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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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69.最後に笑うのは誰?

<エビルマウンテン>
ティミーSIDE

僕は本当に伝説の勇者なのだろうか?
さっきのゲマ戦で、僕は焦り失敗をしてしまった。
勇者などと言う大役は僕には務まらないのでは…
お父さんが伝説の勇者なら…天空の武具を装備出来ていたのなら、既にこの世は平和になっていたかもしれない。
このまま魔王の所に行っても、僕は足手纏いにしかならないだろう…
ハァ~…憂鬱だ…

「どうしたの、ティミーちゃん?」
僕が一人で落ち込んでいると、マーサ様が心配して話しかけてくれた。
正直言って『お祖母ちゃん』って呼びづらい!
だって…全然お祖母ちゃんじゃ無いんだもん…凄く…若い…
お母さんより少し年上くらいにしか見えない!

「お腹痛いの?どうしたの?大丈夫?」
俯き悩んでいた為、余計に心配させてしまった様だ。
「ううん…何でもないよ、マーサ様」
「………そんな他人行儀な呼び方しないで『お祖母ちゃん』って呼んでいいのよ」
「そ、そんな!マ、マーサ様は若くて美しいから…その…『お祖母ちゃん』だなんて…呼べないよ!」
僕は恥ずかしくて下を向いてしまう…

「まぁ!まぁまぁまぁ!!リュカ、ちょっと聞きましたか!お前の息子はとても素直で正直者の良い子ですね!」
「当然です!僕の子ですから!!」
「そうですよぉ、マーサ様!リュー君の息子なんですから、女性を口説くなんて日常生活の一部ですよぉ」
え!?
く、口説いてなんてないよ!!

「あ、あの…スノウさん…何も「スノウ!それは間違っている」
ピエールがお父さんを庇った!?
「な、何よ!ピエールちゃん!」
「リュカは普段は女性を口説いてはいない!普段口説いている様に感じるのは、リュカが優しいからそう感じるのだ」

「さすがピエール!付き合いが長いだけあってよく分かっている」
お父さん嬉しそうだなぁ~
「リュカが本気で口説いたら、先程のティミーの台詞など日常挨拶ですらない!」
挨拶でもないって…どういう事?
「ちょ、ピエールさん…フォローしてくれるのでは…?」
「経験者として言う!リュカに本気で口説かれたら100%落ちる!」
力強い言葉だ…
「何故ならば…私は昨日落ちた!奥様が現れなければ、最後まで終えていただろう!」
え!?
何?
最後って何!?

「まぁ!リュカ…アナタって子は…」
お父さんが動揺している…
「お母さん心配だわぁ~。…アナタは王族なのだから…あっちこっちで子供を作ると、後々問題になるわよ」

「「「「「………………………」」」」」
皆黙る。
「…リュカ…何故…黙るのですか?」
お父さんの目が泳いでる。
「リュカ…一つ質問しますが、お前には子供が何人居るのですか?」
「………です」
「………聞こえません」
「……人です」
「リュカ…」
「…4人です」
「………数が…合いませんね…」
マーサ様が僕とポピーを目で数える。
2人しかいない…

「…皆、それぞれの母親と共に居ます…」
「まったく…ビアンカさん、苦労をかけますね」
「(ニコ)惚れた私が悪いんです!」
(クスクス)(ゲラゲラ)(くっくっくっ)
みんなに笑いが巻き起こる。

「お母さん、フォローになってないわ!」
ポピーがお腹を抱え笑いながら、お母さんにツッコミを入れる。
「あら~…ダメな妻ね、私は。夫のフォローも出来ないなんて」
右頬に手を当て困り顔のお母さん。

みんなこれから最終決戦なのに、そんな雰囲気感じさせない…いいなぁ…この感じ。
「ティミー。お母さんからの忠告よ。お嫁さんにするのなら、フォローの出来る娘を選びなさい。そんな娘が居なければ、フォローの必要のない男になりなさい。」
其処彼処から「違いない!」とか「しかし血は争えんから」とか…笑い声と共に飛び交っている。

「ティミー…お父さんからも忠告だ。」
お父さんが負けじと発言してくる。
「お母さんの言う事には従った方がいい。お父さんも反抗せずに魔界に来なければ、こんな酷い目に遭わずにすんだのに…」
お父さんはめげないなぁ~…
僕は涙を流して笑っていた。
あんなに憂鬱だった気分が嘘の様に消え去っていた。

ティミーSIDE END



<エビルマウンテン>
マーサSIDE

「母さん、ありがとう。」
リュカが小声で礼を言ってきた。
「ティミーちゃん、元気になって良かったわね」
リュカは嬉しそうに頷く。

ちゃんとお父さんをやっている様ね。
伝説の勇者などと言ってもまだ子供…
私達大人が正しく導かなければ、心が折れてしまう。
それにしても、皆良い人達みたいね。
あれ程の強敵との戦闘後でも、笑いを作り出す事が出来るなんて…リュカは素晴らしい仲間に巡り会えたみたい。

でも、ミルドラースには敵わないでしょう…
その時が来たら…私が命に代えても…
「母さん…その必要は無いよ!」
リュカが心を読んだかの様に語りかけてきた。
「僕達は皆、生きて故郷へ帰るつもりなんだ。誰一人として命を犠牲にしない…母さんも、そのつもりでいてもらうよ」
子はいずれ親を超える日が来る…
この子は既に私やパパスを超えている様だ。
私が母として出来る事は、息子達を信じて祈る事だけみたい…

「で、母さんに協力して欲しい事があるんだ。内密に」

リュカが私にだけ、もしもの時用のミルドラース戦を告げてきた…



私に緊張が走る!
この子は…リュカは、そんな事まで考えているのか!?
私に出来るだろうか!?
大役を任され…私に果たせるだろうか!?
悩んでも始まらない。
息子に救われた命…息子の指示で戦うまで!

マーサSIDE END



 
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