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レーヴァティン

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第七十七話 八丈島その十三

「それだけだ」
「ううん、それだけっちゃ」
「何かあるか」
「いや、英雄さんはどうもっちゃ」
 彼の今の発言と表情を見ての言葉だ。
「淡々としてるっちゃな」
「俺はいつもこうだ」
「それはそうだっちゃが」
「今回もか」
「そうだと思ったっちゃ」
「そうか、ではな」
「あらためてっちゃな」
「行く」
 こう言うのだった。
「頂上までな」
「それだけっちゃな」
「そうだ、そしてだ」
「十人目に会うっちゃな」
「必ずそうする、あと飯だが」
「そうそう、食事はどうするっちゃ」
「こいつを食う」
 鬼熊達の中で一体金塊になっていない者がいた、その屍を見つつの言葉だ。
「これからな」
「ああ、熊をっちゃ」
「塩もあるしな」
 これはいつも持ち歩いている、料理の味付けだがそれと共に塩分補給を兼ねているのだ。人間は塩がないと生きられない。
「だから大丈夫だ」
「お味噌もですね」
 夕子はこちらを言ってきた。
「ありますわね」
「勿論だ、塩に味噌がないとな」
「お料理としては」
「和食ではない」
 そうだというのだ。
「だからだ」
「お味噌もっちゃな」
「持っている、だからだ」
「安心して食べられるっちゃね」
「醤油はないが」
「お味噌があればいいっちゃね」
「味噌は最高の調味料の一つだ」
 こうもだ、英雄は言った。
「これがあるとかなり違う」
「それは同意っちゃ。お味噌汁にも使えて」
「鍋にも使える」
「では熊鍋っちゃな」
「近くの山菜や茸も採ってな」
「では早速っちゃな」
「肉を捌いて山菜と茸も鍋に入れて味付けをする」
 そして食うとだ、英雄は仲間達に言った。そうして腹を満たすのだった。


第七十七話   完


               2018・8・9 
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