デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第46話:空のお誕生日
太一は1人、頭を悩ませていた。
日頃世話になっている幼なじみの空に誕生日プレゼントを送ろうと思っているのだが、最近の空はお洒落に興味を持ち始めたらしく、今までのようにいかなくなってしまった。
「うーん、どうしたもんかなあ?」
「どうしたんですか?」
「太一、どがあした?」
メイクーモンにリードを着けていかにも散歩しているように見せている芽心が頭を抱えている太一に歩み寄る。
「ん?おお、芽心ちゃんか…いやな、明日…空の誕生日なんだよ」
「え?そうなんですか?」
「誕生日?」
「前ならサッカーをしていたからスプレーとかをプレゼントしてたんだけど、最近の空はサッカー止めてテニスを始めてお洒落とかに興味持ち始めてるから、今までのようにはなあ。テニスとかはさっぱりだしな」
「そ、そうですか…」
「お菓子はどげだ?」
メイクーモンの問いに太一はうーんと頭を更に抱える。
「菓子は大輔とヒカリがやるだろうしなあ…しかも手作り」
「ああ…」
「メイみちゃあに眼鏡」
「メイちゃん。私の眼鏡はアクセサリーじゃないけえ…」
「伊達眼鏡ってのはあるけどな。流石に伊達眼鏡は無理だ…高いし」
メイクーモンの言葉に芽心は苦笑し、太一は伊達眼鏡の値段を思い出し、常に小遣いに困ってる太一には苦しかった。
メイクーモンが他にもリクエストするが、どれも微妙だった。
「髪飾りはどうですか?髪飾りなら動く際にも邪魔にならないし」
「それだ!髪飾りなら俺の小遣いでも買える。芽心ちゃん、悪いけど手伝ってくれ。ヒカリ曰わく俺のセンスは微妙らしいから」
「分かりました」
こうして芽心は太一の空への誕生日プレゼントを探す手伝いをする事に。
「こういうピンク色のはどうだ?」
女の子ならピンクと言う先入観もあるためか、太一はピンク色の髪飾りを指差す。
「んー、空さんの髪色だと黄緑色も似合うと思います」
「黄緑か…あいつ髪色派手だもんな。オレンジだし。…そういや大輔や光子郎も生粋の日本人のはずなのに赤茶色や赤だよな…」
「太一さん、それについてはツッコんじゃいけないと思います」
「だがん!!」
太一の問題発言を芽心とメイクーモンが止めた。
結果として紋章の色でもある赤色の髪留めにした太一と芽心。
「俺と芽心ちゃんで選んだんだし、2人で1つな」
「え?いいんですかそれで?空さん怒りません?」
「大丈夫だって、空はそんなにがめつい奴じゃねえし」
そして翌日、空の誕生日。
「よう、空」
「あら?太一に…芽心ちゃん?最近ずっと一緒にいるわね?」
「面倒見ろって言われたろ。これ、俺と芽心ちゃんからのプレゼント」
「え?太一と芽心ちゃんから?」
「ああ、実は俺だけじゃ空のプレゼント全然決まらなかったんだ。お前サッカー本格的に辞めておばさんからテニス習い始めたんだろ?テニスなんて俺さっぱりだしな」
「それで、私も空さんの誕生日、今日だと知って、私も空さんの好みが分からないから。太一さんと一緒に…後、これだけじゃ悪いからお菓子も焼いて来ました。クッキーですけど」
「ありがとう、随分小さいけど中身は何なの?」
「「髪飾りだ(です)」」
太一と芽心の言葉に空は表情を引き攣らせた。
一応この新しく買った帽子が気に入っていると言ったはずなのだが。
「ふ、ふーん…髪飾りね…」
「どうした空?変な顔して」
「えっと…髪飾り嫌いでした?」
疑問符を浮かべる太一と芽心に空は引き攣った表情のまま首を振る。
「……いや、そう言う訳じゃないんだけれど」
「なら良いじゃんか、俺も芽心ちゃんも空に似合いそうなの店から探したんだからな」
「この帽子が似合わないってこと…?」
「「へ?」」
空の呟きが聞こえなかった太一と芽心は更に疑問符を浮かべ、それを見た空は溜め息を吐いた。
「はあ…もういいわ。プレゼントありがとう…」
「何だよおい!?何て言ったんだよ空!?」
空は振り返ることなく去っていった。
「私達、何かまずいことしたんでしょうか?」
「…さあ?」
一時八神家に撤退し、大輔とヒカリに事情を説明する。
「髪飾り渡したら空さんの機嫌が急降下した?」
「空さん、髪飾り嫌いなの?」
「いや、そんなん聞いたことねえ…あ、でもこの帽子がどうたら言ってたな」
「帽子…?もしかしてお気に入りの帽子を被ってた時に髪飾りをプレゼントされたからじゃないの?」
「はあ?」
「…ああ…」
ヒカリの言葉に太一は疑問符を浮かべ、芽心はハッとした表情を浮かべて太一に説明する。
「お気に入りの帽子被ってる時に髪飾り渡されたら帽子が似合わないと思われてると誤解されても仕方ないと思います」
芽心の言葉に太一は思わず叫んでしまった。
「はあ!?そんなこと言われてもあいつがあの帽子を気に入ってるなんて分からねえよ!!あいつ色んな帽子持ってんだから…帽子コレクターかよ!!」
「まあ、そうですよね。女の子は俺達には理解出来ないとこありますから。」
「…お前が言うと凄え説得力だな大輔」
「我が儘な姉ちゃんがいますからねえ」
「なる程」
大輔の言葉に太一は思わず納得してしまった。
「お兄ちゃん、一応空さんにメールか何か送った方が良いんじゃないの?」
「…そうする」
ヒカリに促され、太一は近い内に空へメールを送ることにした。
「ところでヒカリちゃん。新作のケーキ作るんだけど食べに来る?」
「いいの?」
甘いものが大好きなヒカリにそれはとても魅力的な言葉だ。
「うん、日程は…」
それを聞いたヒカリががっくりとうなだれた。
「私、その日。お友達のお誕生日会あるから…」
「あ、そうか…」
それを聞いたブイモンはニヤリと笑いながらヒカリを煽る。
「残念だったな~ヒカリぃ~。大輔が色んな果物をふんだんに使ってプリンを中心に置いたゴージャスなケーキが食べられないとは~」
「むうう!!」
ヒカリは涙目で嘲笑を浮かべるブイモンを睨むが、ブイモンはどこ吹く風で更に笑う。
「は~っはっはっは!!ヒカリの分のゴージャスケーキは俺が頂いたあ!!」
「あうあうあう…」
ヒカリは苦悩した。
ゴージャスケーキと友達のお誕生日会。
苦悩して苦悩して苦悩した末に友達のお誕生日会に行くことにした。
「因みにテイルモンはゴージャスケーキ側だから」
「ちょっとブイモン!?」
暴露されたテイルモンは慌てるが、ヒカリはテイルモンを涙目で睨みながら走り去った。
「…っ!!テイルモンの馬鹿ーーーーっ!!!!」
「馬鹿…っ!?」
パートナーのヒカリに馬鹿と言われて石化するテイルモンであった。
「ヒカリ…可哀想に」
「そ、そうですね…」
「だがん」
太一も芽心もヒカリに憐れみの視線を寄越すのであった。
「でもケーキか。最近食べてないなあ…」
「………」
太一の呟きを聞き取った芽心は日頃のお礼に作ろうと考えたとか。
後書き
ゴージャスケーキVSお誕生日会。お誕生日会の勝ちだが、未練ありありだったヒカリ。
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