レーヴァティン
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第七十五話 霧の都その十三
「あの人にはね」
「アーサー王の腹違いのお姉さんだったな」
「そうよ、あの人は魅力的だったけれど」
「俺も好きだぜ」
「あら、そうなの」
「何ていうか妙に憎めないいや好きになるんだよな」
そうした不思議な魅力のあるキャラクターだというのだ、そのモリガン=ル=フェイというキャラクターは。
「円卓の騎士達を苦しめるけれどな」
「謀略も使ってね」
「不思議と邪悪さとかないんだよな」
「アーサー王を愛していたからよ」
「憎しみつつもな」
「その中で人間として動いているからよ」
「だから不思議と好きになるんだな」
それがこのモリガンの魅力であろう、アーサー王の姉として彼を愛しつつもそうしつつも憎み計る。人間の二面性を描いたキャラクターなのだ。
「あの人は」
「そう、それでね」
「あの人にはならないんだな」
「魅力的でも」
このことは事実でもというのだ。
「私はね」
「魔女にはならないか」
「ええ、ならないわ」
決してと言うのだった、双葉も。
「目指すはあくまでガンダルフとマーリンよ」
「そして二人みたいにか」
「あんた達と一緒に戦うから」
双葉は久志に明るい声で告げた。
「安心してね」
「ああ、こっちこそな」
「あと私の神の道具はね」
「それは何なんだ?」
「これよ」
こう言って一本の杖を出した、それは如何にも魔術師が持っている様な古い樫の木で作られた杖だった。
「マーリンの杖よ」
「その本人のか」
「ええ、そうよ」
まさにそれだというのだ。
「私の魔力を引き上げてくれて気力も凄い勢いで回復させてくれるのよ」
「そんなにいいものなんだな」
「ええ、この杖のお陰でね」
「闘技場の時みたいにか」
「強い術をふんだんに使えるの」
そうなっているというのだ。
「お陰でね」
「あんな格闘みたいな闘い方も出来るんだな」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「あの闘い方は闘技場仕込みだから」
あの場で闘ってそうして身に着けたというのだ。
「神の道具のお陰じゃないわよ」
「そうなんだな」
「戦術自体はね」
「あくまであんたオリジナルか」
「幾ら魔力が高くなって強力な術をふんだんに使える様になっても」
「それが戦術に影響してもか」
「決めたのはね」
戦術それ自体をというのだ。
「私自身だから」
「闘技場仕込みか」
「そう、私の戦術はね」
「魔術師にしては珍しい戦術だったけれどな」
それでもとだ、久志も話した。
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