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諦めないことが

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第三章

「また我が国が脅かされるのだ」
「だからこの国に来て」
「国と民を育て強くさせてだ」
「貴方の国を護りますか」
「そうだ、我が国の為だが」
 男はこのことを正直に言った。
「しかしだ」
「それでもですか」
「この国を変えることは約束しよう」
「民もですか」
「どうして救わずにおられるか、我が国の為でも」
 それでもというのだ。
「この国も民も酷いものだ、義を見てせざるは」
「勇なきなりですね」
「そうだ、総督閣下も言われている」
「総督閣下ですか」
「総督府の主であられる、かつては我が国の首相であられたが」
 それでもというのだ。
「今はこの国に入られてな」
「総督としてですか」
「この国を治めに入られている」
「そうですか」
「その方も言われている」
 義を見てせざるは勇なきなりと、というのだ。
「だからだ」
「この国と民をですか」
「救わねばならない、君達は強くなってだ」
「この国をですね」
「守ってくれるか」
 ソライに顔を向けて問うた。
「今は私達がそうしているが」
「そう出来ればいいのですが」
 ソライは今の国と民のことを考え暗い顔で答えた。
「わからないです」
「力がないからか」
「残念ですが」
「そうか、では鍛え学びだ」
「そうして」
「強くなれ、今より私はそのはじめとしてだ」
「これまでの領主様をですか」
 ソライは男に問うた。
「先程言われた通りに」
「追い出して悪事に関わった者全てをだ」
 まさにというのだ。
「都に引っ立てる」
「その為に来られたのですね」
「過ちは正す」
「そして国も民も」
「救おう」
「左様ですか、では私も」
 ソライは男の言葉を聞きその言葉に偽りの気持ちはないとわかった、それでだった。
 男にだ、こう言った。
「これよりです」
「私と共に戦うか」
「そうしていいでしょうか」
「目覚めたか、ならだ」
「それならですね」
「私と共に来るのだ、そしてだ」
「この国と民をですね」
 男に対してまた問うた。
「今から」
「救うのだ」
 男は腰のサーベルを抜いた、それを合図にしてだった。
 何処から彼等と同じ服を着た者達が一斉に出て来た、皆毅然とした顔でその手には銃剣を持っている。
 その彼等の前に立ってだ、男はソライに言った。
「行くぞ」
「そのうえで」
「過ちを正す」
 男は自ら先頭に立ち領主の屋敷に押し入った、黒い服の者達は恐ろしいまでに強く領主達を瞬く間に縛り上げて村人達の驚きの中彼等を都に引き立てていった。ソライは彼等の強さに驚くだけだったが。
 隣国の将校だと名乗った男、領主達を都に引き立てていこうとする彼に対してこう申し出たのだった。 
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