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オズのエリカ

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第十幕その六

「普通に誰でも食べてるよね」
「そうだよね」
「美味しいものは贅沢なのよ」
 これがエリカの考えでした。
「私が思うにはね」
「だから贅沢なんだ」
「そう言うんだね」
「そうよ、色々なオマール海老の料理をね」
 茹でたりフライにしたりしてです。
「食べたいわ」
「わかったよ、じゃあね」
「皆で食べようね」
「そういうことでね」
 エリカはこう言ってこの日はオマール海老の料理となりましたがそのオマール海老についてでした。
 オズマはエリカにです、お食事の時に言いました。
「私もオマール海老好きだけれど」
「それはいいことね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「私が一番好きなのは」
 オマール海老のお料理の中でというのです。
「カルパッチョだけれど」
「あら、そっちなの」
「貴女はどうなの?」
「私は何でもよ」
 エリカの場合はそうだというのです。
「カルパッチョも好きだしアヒージョもパエリアもね」
「そういったものもなの」
「フライだって好きだしスープもね」
「今全部出ているけれど」
「だからこれだと思ったものをね」
 まずはというのです。
「食べているのよ」
「今も迷わないのね」
「そうよ」
 こうオズマに言うのでした。
「本当にね」
「もうすぐに食べるものを決めるのね」
「これだってね」
 そのオマール海老をあっさりと塩茹でにしたものを食べます、あっさりとして非常にいい味加減です。
「もうね」
「迷わないで」
「そう、迷わずに」
 それでというのです。
「即座に食べるのよ」
「成程ね」
「お腹一杯になるまでね」
「食べてからあれ食べればよかったとか思わない?」
 このことを尋ねたのはジョージでした。
「そうは」
「思わないわ」
「それはどうしてかな」
 ジョージはフライを食べつつエリカに尋ねました。
「よくそう思う時があるけれど、僕は」
「だって次に食べればいいじゃない」
 あっさりと答えたエリカでした。
「今食べられなくても」
「次の機会になんだ」
「そう、だったらどうしてね」
「食べればよかったって思うとかないんだ」
「全然ないわよ、私後悔もしないのよ」
 迷うこともなければです。
「また次の機会にね」
「食べればいいんだね」
「それで間違えてもね」
 選択、それをです。
「やり直せばいいしね」
「取り返しのつかないこともあるでしょ」 
 アンはエリカにあえて厳しいことを言いました。
「そうでしょ」
「そうね、そうした時はね」
「どうするの?」
「埋め合わせをするのよ、どうしてそうなったのかそしてどうすればいいのかを冷静に考えてね」
 そうしてというのです。 
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