魔弾の王と戦姫~獅子と黒竜の輪廻曲~
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用語集【ソウル】【トリプルゼロ】【竜具】【この物語の創世神話】
前書き
今後の展開を含みますのでご了解ください。
本作オリジナルの設定となっています。
用語集
※ネタばれを含みますのでご承知くださいませ。
ソウル:フリージング
あらゆる生命体(細菌類含む)が持つ活動エネルギー。このエネルギーが抜けた素粒子は活動を停止、生命体でいうところの『完全な死』につながる。一言でいうならば、『素粒子の霊体』。生を全うした生命体の記憶を宿すこともあり、前世の記憶をもったまま生まれる個体もあるという。素粒子学者であったアオイ博士は、後に異世界転生と呼ばれる原理はこの素粒子の存在によって解明している。レジェンドパンドラのエネルギーバイタルとして、超巨大ストレージに収容されていたが、同質次元論による一方世界の滅亡を前にして、このソウルをめぐり、並列世界同士の戦争が起きる。ちなみに、凱のイレインバーセット時であるアスタル=オブ=アンリミテッドのチカラは、このソウルによるもの。素粒子から抜け出たソウルのエネルギー量は、後述する聖痕の何倍、何十倍ものであり、レジェンドパンドラはそのソウルを大容量ストレージ(いわゆる外付けハードディスクみたいに保存)に収納している。必要時にはそのストレージからソウルを抽出、運用している。
トリプルゼロ:勇者王ガオガイガー(WEB小説掲載の覇界王~ガオガイガー対ベターマン)
のちに宇宙そのものとなるエネルギーのカタマリ。一言でいうなら『素粒子の亡骸』。あらゆる概念を持たないため常に暁の輝きを放つ。一気にトリプルゼロが放たれると、宇宙の開闢から終焉の時を一気に駆け抜けるとされる、多元的終末論の素粒子。すなわち宇宙創造の炎そのものでもある。ジェネシックオーラの元はトリプルゼロとされており、ジェネシックは『宇宙の摂理を体現するに』もっとも適した接触端末と化し、生命全てを光にする存在へと成り果てた。
ソウルの抜けだした素粒子がトリプルゼロにあたる為、トリプルゼロからソウルが抜け出す現象は『素粒子の幽体離脱』ともいえる。ティグルが駆る黒弓は、トリニティ=フェイスロール=ナイトメア=ファルメル=プロセッサーの管理するゲートからトリプルゼロを吸引、矢に付着することで『素粒子への干渉及び破壊』を可能にする。直視の魔眼ならぬ直視の魔弾たりえる理由はこれによるもの。あらゆる素粒子形状や記憶媒介を終焉まで加速、到達させる初期化の力を持つため、この理論上あらゆる敵を射抜くことを可能にしている。
(アニメ版12話にて、テナルディエを撃つ際に、ティグルがトリプルゼロに浸食されかけていた。瞳の暁色から見て取れる)
Gストーン:勇者王ガオガイガー
無限情報サーキットとも呼ばれる命の宝石。原石であるGクリスタルと、緑の星の申し子ラティオの能力をもとに、父カインが造り上げた。
竜や獣、そして人をはじめとした、あらゆる生命体の遺伝子情報が内包されており、その性質を利用して様々なインプラント治療が施された。実例はサイボーグガイ、ヴァルナ―、サイボーグルネ。(余談だが、このインプラント療法はゾンダーメタルによるストレスの昇華からきている)心臓の代替えすらも可能で、これにより凱たちサイボーグ医療体にとって生命線となった。アオイ博士はこのGストーンの特性を応用し、暁の終末論で崩壊した地球環境及び、かつて存在していた生命体の再生を図った。