レーヴァティン
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第七十七話 八丈島その十二
「この山にいる」
「そうでありますね」
「そうだな、まさに仙人がいるにな」
「相応しい場所であります」
「全くだ、では敵が多くともな」
魔物達がというのだ。
「頂上に進むぞ」
「そうするであります」
「是非な」
こう話してだ、そしてだった。
一行は頂上に先に進んでいった、だが頂上は中々見えない。そして魔物だけが出て来ていた。今度の魔物は鬼熊だったが。
その魔物を横薙ぎに真っ二つにしてだ、智は唸って言った。
「この鬼熊は山に多いでござるが」
「それでもやな」
耕平は別の鬼熊の急所を手裏剣で貫いていた、投げたそれが魔物の眉間に突き刺さっているのを見つつ言った。
「一度に何体も出るとかな」
「ちょっとないな」
「そうでござる」
しかしと言うのだった。
「他の地域にはなかったでござる」
「そやな、鬼熊は強い」
熊がさらに強くなり魔物となった、それだけに強さは相当なものだ。
「その鬼熊が五体も出るとかな」
「恐ろしいでござるな」
「全くやな、この山は別格や」
まさにというのだ。
「魔物の種類も数もな」
「他の地域と違うでござる」
「全くや」
まさにというのだ。
「それがし達やないとな」
「勝てるものではないでござる」
「ほんまや」
「これは相当な腕の者で強い武器を持っていないと」
「勝てるものやない」
まさにというのだ。
「そらここに入る奴はな」
「少ないでござる」
「仙人でもないと一人ではな」
「入って生きていられないでござる」
「それかそれがし達やないと」
自分達位の強さでなければというのだ。
「修行どころかな」
「生きることさえも」
「出来るもんやないわ」
「恐ろしい場所でござる」
「ほんまにな」
「鬼熊が五体なんてっちゃ」
愛実も言ってきた。
「有り得ないっちゃよ」
「他の地域ではでござるな」
「とてもっちゃ」
それこそというのだ。
「ここまで出ないっちゃ」
「強い魔物がよおさんな」
「なかったっちゃ」
「ちょっとない場所やな」
「そう思うっちゃ。しかし」
愛実はこうも言った。
「ここからっちゃな」
「さらに先に進むわ」
「そうするっちゃな」
「そうだ、魔物が幾らいようとも倒す」
鬼熊を一体心臓を貫いて倒した英雄の言葉だ。
「そうしてだ」
「先に進むっちゃな」
「それだけだ、そしてだ」
「頂上にっちゃな」
「行くだけだ、まだ見えないが」
頂上、そこがだ。
「進んでいけばやがてだ」
「頂上に辿り着くっちゃな」
「そちらに進んでいけば必ずだ」
「辿り着くっちゃな」
「だからだ」
「頂上に向かうっちゃな」
「そうしていく」
こう言うのだった。
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