繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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03.過去語
ー双子と王様ー
過去語ー双子と王様ー 七
「……で、貴方達は私を殺したいんじゃ無かったんですか?」
フランの奇妙な宣言から一日。琴葉はフランの隣で、アリサとユリアに話し掛けていた。
「「あ」」
「忘れてたんですか。まぁ、嫌な所を見せてしまいましたからね」
優雅に紅茶を飲んで寛ぎながら、琴葉は話す。白い外套は脱ぎ、代わりに黒い外套を羽織った彼女を、「人間だから」と言って虐めたり、「殺すべき相手だから」と言って襲い掛かってくる構成員達は一人も居なかった。
「貴方達の種族の者を殺し、構成員を殺して、そして此処で治療して貰って、面倒を見ても貰って居る何て、普通有り得ないじゃ無いですか」琴葉は疑問符を浮かべながら、小首を傾げる。「白猫から引き抜いて、黑猫に入れたいのは分かりますが、少々不利益の方が上回っているのでは?」
「否、利益の方が多いさ」フランは琴葉の肩を引き寄せ、耳元に口を寄せる。「先ず一つめ。君が居ると私は嬉しい。二つめ、君は誰も"殺していない"。だから、沢山借りを作って、殺されたことに成っている者達を生き返らせる事が出来る。ね? 利益の方が多い」
「……バレてましたか」
琴葉が指をパチンと鳴らす。アリサとユリア、そしてフランが其れを不思議そうに眺めていると、数十秒後。
「お、お前っ……生きてたんだな!!」
「よかった……もう会えないかと………!」
「お姉ちゃん!! ……よかったぁ」
廊下が一気に騒がしくなる。窓から下を見ると、其処には沢山の人外が。
「私が殺した人の命は、私が管理しています。今回の場合、要らない奴の命を消して、代わりに蘇らせました。なので、人口は変わりませんよ。まぁ、人間と人外の比率は変わったかも知れませんが。良かったですね」
琴葉はそう言って部屋を出て行く。アリサとユリアがその後を追って部屋を出る。
次の日、黑猫内に琴葉の姿は無かった。
◇ ◆ ◇
「お前か! 俺達の仲間を殺しやがったのは!!」
「幹部のクセに、何で構成員を殺すの!? 復讐のつもり!!?」
「お前は役立たずだ! 人の命を軽々消していく"死神"だ!!」
「死んじゃえ……死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ!!」
「お前が必要な奴なんて、此の世の何処にも居ないさ!」
「手前は死ぬべきなんだよ! 殺してやる!!」
―――痛い。蹴られて、殴られて、其処が痛い。
「おい、釘とハンマー持って来い!! 先ずは地面に固定してやる」
―――痛い。掌と脚を釘で固定された。手元が狂って、指が潰れたかも知れない。
「嗚呼、そうね……次は沢山ナイフで刺してあげましょ?」
―――痛い。顔以外の色々なとこ、ナイフが刺さってる。
「あ、折角だけど、綺麗な顔も潰さなきゃ!」
―――痛い。目が開けられない。
「最後に仕上げな~! ガソリンとライター持って来~い!!」
―――痛い。熱い。
「あはははは!! 死神退治完了!!」
何時からだっけ。
「帰ろうぜ! 首領に報告しよう!!」
何時から私は。
「早く休も!」
私は可笑しくなったっけ。
「あ~疲れた疲れた!!」
可笑しくなった? ……否。
「………え? 嘘」
元々かな?
「な、何でお前生きて……!?」
「はいバイバイ」
肩を二回叩くと、男は後ろに倒れ、泡を吹いて気絶する。
「よし、お前等。此奴等を片付けてくれる?」
手を二回叩くと、後ろから沢山の気配。
「「「御意」」」
此の場に居たいじめっ子共は瞬殺され、直ぐに掃除される。
「いーの? 主」
「首領なら、もっとキツイ目に遭わせてから殺すと思ったのに」
前方から、グレースとラルが近付いてくる。
「いーのいーの。だって、面倒臭いじゃない。さっさと此処を片付けて、お前等は居るべき場所へ帰りなさい」
傷は能力で治した。
「主も気を付けてねー!」
「心配する必要は無いと思いますが」
"軍"も引いた。
「あ、コト!!」
「如何為て勝手に抜け出したの……!」
丁度アリサとユリアが迎えに来たようだ。
「嗚呼、一寸お散歩が為たくなってね」
元の姿に戻った花畑の真ん中で、私は彼女等へ向けて微笑んだ。
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