魔弾の王と戦姫や聖剣の刀鍛冶に登場する人物は全て、少なからずGストーンの素子を含んでいる。そのため、凱はこの世界にとっては生まれながらの『王』ともいえる。(だが、凱にとって『王』とは戦慄すべき言葉でもある為、もしかしたら、心変わりして皆を支配してしまうのではないかという、自分自身のチカラと存在について恐れていた)しかし、本質的にはゾンダーメタルと同じため、Gストーンに適格せず、成れの果てと化した被験者『異形の存在』も生まれた。それが後に戦姫と対峙することとなる『魔物』である。フリージングの時代に残されたGストーンはやがて、崩壊した世界を管理再生するためのプロセッサーとして再利用される。このGストーンは分割した状態でも、その機能を保ち、なおかつ相互作用をもたらすリンク機能を持っている。キズナ的な性質は後に竜具やティル=ナ=ファの誕生へつながることとなる。フツヌシを起動させ、世界樹を創造し、天使の梯子を上って庭園へ辿り着いたハウスマンは、特殊なGストーンに触れて、数多の知識を手に入れた。機械文明も素粒子理論も、後に死言を遺伝的に伝える特殊な悪魔契約も、その知識から発展させている。かつて地球人類がギャレオンのブラックボックスから、新たな概念図を会得してガオガイガーを造り上げたように、ハウスマンもまたGストーンから得た知識をもとに、難民たちを救い上げ続けていた。
(原典は、世界樹ユグドラシルの頂上についたオーディンが、あふれ出る叡智の泉の水を飲み、知識を得たといわれている~から)
生命体の誕生~それぞれの原作へ。:フリージング原作終了後~聖剣の刀鍛冶、魔弾の王と戦姫開始前。
地球歴2012年から2064年に続く現代まで、人類は異次元体『ノヴァ』という共通の敵を倒したにも関わらず、お互いを敵と認識し殺しあっていた。核燃料や太陽光よりも確実に、より効率的にエネルギー供給を可能とする異世界物質『聖痕』をめぐる醜い争い。各国が血を流し、魂を砕き、涙さえも乾く戦いの中、アオイ博士は絶望しきっていた。幼い人類の変革の無さを。世界を作り変えるという欲求を抱き、ついにアオイ博士は聖痕を用いた『相転移実験』を行ってしまう。結果、門の向こうから終末炎が溢れ、こちらの次元宇宙全てを洗い流しに来たのだ。結果、すべての生命と文明の遺産は並列世界の彼方へ飲み込まれてしまった。それはあたかも、神々の黄昏ラグナロクを彷彿させる炎のように。
早まった己の行いを悔い、アオイ博士は自らの消滅を願った。しかし、ソウルそのものと化し、マテリアルを失ったアオイ博士にはそれが出来なかった。だからアオイ博士は償うことにした。世界と生命の再生を。贖罪を果たせぬ人ではなく、あらゆる罪を背負う『神』として。
まずは世界の再生。最初にアオイ博士は、滅びた世界にガーゼを駆けるように、地球表面の上に新たな世界を創造した。それは、かつてGGGのディビジョン艦の瞬時物質創世艦『フツヌシ』の、わずかに稼働している『創世炉』を利用したものだった。素粒子と組織構造さえ把握していれば、あらゆる物質を創造可能なその艦のチカラによって『幻想の大地』を造り上げた。
次にアオイ博士は、新たな生命の創造を開始した。
トリプルゼロとソウルが結びついて『素粒子—モナド』が再生。そこにGストーンの欠片を混ぜ合わせて生まれたのが、この世界の新たな生命体。地球上に恐竜が生まれたように、新世界に生まれた最初の生命体が『竜』だった。フツヌシに頼らなかったのは、アオイ博士による『ある』推測からだった。ともあれ――
竜はやがて次第に大型のものへと変化し、ある程度個体数が増えると、そこから獣、原初人類、そして知的活動を行う人類が誕生した。
