生きるか死ぬかの戦いをしてきた先輩達の言葉はまだ伊織には重すぎた。
「丈、俺とタケルは他の仲間の所に行ってくる。…伊織のメンタルケア頼んだぞ」
「任せといて」
デジモンの死を直面して動けない伊織を丈に任せて、ヤマトとタケルは芽心達のサポートに向かう。
「メイちゃん、お願い!!」
メイクーモンはラジエルモンに進化してレディーデビモンの相手をする。
光属性の究極体と言う相性が最悪の相手にレディーデビモンは顔を顰めた。
「相手が誰であろうと私達の邪魔はさせないわよ!!」
ラジエルモンとレディーデビモンの打撃の応酬が始まるが、ディアボロモンとの戦いを思い出すラジエルモン。
「ディアボロモンに比べれば動きが遅い」
究極体のディアボロモンと完全体のレディーデビモンを比べること自体がおかしいのだろうが、ディアボロモンのトリッキーな動きと理不尽とも言える戦闘力を経験したラジエルモンからすれば難無く捌ける。
「何ですって?碌に喋れない頭の足りない奴が偉そうに言うんじゃないわよ!!」
「喋れないんじゃない。ブイモンからの言葉…無駄口を言う奴は隙だらけで早死にすると忠告を受けたから無駄に喋らない。」
「まるで私が隙だらけみたいに言ってるみたいねえ!!」
「実際に隙だらけ…!!」
「ホーリーアロー!!」
「レインボーシャワー!!」
エンジェウーモンとピーコックモンの必殺技を背中から受けたレディーデビモンが吹っ飛ぶ。
「メイちゃん!!」
「ノウレッジストリーム!!」
両腕の魔方陣からエネルギー波を放出し、レディーデビモンに直撃させた。
「デ、デーモン様ああああ!!」
主の名を呼んで跡形もなく砕け散ったレディーデビモン。
芽心は被害が出る前に倒せたことに安堵し、京は消滅したレディーデビモンに顔を強張らせた。
「殺し…」
「芽心さん…京さん…大丈夫?」
「私は大丈夫です。ディアボロモンと戦ってこういう敵もいるんだって分かってましたし…メイちゃん…お疲れ様」
「メイ…」
「京さん…」
「………ごめん、私…頭がぐるぐる回って…何て言えばいいのか…」
「………」
デジモンの死に混乱している京。
芽心も少し揺らいでいるがディアボロモンとの戦いの経験があったのが幸いした。
「芽心さん……京さんは私に任せて、大輔君達の所をお願いします」
「…分かりました。行こうメイちゃん」
「うん」
ラジエルモンに捕まって芽心は大輔達の元に。
「ヒカリちゃん…」
「その気持ち…多分忘れちゃ駄目です。その優しさを失わないようにして京さん」
「…うん」
ヒカリの言葉に京は頷いた。
ヒカリはD-ターミナルでタケルにメールを送信するとタケルから了解の言葉を得た。
「少し休みましょう。多分京さんの今の状態じゃ戦えないわ」
「ごめん…本当にごめん…」
京は自分が迷惑をかけていることに気付いているのに全く言うことをきかない自分を情けないと思った。
そしてデジモンが現れた最後のポイントである東銀座では。
「ドラモンキラー!!」
「よっとっとっと!!」
ウォーグレイモンの怒涛の連続攻撃をかわす最後の暗黒デジモン、スカルサタモン。
「動きだけは素早い奴だな!!」
デュナスモンが力任せに殴りかかるが、大人しく殴られてはくれないようだ。
スカルサタモンはそれを容易くかわした。
「畜生…!!」
「速い…!!」
デュナスモンとウォーグレイモンを2体同時に相手取れるくらいのスピードだ。
「ならばかわせない攻撃をするまでだ!!」
「ギィ!?」
選ばれし子供の究極体デジモンの中でも最速のスピードを誇るバンチョースティングモンが全身からオーラを吹き出し、突撃した。
「いくらお前が素早くてもバンチョースティングモン…特にバーストモード状態のスピードには対処出来ないだろう!!」
バンチョースティングモンBMのスピードにスカルサタモンは対処出来ずに一方的に打ちのめされていく。
「ネ、ネイルボーン!!」
「遅い!!」
杖から放たれた光をバンチョースティングモンBMは目視すら困難なスピードでかわし、スカルサタモンを逆に蹴り飛ばした。
「これでとどめだ。ブラッディーフィニッシュ!!」
「ギャアアアア!!」
ドリルで串刺しにされ、ドリルの高速回転によってズタズタにされてデータ粒子となって消えた。
「やったぜ」
「究極体の中でもスピードならバンチョースティングモンが最強ですからね」
光子郎も被害が出る前にスカルサタモンを倒せたことに安堵している。
他の迎撃メンバーもマリンデビモンとレディーデビモンを撃破出来たことを報せてくれた。
そして精神的に不安定な京と伊織は家に帰らせたようだがそれでいい。
辛い事に無理して目を遇わせることはない。
こういうのは自分達の仕事なのだから。
「バンチョースティングモン…ワテも究極体に進化すればあんなスタイリッシュで格好良くなれますやろか?」
「まあ、無理やろうな」
「ありゃあ!!?」
少なくとも、巨体のグレイモン、メタルグレイモンの次の進化であるウォーグレイモンや、エクスブイモン、エアロブイドラモンの次の進化であるデュナスモンのことを考えればテントモンの究極体がバンチョースティングモンのようなデジモンの可能性はゼロではないだろうが、テントモンの究極体がスタイリッシュなのは何か違う気がする光子郎であった。
「どうせ究極体もカブテリモンやアトラーカブテリモンみたいな巨大昆虫型デジモンです。バンチョースティングモンみたいなスタイリッシュ昆虫型究極体デジモンは諦めて下さい。正直テントモンにスタイリッシュな姿は似合いませんよ絶対」
「そんな、あんまりや光子郎はん…(涙)」
泣き崩れるテントモン。
それに全員が苦笑し、京と伊織を除いた日本の選ばれし子供が揃った瞬間であった。
地面を通り抜け、ローブを纏った謎のデジモンが姿を現した。
「中々やるな選ばれし子供達。私の配下を全員倒すとはな」
「お前は…!?」
突如現れた存在に大輔達は目を見開いた。
ここに七大魔王・憤怒のデーモンが降臨した。
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