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レーヴァティン

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第七十三話 出発その十一

「俺はそうだったな」
「それで皆もかな」
「そうじゃないか?」
「そうかな」
 淳二は久志の話を聞いて一同を見回した、すると誰もが無言で頷いた。淳二はそれを見て仲間達に言った。
「今はね」
「ビールもか」
「飲もうね」
「そうだよな、しかしな」
「しかし?」
「この村からまずはマルセイユだけれどな」
 久志はビールの注文を考えつつ自分達の旅の話もした。
「山脈越えたしな」
「まだ距離はありますが」
 それでもとだ、良太が言ってきた。
「しかしです」
「道は楽だよな」
「地図を見るとそうです」
「そうか、山場は越えたか」
「文字通り」
 山脈こそが山場というのだ、つまり旅で辛い場所ということだ。
「越えたので」
「後は楽か」
「マルセイユまでは」
「それは何よりだな、じゃあな」
「はい、今日はここで休んで」
「この村でな、そしてな」
「朝はですね」
「マルセイユに向けて発つか」
 そうしようとだ、久志は良太にも話した。そしてだった。
 実際にビールを注文して飲んだ、そのビールを一口飲んでだった。久志は唸ってそのうえで言った。
「本当に強いビールだな」
「おいらの言った通りだね」 
 淳二が久志に笑って応えた、彼は今もビールを飲んでいる。
「このビール強いね」
「ああ、流石にワイン程じゃないけれどな」
「結構来るよね」
「俺達が起きた世界のストロング何とか位だな」
 その強さはとだ、久志は自分達の世界の酒の名前を出して表現した。日本にある缶の発泡性の酒のことだ。
「これは」
「だからくるよ」
「そして味もいいな」
「そうだね、じゃあね」
「今からビールも飲むか」
「それで肉料理もね」
「そっちも食うか」
「そうしていこうね」
 淳二は久志に応えつつパイを食べた、それは牛肉のパイだったがそれの味もよかった。そしてその味も楽しみつつまたビールを飲むのだった。


第七十三話   完


                  2018・7・8 
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