デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第44話:幸せ
前書き
Triは言うまでもなく、前々作と前作を無視した黒歴史物でしたが、素材は悪くなかったと思います。
現実世界はデジタルワールドの再構築によってある程度の修復はされたが、それでもある程度の被害は残った。
お台場小学校は大した被害はなく、普通に学校は再開したのである。
「畜生」
「まあ、気持ちは分かるけどな」
太一の呟きにヤマトが同意した。
再び学校での生活を送り、数ヶ月後は秋の季節となったことで大分涼しくなってきた。
因みにアグモン達は屋上で待機してもらっており、昼休みに全員で昼食を渡しに行く予定だ。
「そう言えば今日、転校生が来るんですって。確か鳥取から…」
「おーい席につけー」
藤山先生が教室に入り、不敵な(全然似合わない)笑みを浮かべながら口を開いた。
「今日からこのクラスに加わる新しい仲間を紹介しよう。さあ、入ってくれ。」
扉を開けて入ってきたのは眼鏡をかけた長い黒髪の大人しそうな女の子だった。
「望月芽心です…鳥取から引っ越してきました。よろしくお願いします」
緊張しながら挨拶する芽心と言う少女に藤山先生は席を見渡す。
「席は…えーっと、八神の隣か。八神、転校生の面倒見てやれよ」
「はーい」
芽心は少し戸惑った後、ゆっくりと太一の隣にの席に座る。
「俺、八神太一。えーっと、芽心ちゃんだったよな?」
「は、はい…あの…」
「ああ、いきなり名前呼びは不味かったかな~。望月の方がいいか?」
「な、名前で…名字で呼ばれるの慣れてなくて…」
「おう、じゃあ芽心ちゃんな…ん?」
太一の視界に見覚えのある、芽心の腰にある機械が入る。
「あ、あの…」
凝視される形となる芽心が居心地悪そうに口を開く。
「あ、悪い…」
こうして始まる授業。
授業終了後、太一は全員を集合させた。
因みにタケルと賢は別の学校なのでこの場にはいない。
「さてみんな、今回集まってもらった理由何だけどな。うちのクラスの転校生についてなんだ。」
「「一目惚れ?」」
空とヤマトが口を揃えて太一に尋ねる。
「そう…って、違うわ!!何でそんなことで招集かけなきゃならねえんだよ!!あの子のデジヴァイスだよデジヴァイス!!」
【デジヴァイス!?】
太一の言葉に全員が目を見開いた。
「俺達のとは少し形が違うけどな。でもあんな機械、デジヴァイスとしか思えねえ」
「芽心ちゃんも選ばれし子供?」
「多分な、取り敢えずあの子がパートナーと一緒にいる現場を見られれば…」
「お、噂をすれば望月が来たぞ」
【あ、本当だ】
大きめの鞄を持って人目を気にしながら屋上に向かう芽心を発見。
そして物陰に隠れながら彼女の後を追う太一達。
「……何て言うか、傍目からすれば最低だな。俺達」
【…………】
傍目からすれば気弱そうな女の子を追跡するストーカー集団である。
ヤマトの呟きに反論出来ない太一達であった。
「んあ?大輔達か?」
「本当?僕お腹空いた……あれ?女の子?」
見慣れない女の子に首を傾げるブイモン達。
女の子は鞄からプロットモンにそっくりなデジモンを出した。
「はい、メイちゃん」
「だがん!!」
芽心はメイちゃんと呼んだデジモンに食べ物を与えた。
「おーい」
「!?」
ブイモンが声をかけると芽心とメイちゃんは慌てて振り返る。
「よっ」
「だ、誰ですか…?」
「俺はブイモン。そいつと同じデジタルモンスター。略してデジモンだ」
「デジタル…モンスター…?」
首を傾げる芽心であった。
一方、太一達は屋上にアグモン達がいたのを思い出して慌てて屋上に駆け出すが…。
「むははは!止めろ~!メイクーモン!!くすぐったい!!」
「ブイモン、メイの友達!!」
ブイモンが見慣れないデジモンと仲良くしていた。
「え?何?」
「あ、あの…この子達、皆さんの…?」
太一達が疑問符を浮かべているとアグモン達とる芽心と目が合う。
「ああ、うん…まあ…」
「そうなんですか…」
「お前、芽心と一緒にいて幸せか?」
「だがん!!」
「そうかそうか。お前が元気そうで良かったよ」
「なあ、ブイモン。そいつと滅茶苦茶仲良いけど知り合いか?」
「大輔、こいつが誰だか分かんないのか?」
「会ったこと無いよな?」
ブイモンの問いに大輔は首を傾げた。
「こいつはアポカリモンだ。元が入るけどな~」
ブイモンが爆弾発言を投下した。
一瞬の沈黙の後、太一達とアグモン達は…。
【………えええええ!!?】
太一達とアグモン達に衝撃が走った。
あのアポカリモンがこれ?
