英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇
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外伝~想定外(イレギュラー)の戦い~中篇
~メンフィル帝国領・ユミル地方・ユミル山道~
「燃やせ――――フーリッシュレッド!―――――フレアバタフライ!!」
「エアリアルダスト!!」
「シルバーソーン!!」
「クリスタルエッジ!!」
戦闘開始時レクター少佐は一定時間アーツの駆動時間をゼロにするブレイブオーダーを発動した後アーツをすぐに発動し、軍人達もレクター少佐に続くように次々とアーツを発動させ、様々なアーツがロイド達を襲ったが
「聖なる加護を――――セイクリッドフォース!!」
ルファディエルが発動と同時に体力や傷、闘気や霊力を回復させ、魔法攻撃を吸収する特殊結界を味方に付与するブレイブオーダーを発動させてレクター少佐達が放った怒涛のアーツを無効化した。
「チッ、攻撃アーツを無力化するとか厄介なブレイブオーダーだな………―――――ラ・フォルテ!!」
ロイド達にアーツが効かない事に舌打ちをしたレクター少佐は支援アーツで自身や軍人達の攻撃力を上昇させた。
「さてと、今度はこっちの番ね……!ヤァァァァッ!」
「逃がすか……!」
「排除する。」
「散開しろ!」
サラは反撃に雷撃が宿った弾丸を連射するクラフト―――鳴神で、ロイドはトンファーから2丁の銃に変えた後怒涛の連射で広範囲を攻撃するクラフト―――クイックドロウで、フィーはクラフト―――クリアランスで反撃し、反撃されたレクター少佐達はそれぞれその場からすぐに散開して二人の反撃を回避した後それぞれ反撃行動に移り、ロイド達も本格的な攻撃に移り始めた。
「「…………」」
「あの二人は機動力を奪えば脅威度は激減する!足を狙え!」
「撃て――――ッ!」
疾風のような速さで距離を詰めてくるリーシャとフィーを見た軍人達は二人の足を止めるために二人の足元に銃撃をしたが
「遅い――――シュッ!」
「ガッ!?」
フィーはクラフト―――サイファーエッジで回避すると共に反撃を叩き込んで一撃で敵の一人を戦闘不能に追いやるとともに気を失わせ
「ハッ!――――爆雷符!!」
「な―――どこに―――ガハッ!?」
リーシャは人間離れした跳躍で一瞬で軍人の背後をとって起爆するクナイを投擲し、リーシャが投擲したクナイに命中して至近距離で爆裂を受けた軍人も一撃で戦闘不能になるとともに気を失った。
「クッ、包囲して同時攻撃で制圧するぞ!」
一瞬で仲間たちを無力化されたことに唇を噛みしめた軍人達はそれぞれ素早い動きでリーシャとフィーを包囲したが
「ポイっと。」
「しま―――」
「F(フラッシュ)グレネードだ!目をつぶれ!」
「ミッションスタート。」
フィーがFグレネードを投擲してFグレネードによる閃光で自身の包囲網を崩して包囲の範囲外へと逃れた後クラフト―――エリアルハイドによって戦場から完全に気配を消した。
「クッ、小賢しい真似を―――なっ!?」
「い、いない……どこに消えた!?」
Fグレネードの光が止んだ後目を開けた軍人達はフィーを探したがフィーが見つからない事に混乱した。
「行くよ―――――」
「しま――――」
「側面からだと!?」
するとその時いつの間にか軍人達の側面に回り込んだフィーが神速の速さで無数の斬撃を一瞬で軍人達に叩き込んだ後軍人達の中心地に足を止め
「シルフィード――――ダンス!!」
「ぐああああああっ!?」
「ぎゃああああっ!?」
「いっちょあがり。」
双銃剣で怒涛の銃撃を放ちながら全身を回転し、縦横無尽に舞い踊り、戦域を蹂躙するフィーのSクラフト―――シルフィードダンスを受けた軍人達は全員戦闘不能にになるとともに気を失って地面に倒れ、Sクラフトを放ち終えたフィーは静かな表情でつぶやいた。
「一斉にかかれっ!」
「喰らえ――――」
一方リーシャを包囲した軍人達は一斉にリーシャに襲い掛かったが
「来い――――」
「な――――」
リーシャは鉤爪で襲い掛かってきた軍人達全てを捕らえるとと共に自分の元へと引き寄せ
「斬!」
「ぐあっ!?」
「ががっ!?」
自分の元へと引き寄せた軍人達を斬魔刀で薙ぎ払って怯ませた!