しかし、自然に生まれた新人類の未来と行く末を、アオイ博士は信じていなかった。夢は誰にでも刷り込まれた欲求にして衝動だ。その夢が欲に変わり、かつての自分や旧時代の人類のように、世界を汚しては壊しつくすのでは?そこでアオイ博士はある種の優生進化に似た計画を思いつく。
それは――知的生命体が生まれながらに持つ『夢』と欲求を統括、循環させ、やがて全生命体に良い方向へ進化させていくものだった。
元々この新人類たちは、Gストーンの素子をも受け継いで生まれている。そして前述したGストーンのリンク機能を応用してアオイ博士は人々の夢を統括、循環させようとしたのだ。
人は何かに成ろうとする。夢に善も悪もない。純然たる衝動で動く生き物。竜や獣のような本能で生きる生き物ではない。(奇しくも、凱がシーグフリードに「『本能』よりも『衝動』を選ぶか。それもいいだろう」と告げている)人のあらゆる夢と欲求を司る制御機構Gストーン端末『ジルニトラ』がその要だった。世界再生機構三大制御端末の一つ『(父)ペルクナス』『(魂)ゾーリア』『(子)ジルニトラ』のうちの一つを利用するもの。Gストーンの素子は、あらゆる淘汰圧や外部からの経験情報、感情を信号として受け止め、蓄積する性質を持つ。受信した記録は、その生命体が寿命を終えると送信し、ペルクナスの元へ届けられて適格化した進化の譜面をる。それをゾーリアが『受信したコードをもとに新たな進化コードを脳細胞が出来上がりつつある胎児』に刷り込ませる形で送信する。そして生まれた生命体の感情をジルニトラが管理する。
『父ペルクナス』が命の律動を伝え、『魂ゾーリア』が命に子守歌を聞かせ、『子ジルニトラ』が目覚めの歌を告げる――という形で。
このカタチだと、悪い夢も区別なく蓄積される可能性がある。この辺はアオイ博士の賭けだった。もし、神の介入をもってしても、破滅の未来につながっていくとしたら、それは人の持つ本来の性質が悪そのものであるためである。強引に進化の方向を定めようものなら、生命体の遺伝子歴史がいびつな形となり、かつての機界生命体のような脅威が訪れるからだ。ヒトの夢見る理想郷が良いものなら、それは良いものとして循環し、本当の理想郷が生まれるとアオイ博士は信じていた。
しかし、そこに神と呼ばれるアオイ博士の『誰もが笑って暮らせる、飢えをしのげ、人の行き来が盛んな理想世界』は存在しなかった。
結果的にだが、このアオイ博士のまわりくどい計画も頓挫に終わる。神の編ませた律動計画をもってしても、人間の本質は変えられなかった。
新たな人類となった彼らもまた、旧世代の人類、つまり、アオイ博士のいた時代の人間と同じように、剣と馬を操って殺しあっていた。大地を汚し、空を濁しては、その戦火を徐々に広げていった。そんな世界にアオイ博士は絶望しきっていたのである。
フツヌシからヤコブの梯子をつくった初代ハウスマンもまた、その絶望にあえぎ、苦しみ、世界と神の答えを求めて世界樹を上ったのだ。この世界を作った神に答えを求めて、己のチカラだけで蒼氷星に辿り着いたのだ。
壮絶な想いで世界樹の頂上に辿り着いたが、神に会うことは叶わなかった。
だが、初代ハウスマンは『蒼氷星に辿り着いた証』として、神の叡智を結晶化したと伝えられる『賢者の石』を手に入れた。
