繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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03.過去語
ー双子と王様ー
過去語ー双子と王様ー 一
前書き
此処から時間が戻ります。
――――――一年後。
"人外"と呼ばれる種族が支配する地の中心に聳え立つ、四つの超高層ビルの一つの最上階に、彼等は居た。
周りの目を気にせずに廊下を走り、二人の少女は躊躇いも無く、目の前に迫った大きな扉を押し開ける。そして、切れた息を整えながら、彼女等は部屋の主に言った。
「ねぇ……明日なんだよねぇ……!」金髪の少女、アリサは目を輝かせる。ずっと楽しみに待っていた、心の中でそう付け足す。
「嗚呼、そうだよ。だから、今日二人には休暇を与えたじゃ無いか………」部屋の主、フランは目を通していた書類を離し、むすっとした表情を浮かべる。明日万全の状態で望めるようにって考えてあげたのに、心の中でそう付け足す。
「私は止めました……よ?」銀色の少女、ユリアは小首を傾げる。私だって楽しみで落ち着いていられないけど、心の中でそう付け足す。
此処はフランが首領をする、人間を殺すことと、人外を守ることを目的とされた、黒い正義の組織、"黑猫"の拠点。拠点は、此の首領室があるビルを残り三つのビルが囲むように並んでいて、それぞれのビルの最上階には、黑猫の幹部が居る。此の場所が一体何処なのか、把握している者はおらず、此の拠点は人外や黑猫の構成員以外は、誰にも見付けることは出来ない。
そんな黑猫には、今日アリサの様に舞い上がっている者は珍しくなかった。
明日は待ちに待った襲撃の日。人間の、人外を殺すことと、人間を利用したり、実験したりして守ることを目的とされた、白い悪の組織、"白猫"の拠点を襲撃し、沢山の人間を殺す任務が決行される日なのだ。嬉しくない者は居ない。
基本、人外には人間の約十三倍もの力が備わっている。なので、とんでもない失態を犯さない限りは死ぬことは無い。更に、構成員達はこの日のために訓練は沢山したので、とんでもない失態を犯したとしても、屹度乗り越えてしまうだろう。
なので、勝ちが約束された様な戦いに興味は無いと言う者も居たり、久し振りに人間の血を吸えると舞い上がっている者も居たり。祭の様に騒ぎながら、構成員達は武器の点検を為ていた。
そして、アリサとユリアは其れを抜け出してきたのだ。
「君達、武器の点検は終わってるのかい?」
「終わってるに決まってるじゃない! もう傷一つ残ってないくらいピッカピカに為てあげたわ!」
「私もっ……綺麗に出来ましたよ?」
笑みを浮かべる三人は、其のまま窓辺にある机で、小さな御茶会を為て楽しんだと言う。
後書き
…………短いですね。すいません。
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