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ジェームス=ディーンに憧れて

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第三章

「今さっき笑ってた奴がな」
「銃弾とか受けてですね」
「ああ、死んだりするからな」
「だからですか」
「こうしたこともな」
 ディーンの事故死もというのだ。
「やっぱりな」
「あるんですね」
「そうだよ、人間なんてな」
「何時死ぬかわからないですね」
「こう言ったら何だが」
「ディーンもですね」
「そうだったんだよ、戦争じゃないけれどな」
 ディーンが死んだことはというのだ。
「あるんだよ、後はな」
「ディーンの死を残念に思っても」
「俺はですね」
「元気でやってろ、それで最後の審判の時にな」
「ディーンに会ってですね」
「いい演技だったって言ってやれ」
「わかりました」
 この時はこう答えたダグラスだった、この時はこれで終わったしダグラスも前向きな男でディーンの死は悲しんではいてもだ。
 前向きになってだ、ファッションはそのままだった。
 ディーンの様なファッションに髪型そして仕草でい続けた、そうして友人達にも強い声で言うのだった。
「俺はこれからもな」
「ディーンか」
「ディーンでいくんだな」
「ああ、ディーンは死んだがな」
 それでもというのだ。
「これからもな」
「ディーンのファッションと髪型か」
「そのままでいくんだな」
「そうしていくからな、絶対にな」
 強い決意での言葉だった。
「これは変えないからな」
「ディーンのままか」
「そのままでいるか」
「何があってもな」
 こう言ってだ、彼はファッションや髪型はディーンで通した。少し普通と違う感じのリーゼントにジーンズのままだった。
 それは結婚して子供が出来て孫が生まれても同じだった、幸い彼は然程太らず髪の毛も白くなったがあまり減らず。
 九十を超えてもリーゼントとジーンズだった、それで曾孫が彼に尋ねた。
「お祖父ちゃんはどうしてだよ」
「リーゼントとジーンズか」
「今のそのファッションなんだよ」
「わしはジェームス=ディーンが好きだからな」
 ダグラスは曾孫、ジュニアハイスクールの学生の彼に笑って答えた。
「それでだ」
「髪型もファッションもか」
「こうしてな」
「ジェームス=ディーンのままか」
「そうだ」
「それはわかったけれどな」
 それでもと言う曾孫だった。
「もうジェームス=ディーンなんてな」
「大昔か」
「何時の人だよ」
「わしが若い頃、もうな」
「六十年以上前だな」
「それ位だな」
 まさにというのだ。
「もうな」
「凄い昔だよな」
「ははは、そうだな」
「この街だって全然違っただろ」
「ああ、全然違ったさ」
 ダグラスは自分が若い頃から住んでいるその街のことも話した。 
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