『ガオファイガー』という名の聖鎧に納められている、聖痕とGストーンの複合構成物。Gストーンとはいえ、ボルトテクスチャーという質量具現化する聖痕の性質も含んでいる為、当然のごとくハウスマンの心に住み着いていた『絶望』と『心の壁』が表面、実体化してしまう。そうして生まれたのが初代ガヌロンと呼ばれるマクシミリアンだ。ガヌロンはハウスマンの願いを叶えようと、ガオファイガーのすべてを以て破壊しようとした。しかし、ハウスマンは目の前のガヌロンを否定する。そんなことは望んでいない。お前が望んでいるすべてだと。二人の戦いはすさまじく、神の御座―――プロセッサー制御保管室も破損を免れず、人類補完の為のあったプロセッサーコア3つは砕け、どこかへ飛び散ってしまった。『ペルクナス』は行方不明となり、『ジルニトラ』は8つに砕け、『ゾーリア』は3つに砕け散り、地球へ流星のごとく降り注いだ。
『竜具誕生~シャルルとティル=ナ=ファの邂逅』
砕かれたジルニトラは8つの流星となり、とある丘へ降り注いだ。実際に地球で流星が降り注いで恐竜が滅びた歴史をたどるように。竜同士の戦争がまだ続いており、生き残りの一匹の竜が隕石を食った。その竜の鱗はやがて七色に輝いたのち、暁のような黄金色の鱗を纏うようになった。その竜は言葉を操り、大気を従え、凍漣の大地を踏み砕く等、超常の力を従える存在となった。眼を焼き尽くすような鱗を持つ三つ首竜を人は『暁の聖竜—スペリオル・ドラゴン』と敬称した。流れること幾星霜。黒衣を纏った一人の男が、自分の仕える国から『竜殺し』の依頼を受ける。暁の聖竜は、存在するだけで地表のすべてを焼き払う災害をもたらす小型の太陽だったからだ。暁の聖竜から授かった宝石(砕けたジルニトラのプロセッサー)を見て、『この宝石を原料にすれば、神々の黄昏すらも討ち払えるような想像を絶する武具ができるかもしれない』と思い、刀鍛冶が盛んな村(のちに独立交易都市として興る)へ赴くこととなる。蒼氷星から帰還していたハウスマンは、黒衣の男に『竜具』を作るよう依頼する。この戦乱を沈めるための護神刀7つを作ってくれと。黒衣の男もまた、後に現れるであろうヴィッサリオンと同じ夢をもっていたのだった。(獅子王凱とアリファールを介して邂逅した時、黒衣の男はその心中を吐露している)ハウスマンは承諾する代わりに一つの条件を持ち出した。自分に代わってこの『聖剣』で黒竜ヴァルバニルを封印してみろと。約束を果たして七日七晩鍛え上げた竜具を手に入れた黒衣の男は、西の地へ赴いた。それは、後に黒竜の化身を名乗る彼への皮肉とも取れた。(原典は、日本神話におけるヤマタノオロチから)
さらに流れること数年後、西の大陸は人(上の世界の幻想の大地)と魔(下の世界の現実世界)の抗争状態にあり、ただ存在のみを賭けて互いの住む世界を駆けて争っていた。やがて『人』と『魔』の均衡がくずれ、魔の勢力が人に王手をかけていた。そこで一人の巫女が『人』に助けを求めてきた。『人』は『魔』に対して何もできなかったが、ジルニトラという神殺しの三つ首竜を頼った。その三つ首竜の正体は、ゾーリアのプロセッサーコアを喰らった、暁の聖竜が変質したものだった。黒衣の男に力を譲渡したために、一つの属性を残して黒い鱗に変わったためである。
こうして人は魔との全面戦争へ突入していくこととなる。
その頃西の大陸の中央部では、シャルルという一人の男が邪教徒討伐に併走していた。かつてハウスマンと壮絶な戦いを繰り広げていたガヌロンと出会い、各地を流浪し転戦していた。その中でシャルルは黒衣の男と運命的な出会う。黒衣の男の実力を目の当たりにしたシャルルは――
「どうだろう?そのチカラ、俺たちにも貸してくれないだろうか?」
「竜具とやらのチカラは素晴らしい。その竜技というのも、学びたいこともある」
