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レーヴァティン

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第七十五話 霧の都その十二

「方言位の違いでね」
「やっぱりそれあるよな」
「英語といっても色々だから」
 方言のその違いがあるというのだ。
「とはいっても関西弁と鹿児島弁位の違いはないわ」
「鹿児島弁はまた極端だろ」
「昔の鹿児島弁みたいでもないから」
「そっちはもっと凄いだろ」
 昔の鹿児島弁についてはだ、久志は眉を顰めさせてそのうえで双葉に話した。
「あれ暗号だろ」
「実際にその意味でも使われていたわね」
「余所者に会話がわからない様にする為にな」
 実際にそうした目的であそこまで独特の言語になった、二十一世紀になると喋られる人はごく稀になっているが。
「ああなっていたよな」
「あそこまでじゃないから」
「アメリカ英語もわかってか」
「イギリス英語もね」
「そっちもか」
「わかるわよ、むしろね」
 双葉はこうも言った。
「日本の古典を原語で読むより」
「日本語のか」
「英語で読む方がすらすら読めたりするし」
「それ本当かよ」
「正直言って源氏物語なんかね」
 古典の中でもとりわけ文章が難解なこの作品よりはというのだ。
「英語で読む方がいいわよ」
「読めるのかよ」
「そう言われてるし実際にね」
「読んでみてか」
「そう思ったわ」
 双葉自身もというのだ。
「そうしたものだから」
「凄い話だな」
「それで私はファンタジー小説が好きで」
「英語の原文でもか」
「読んでるわよ、指輪物語もね」
 ファンタジーの代表作と言っていいこの作品、双葉が先程も挙げたもののうちの中にあったがまた出したのだ。
「英語でね」
「凄いな」
「凄くないわよ、だから私英文科だから」
「専門か」
「だから別に凄くないから」
 英語を専門的に学んでいるだけあってというのだ。
「特に驚くものじゃないわよ」
「そんなものか」
「ええ、それでこっちの世界では魔術師で」
「実際に魔術使ってるんだな」
「そうよ、理想はガンダルフよ」
 双葉は久志に笑ってこの魔術師の名前を出した。
「あの偉大な魔術師よ」
「俺もそのキャラは知ってるよ、指輪物語の主要人物だな」
「そうよ、主人公の一人よ」
 そうまで言っていい存在だとだ、双葉は久志に笑って話した。
「魔術師といえばこの人かマーリンでしょ」
「マーリンはアーサー王の軍師だったな」
「この人も目指しているのよ」
「じゃあひょっとして」
「闘技場にいたけれど」
 それでもととだ、双葉は久志にここでも笑って話した。
「軍師も目指しているから」
「そっちの勉強もしているんだな」
「こちらの島の兵法書もかなり読んできたわ」
「本当にマーリン目指してるんだな」
「そうよ、一流の魔術師はね」
 まさにというのだ。
「術だけじゃなくて」
「兵法も出来ないと駄目か」
「ガンダルフも軍師的ポジションだったし」
 一行のリーダー格であると共にだ、その秀でた知力によって仲間達に知恵を授けることもしていたのだ。
「だからね、私もよ」
「ガンダルフやマーリンみたいにか」
「なるわ、ただしね」
「ひょっとしてあの人の名前出すか?」
「モリガン=ル=フェイにはならないから」
 この人物にはとだ、双葉は笑って話した。 
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