戦国異伝供書
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第十三話 青と赤と黒とその十
「相手が相手じゃ」
「武田家なので」
「そこからじゃ」
「攻められて」
「そして軍勢全体がな」
織田家のそれがというのだ。
「敗れる」
「だからですな」
「それでじゃ」
まさにというのだ。
「お主もそうせよ」
「くれぐれも」
「お主は殿が言うと聞くからのう」
柴田も盛政に対して述べた。
「昔から」
「ううむ、殿に言われますと」
とかく頭に血が上りやすく何かあると勝手に動きたがる盛政でもだ、柴田もこのことには頭を悩ませているのだ。
「それがしもです」
「聞くか」
「そうせずにいられませぬ」
盛政にしてもというのだ。
「ですから」
「そうじゃな、ではな」
「それでは」
「うむ、ではじゃ」
まさにとだ、柴田も言った。
「お主はじゃ」
「殿の言う通りに」
「迂闊に前に出るでない」
「そうさせて頂きます」
「ではな」
「他の者も同じじゃ」
信長は盛政だけでなく他の諸将にも忠告した。
「迂闊に前に出るな、そしてじゃ」
「守りを固め」
「そうしてですな」
「戦いですな」
「負けぬことですな」
「そうじゃ。そして戦はな」
信長はさらに話した。
「これで終わりではないぞ」
「上杉ですか」
安藤が言ってきた。
「あの家もまた」
「どうもな」
「動きますか」
「武田を退けてもな」
「次はですな」
「そうじゃ、あの家との戦にもなる」
上杉謙信ともというのだ。
「その時もな」
「迂闊に動けぬ相手だからこそ」
「勝手は許さぬ」
断じてというのだ。
「守りを固めて戦うのじゃ」
「では布陣も」
「武田は騎馬隊で来る」
それで攻めて来るというのだ。
「だからな」
「こちらは守りをしかと固めた布陣で」
「鉄砲と長槍、弓矢も使ってな」
「守り抜く気で、ですな」
「戦うのじゃ」
布陣についてもというのだ。
「あの家についても」
「守る戦ですな」
「うむ、外でな」
「そしてその戦で退ける」
「今はな、そうしようぞ」
「それがいいかと」
大谷も言ってきた。
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