と直球に説いてみたのだ。黒衣の男は次第にシャルルの気質に惹かれ、ガヌロンと共に力を尽くすこととなる。しかし、ガヌロンはこの黒衣の男に異質な興味を持っていた。出自も竜具も含めて。それから3人は転戦していくうちに、アルトリウス、ティッタに容姿の似た『力の巫女』、他の仲間たちが加わっていき、ついに『魔』の巣窟たるフツヌシの中枢に巣食う元凶、魔物たちとの決戦に挑むのである。戦乱の元凶となった七体の魔物――コシチェイ、ドレカヴァク、ヴォジャノーイ、トルバラン、ルサルカ、ズメイがそれを守っていた。彼ら魔物も目指していたのだ。蒼氷星を目指して『我等だけの世界』という願いをかなえてもらうために。
そしてついに、『人』と『魔』はそれぞれ最強の特使を召喚しあう。
力の巫女が竜具と共鳴をおこして、天使ファイナリティ・ガオガイガーを。
魔物が女神の命に従い、儀式を行って悪魔ジェネシック・ガオガイガーを。
限りない破壊と再生の輪廻と共に、巨人同士の織り成す神話は始まった。
「そうだ!それが貴様のチカラだ!創造主が望んだ本当のチカラだ!」
「ちがう……あたし……は」
こうした最終決戦では、大陸の影響を考慮して力を抑えていた巫女だったが、それを『魔』に見抜かれてアスヴァールに攻撃したことで『トリプルゼロ』の力を不完全な形で引き出してしまう。『魔』を倒すことはできたが、鋼鉄巨人の戦いはすさまじく、7つあった世界大陸のうち、3つまでもが海のモズクとなって沈んでしまう。巫女としてのチカラが結果的に多くの命を奪ってしまったことがトラウマとなり、自らの人格と力を封印し、黒衣の男の竜具『エザンディス』によって平和な時代となった未来へ流されていった。(300年後のアルサスの森へ流れ着き、子供のいない巫女の家系たる夫婦に引き取られた)後にこの赤子はティッタと名付けられる。
一方、シャルルとガヌロン、そして黒衣の男はそれぞれの今後と決意を打ち明けていた。
シャルルはガヌロンの具申に従い、弓を捨てる……というよりも、未来へ託す形で聖窟宮に封印する。いつかまた人類が、この弓の力を必要とする時が来るかもしれない。その意味も込めて。
黒衣の男は西の地を平定するために黒竜の化身を名乗り、紛争地域へ赴く。今度は『人』同士の混沌時代が始まったのである。
地球という蒼くも美しいパンドラの箱の中身は、絶望の一色に染まっていた。そのために、アオイ博士はフリージングをかけてオービットベースと自分自身を完全に停止。完全なる『傍観』で、地球の行く末を見守ることにした。
そんなアオイ博士……神の卑屈な精神によるものなのか、事態は一変する。
やがてそれぞれの原作には、セシリー(聖剣の刀鍛冶)やティグル(魔弾の王と戦姫)といった、原作に光をもたらす主人公の存在が生まれた。
世界を統括する宇宙庭園は、いつしかジスタートでは、冬の間にだけ現れる蒼氷星と呼ばれるようになった。(偶然かもしれないが、蒼氷星の『蒼』とアオイ博士の苗字である『アオイ』は『蒼い』ともとれる。氷=フリージングの意味も兼ねる。それだけでなく、ディビジョンフリートのリート部の意味も含まれている)
神の眠るその星に矢を届かせたものはどんな願いでも叶うと伝えられ、それはティグルが『バートラン』をきっかけにして魔弾の射手に覚醒したことで現実となった。アオイ博士……神は語る「ティグルヴルムド――――そなたは何を望む?」と。
テナルディエの左腕を吹き飛ばした際、トリプルゼロを纏わせた一矢が、成層圏を突き抜けてフリージング領域に守られていたオービットベースに突き刺さったのである。