「本当なのかブイモン!?」
「そんなの私聞いてない!!」
「と言うかお前、倒したんじゃないのかよ!?」
ヤマトとミミ、太一が問い詰めるがブイモンは少しだけ距離を取ると不敵な笑みを浮かべた。
「何時からだ?何時からアポカリモンが完全に消滅したと錯覚していた…?」
【何…だと(ですって)…?】
ブイモンの言葉の衝撃によって動けない太一達とアグモン達。
そして置いてけぼりを喰らう芽心とメイちゃんことメイクーモンであった。
衝撃の事実を知り、取り敢えず芽心からメイクーモンとの出会いを聞いて子供達はメイクーモンをどうしようかと輪を組んでいた。
「どうすんだよ?いくら生まれ変わってメイクーモンになったからってあのアポカリモンだぞ?」
「確かにな…今は大人しくても何時アポカリモンのようになるか…」
一番の懸念材料はメイクーモンがアポカリモンのように暴走してしまうことだ。
アポカリモンの本体が弱いと言う弱点はあっても驚異的な力を発揮したのは記憶に新しい。
アポカリモンの転生体と言うのなら、このメイクーモンもまた相当なポテンシャルを秘めているに違いない。
と言うか芽心曰わく幼年期から成長期に僅か数日で進化したと言うのだから異常だ。
「しかし、生まれ変わって間もないし善悪の区別もあまりつかないようですから、しばらく様子を見てはどうでしょうか?」
もしメイクーモンがアポカリモンのように世界を滅ぼそうとした時は、全力で止めるとして、今は見守ることにした。
「あの…メイちゃんは…」
「ああ、芽心ちゃん。その…取り敢えずしばらく様子を見させてもらう。メイクーモンに異変が起きなかったら。今まで通りしてくれていいさ…これ俺達の連絡先。もしもメイクーモンに何かあったら教えてくれ」
「…はい」
芽心は選ばれし子供達の家の電話番号が書かれたメモを見つめる。
出来れば必要になることがないことを祈りたい。
「だがーん!!」
「あ、進化した」
【は!?】
ブイモンの言葉に慌てて見遣るとプロットモンにそっくりな姿から猫を思わせる姿に進化していた。
もう成熟期にまで進化するとは…。
「おい、まさか一気に完全体や究極体にまで進化しないよな?」
「そうならないように祈るしかないね」
「流石に完全体の姿を固定は出来ないよな…」
異常な進化速度に頭を悩ませる上級生組。
下級生組…と言うか大輔とヒカリは成熟期に進化したメイクーモンと戯れることにした。
優しく友情を持って接すればメイクーモンは暴走したりはしないと信じて。
「メイクーモン、俺は大輔だ」
「私、ヒカリ。覚えられる?」
「んー、大輔、ヒカリ?」
「「そうそう」」
「おーいメイクーモン。一緒に飯にしようぜ」
ブイモンが呼ぶとメイクーモンは一目散に飛んでいく。
ヒカリは心配そうにメイクーモンの後ろ姿を見つめる。
短時間での進化などかつてのコロモンを思い出させるからだ。
「大丈夫だよヒカリちゃん」
「?」
「メイクーモンはあの時のコロモンのようにはならないよ。だって芽心さんのパートナーデジモンだし。何て言うか、あんな幸せな顔してんだから」
「うん、幸せになれるといいね。」
「それにしてもあんのアポカリモンが遊園地のマスコットになっても不思議じゃないデジモンに生まれ変わっちまうとは」
【確かに】
こればかりは否定しようが無かった。
あんな強面のアポカリモンがあんな可愛らしいデジモンに転生するとは誰も夢にも思わないだろう。
「前のメイちゃんってどんなデジモンだったんですか?」
「データがありますけど…見ますか?」
「あ…はい………これがメイちゃん?」
「やっぱ、信じられねえよな」
アポカリモンのデータを見て驚愕したような芽心の表情を見て太一は苦笑した。
「まあ、とにかく。今日から俺達は仲間だ。デジモンのことなら俺達に頼ってくれ。」
「あ、ありがとうございます…太一さん」
「別に敬語なんか使わなくていいじゃんか同い年なんだし」
「芽心ちゃんは太一と違って礼儀正しい良い子なのよ」
「うるせえやい!!」
芽心の敬語に太一が不満そうにするが、空が芽心を庇うように言うと太一が叫んだ。
「取り敢えず、これからよろしく芽心さん」
「はい」
新たな仲間を加えた子供達。
これから女性陣を中心に賑やかになるだろう。
後書き
小説を書く上で最大の強敵は方言キャラだったりする。メイクーモンとテントモンとアルマジモンは私の天敵です。
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