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オズのエリカ

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第一幕その八

「明日にした方がいいわ」
「そうね。今出発してもね」
 アンも周りを見ました、見ればもうお日様の光はすっかり赤く弱いものになっていました。影も随分と長いものになっています。
「都を出てすぐに休憩になるわね」
「エメラルドの都からカドリングに入らないうちにね」
「だったらね」
「別に急がないから」
 そうした用件でもないからというのです。
「だからね」
「ええ、それじゃあね」
「出発は明日ね」
「今日は王宮でゆっくりしてね」
「お風呂に入って夕食を楽しんで」
「そうしてね」
 オズマはアンににこりと笑って言いました。
「是非ね」
「わかったわ。それじゃあね」
「ええ、貴方達もね」 
 オズマはジョージ達五人にも声をかけました。
「休んでね」
「はい、それじゃあですね」
「今日はこれからお風呂に入ってですね」
「御飯も食べて」
「そうしてゆっくりして」
「ぐっすりと寝ればいいんですね」
「そうよ。そして明日にね」 
 ぐっすりと寝た後でというのです。
「アン達と一緒に出発してね」
「そうさせてもらいます」
 五人はオズマににこりと笑って答えました、そうしてでした。
 このことも決めてでした、この日は皆で一緒に王宮で楽しみました。お風呂に入って美味しいご馳走も堪能してです。
 そうしていました、ですがここでエリカが五人に言いました。
「明日からカドリングに行くけれど」
「うん、カドリングに行くのは」
「最近暫くなかったわね」
「そうよね」
「だから楽しみだよ」
「あの国に行くことが」
「私が思いつかなかったらよ」
 五人を連れて行こうと、というのです。
「あんた達はカドリングに行けなかったわ」
「そうだね、それに君との冒険もね」
 ジョージが誇らしげに言うエリカに突っ込みを入れました。
「暫くなかったね」
「そういえばそうね」
 エリカも言われて気付きました。
「私あんた達と冒険に出るの久し振りね」
「そうだよね」
「あるにはあったけれど」
「久し振りなのは確かだね」
「そうよね。そう思うとよく思い付いたものだわ」
 エリカは自分に感心する様にして言いました。
「猫の国を建国しようって」
「そう思わないとだね」
「今回の冒険のこともなかったし」
「僕達と一緒に行くことも」
「なかったわ。いや思い付かないとね」
「本当にそうだね。これは神様のお導きだね」
「いえ、あたしが思い付いたからよ」
 だからと言うエリカでした。
「それでなのよ」
「僕達がカドリングに一緒に行くことになったっていうんだ」
「そうよ」
「ううん、何かその考えはね」
「駄目だっていうの?」
「ちょっと身勝手じゃないかな」
「そうよね」
 恵梨香もこう言います。
「前から思っていたけれどね」
「エリカは我儘なのよね」
 ナターシャはエリカを困ったお顔で見ています。
「どうにも」
「そうだよね、猫はそうした生きものにしても」
 神宝もエリカにどうかと言います。
「エリカはちょっと際立っているよ」
「ここまで我儘で自分本位なのは」
 最後にカルロスも言います。 
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