この時、閉ざされていたはずの『オレンジサイト』の門が起動した。同時にアオイ博士も目覚めたのだ。ティグルが黒弓でかき鳴らした弦の音で。神話上の女神(ティル=ナ=ファ)を揺り起こすはずの黒弓は、実在する神(アオイ博士)の目覚めを呼び起こしたのだ。
神はふと一欠片の……いや、一粒の希望を抱いた。「もしかしたら、この原作達は変わるかもしれない」と。
(生命の誕生の原典は、北欧神話における生命の誕生――火と氷の融合から)
竜具:魔弾の王と戦姫
黒竜の化身が己の妻たちに下肢与えたと伝えられる超常の武具。(基本設定は原作を参照のこと)
長剣、槍、錫杖、双剣、鞭、斧、鎌の七種類あり、全てに竜の牙の如き『刃』が備わっている。(わかりにくいが、錫杖にも仕込み刀という形で刃が収納されている)竜具を持つ戦姫は公国を統治する権利を与えられ、その階級は王に次ぐ。貴族は戦姫の下ともいえる。
竜具には自然界に属する力が宿っており、銀閃、凍漣、光華、煌炎、雷禍、羅轟、虚影の力を宿している。竜具の意志の中枢ともいえる『コアクリスタル』が元となっており、本来は新人類の『感情』や『夢』を統括するプロセッサーだった。機動部隊だった竜シリーズのGストーンを一つに凝縮したものであり、風や炎を巻き起こせるのはその名残であるため。(余談だが、その竜具の対抗策として製作された不敗剣も、ゴルディオンモーターの原理を使われていると思われる)
竜具を以て初めて可能となる超技の竜技は、竜の部位を模したものとなっており、本来の竜の技は『最強の極輝』そのもの。そもそも『暁の聖竜』からであるため、それぞれには『降魔の斬輝アリファール』・『破邪の尖角ラヴィアス』・『退魔の祓甲ザート』・『討鬼の双刃バルグレン』・『砕禍の閃霆ヴァリツァイフ』・『崩呪の弦武ムマ』・『封妖の裂空エザンディス』となっている。アリファールの場合は竜の牙アリファール。竜の翼ヴェルニー。その翼の派生である羽毛リュミエール。竜の息メルティーオ。竜の角コルティーオ。竜の尾クサナギ。竜の爪レイ・アドモスがあり、竜の技としてレイ・アドモス・アンリミテッド、異界竜具からなる竜の門レイ・アドモス・ロード・オブ・アンリミテッドがある。本来の原作にはなかった展開により、世界に危機が訪れると、その救済処置として独断で戦姫から勇者を選ぶ時がある。アリファールは獅子王凱へ。ラヴィアスはリムアリーシャへ。バルグレンはサーシャからフィグネリアへ。エザンディスはミリッツァへと。その場合は戦姫から勇者へ呼び名が変わる。それに伴い、竜具の形状が若干変わる。(旧魔弾の竜具デザイン→新魔弾の竜具形状へ)勇者にしか使えない竜技が解禁され、原作崩壊をもたらす敵と十分に戦えるようになる。
(原典は戦乙女が勇者の魂を導く北欧神話ヴァルキュリアのエインフェリアから)
戦いの道具に使われるようになっても、人の夢を蓄積するプロセッサーの役割も生かされており、この点も竜具の判断基準となっている。例外的なラヴィアスもまた例外ではなく、その選定の仕方が特殊なだけである。そのため、病に侵されていても、自身の野望の為に国を割るような戦姫ですら竜具が手元に残ることもある。一度戦姫の手元を離れた竜具は、戦姫から培った淘汰圧や外的経験、感情までもペルクナスへ送信し、ゾーリアを介して新たな進化譜面を受け取り、新たな選定基準を以て次世代の戦姫の前に現れる。このたびに、竜具の記憶や経験はいったんフォーマットされ、バージョンアップしていく仕組みである。
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