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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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ナジミの塔

<ナジミの塔>

リュカの過去話に目を真っ赤に腫らす程泣いてしまった若者3人と、そんな事気にもせず歌いまくりモンスターを寄せまくるリュカ達の一行は、洞窟を抜けナジミの塔の1階まで到達する事が出来た…半日以上使って…
外には黄昏が訪れ、アルル達も疲労のピークに達した為、体を休ませる事に意見は一致した。

「う~ん…何処か身を寄せて休める所は無いかな?」
元気だけは有り余っているリュカが率先して塔の1階部分を探索して行く。
すると、また地下へと下りる階段があり、その先から人の気配が漂ってくる。
もしかしたらバコタが言っていた老人が住んで居るのかと思い、リュカは3人を抱き抱えるように連れ込んだ。

「いらっしゃい」
しかし、其処に居たのは老人と呼ぶにはまだ早い、中年の男性が一人…
にこやかな顔でリュカ達の到来を歓迎する。
「………あの~…ここは何ですか?」
「ナジミの塔特別施設の宿屋だ!お一人2ゴールドでいつでも大歓迎だ!」
「失礼を承知で聞きますが…何でこんな所で経営を?」
さすがのリュカも慎重に質問を続ける…

「良い質問ですねぇ!」
ミスター・ニュースか貴様は!と言うツッコミをぐっと我慢するリュカ。
「此処ならライバル店もなくて良いと思ったんだけど…ライバル店どころか客自体が居ないんだよね!盲点だったよ」
《ヤバイ、コイツ馬鹿だ!まともに相手しない方がいい!》

「大変ですね…4人泊めてもらえますか?」
「もちろんだとも!4人で8ゴールド。前払いで良いかい?」
「食事は………期待しない方が良いですよね?」
「馬鹿にしちゃいけないよ!こう見えても若い頃は料理人を目指して修行したんだ!周りは海に囲まれているし、庭では野菜も作ってるんだ!私の料理だけを目当てに来る客も居るくらいなんだよ!」
《じゃぁ普通に町で経営してもやっていけるだろうに…》

「へー…じゃぁ、食事付きでお願いします。…あと幾ら払えば?」
面倒事を嫌うリュカは突っ込まない。ただ流すのみである。
「大丈夫!宿泊料に入っているから」
ウィンクする店主に苦笑いのリュカ…
ともかくは疲れを癒す事が出来るのはありがたい…



思いがけずベットで睡眠をする事の出来たアルル達は、朝から元気にナジミの塔攻略へ出立。
「あの宿屋…料理の腕前は一級品だったね」
リュカの感想に全員頷く。
「絶対、営む場所…間違えてるよね!」
またも全員頷く。


さて気を取り直してナジミの塔攻略!
この塔は2階以上の階に外壁が存在せず、吹き曝しの空間が存在する。
強烈な海風吹き込むそのエリアは、大変危険で気を抜くと外まで放り出されそうになる。
3人共リュカにしがみつく様に塔内を移動して行く。

「しかしハツキは結構胸が大きいね!今度、直に見せてもらいたいよ!」
リュカ以外の男性が発した言葉なら、間違いなくハツキの鉄拳が炸裂していたであろう。(意外にハツキは腕力があるのだ!)
しかしリュカの発言となると対応が変わる。
更に体を押し付けリュカの腕に胸を押し当てる。
程なく風の吹き込まない空間へ入りアルルとウルフがリュカから離れる。

しかしハツキはリュカの腕にしがみついたまま離れない。
「…あの…ハツキさん?…離れて…」
「でも…リュカさん、オッパイ好きでしょ!?」
「うん。大好きだよ!でもね…今は歩きづらいから…離れて…」
そしてハツキも、渋々離れる…
リュカに責任は取れるのでしょうか………………?


『フロッガー』や『人面蝶』と言ったモンスター達と幾度も戦闘をし、アルル達は最上階へと到達した。
其処には一人の老人が…
狭いが整頓された綺麗な部屋…
老人が一人で暮らしているとはいえ、明るい内装の部屋。

リュカは思わず叫ぶ。
「何だ此処!何でこの塔は人気なんだ?そんなに暮らし易いのか?」
「ふぉふぉふぉ…人嫌いの老人からすると暮らし易い事この上ないぞ!」
老人はリュカの発言に気分を害した風もなく、楽しそうに笑い出す。
「あの、ご老人…実は…」
アルルが意を決して老人に話しかける…が、
「これじゃろ!」
アルルの言葉を聞く前に、懐から1本の鍵を取り出しアルルに見せる。

「儂は夢でお前さん達に盗賊の鍵を渡すのを見たんじゃ…ほれ、持って行くが良い」
「ありがとうございます」
「うむ。礼はいい…早う世界を平和にしてくれ…」
アルルは力強く頷くと老人の元を後にする。
これで魔法の玉を手に入れれば、世界へ羽ばたく事が出来る!
打倒バラモスという目標へ近付く事が出来る!
アルル達の決意は強まった!
アルル、ハツキ、ウルフ、3人はそれぞれ強まった決意を胸に、塔を下りて行く…
リュカは…面倒事に首を突っ込んだ事に少々後悔をしている…
何でこの男がもてるのか些か疑問である?



<レーベ>

バン!
「爺!約束通り盗賊の鍵を取り戻してきたぞ!玉よこせ!」
勢い良くドアを叩き開け不躾に叫ぶリュカ…
「騒がしいのぉ~…ほれ、魔法の玉ならそこの箱の中に入っとる。勝手に持って行け!」
そう言い顎で部屋の隅にある箱を刺す老人。

アルルは箱に近付き開けようとする…が、開かない!鍵がかかっている。
「あの!開かないんですが!」
「鍵がかかったままじゃ開く訳が無かろう!開けて取り出せ!」
「………あの…鍵は?」
「何じゃ!?取り戻したんじゃ無いのか?それで開けてサッサと立ち去れ!」

「ん?ちょっと待て爺!それじゃ何か…この鍵が無かったら魔法の玉を取り出す事が出来なかったのか!?」
「それがどうした!?」
「だったら最初から言えよ!『鍵を盗まれて魔法の玉を渡せないんですぅ~』って!」
「ふん!どっちでも同じじゃろ!魔法の玉も手に入ったんじゃ、サッサと去れ!目障りじゃ!」
「このクソ爺~…言われんでも立ち去るわ、ボケェ!ほれ、鍵返すよ!」
リュカは老人の目の前に盗賊の鍵を晒す。
「いらんわ!元より世界を救う者達に渡すつもりで造ったんじゃ!持ってけ、馬鹿ガキ共!」
「………爺さんアンタ………」
リュカに先程までの剣幕はなく、老人を見つめる。
「もう用は無いじゃろ!こんな所で時間を潰してないでサッサと世界を平和にして来い!」
アルル達は老人に追い出されるように家から出る。

「あのお爺さん…結構良い人…みたいですね…」
ハツキの感想にリュカは、
「口が悪い、ムカつく!」
そう少し笑いながら答える。

随分と回り道をしたが、やっと魔法の玉を入手した一行。
これでいざないの洞窟の奥へ入る事が出来る…はず。
世界へ羽ばたける事を信じて、今日はレーベの宿屋で疲れを癒す。
リュカを除いて…
…あの男は今夜もコッソリ、アリアハンへ戻っていた…
そして夜は更け、朝が到来する…



 
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