「月影の蝶のように…………」
クラフト―――龍爪斬によって軍人達が怯んでいる隙にリーシャは”銀”の隠行術であるクラフト―――月光蝶で自身の姿を完全に消し
「き、消えた……」!?」
「隠行術か……!互いの背中を合わせて周囲を警戒し、奇襲に備えるぞ!」
リーシャが消えた事に驚いた軍人達はそれぞれ互いに背中合わせになって周囲を警戒した。すると様々な方向から軍人達に向かって突如現れた暗器や符が軍人達へと襲い掛かったが軍人達はそれぞれの武装で襲い掛かる攻撃を叩き落したり回避したりしたが、軍人達が囮の攻撃に夢中になっている間にリーシャは木の頂上へと移動して大技を発動した!
「我が舞は夢幻…………去り逝く者への手向け………眠れ……銀の元に!縛!!」
「バカな……上からだと!?」
「不味い、か、身体が……!」
リーシャが放った無数の鉤爪は軍人達を完全に拘束し、軍人達を完全に拘束したリーシャは跳躍して勢いよく拘束した軍人達目がけて突撃して斬魔刀で一閃した!
「滅!!」
「ガハッ!?」
「つ、強すぎる………」
「こ、これが伝説の暗殺者の力だという……の……か……!?」
リーシャの奥義(Sクラフト)の一つ――幻月の舞をその身に受けた軍人達はそれぞれ戦闘不能になると共に気を失って地面に倒れた!
「………………」
「させるか!」
「今回の件にはしてやられたが、せめて一矢は報いてくれる……!」
魔術の詠唱を開始したルファディエルを見た軍人達は詠唱を妨害するためにルファディエルに襲い掛かったが
「ヒャッハー!雑魚が吾輩を無視すんなよ?そらあっ!」
「ガッ!?」
「グアッ!?」
ギレゼルが魔槍でまるで死神が命を刈り取るかのような斬撃を放つクラフト―――狩リ取ル鎌斬を軍人達に叩き込んで怯ませ
「この………っ!」
「喰らえ!」
「無駄無駄ァッ!」
更に後方から放たれた銃撃は器用に魔槍を振るって銃弾をそれぞれ斬った。
「さて、今度はこっちの番だぜぇっ!ヒャッハー!!」
「グアッ!?」
「ががっ!?」
そしてギレゼルは自分が先ほど攻撃した近接戦闘用の武装の軍人達に暗黒の力を纏った槍で怒涛の突きを叩き込み、ギレゼルのクラフト―――流黒の闇槍によって戦闘不能になった軍人達はそれぞれ気を失った。
「天よ、罪深き者達に裁きの雷を――――天雷!!」
「ぎゃああああっ!?」
「があああああっ!?」
その時詠唱を終えたルファディエルが魔術を発動すると後方の軍人達の頭上から巨大な神聖な稲妻が落ち、稲妻をその身に受けた軍人達は悲鳴を上げた後気絶した。
「―――今だ!喰らえっ!」
ルファディエルの魔術が終わると味方に攻撃している間にルファディエルの背後へと回った軍人の一人が自身の得物でルファディエルに襲い掛かったが
「――――護法蓮!!」
「な――――ガッ!?-―――グッ!?」
背後からの奇襲に全く気付いていなかったように見えたルファディエルは突然振り向くと同時に聖杖から障壁をさせて奇襲攻撃を防ぐと共に障壁を炸裂させて軍人を吹き飛ばし、吹き飛ばされた軍人は近くの木にぶつかり、そのまま気を失った。
「クッ、ならばこれはどうだ!?」
「反撃の後にできる隙は埋められまい!」
ルファディエルが奇襲攻撃を行った軍人への反撃を終えると今度はルファディエルの側面に回っていた軍人達がルファディエル目がけて一斉射撃を行ったが、なんとルファディエルは軍人達に視線を向けることなく聖杖を持っていないもう片方の手から光の魔力弾を軍人達目がけて無数に放った。無数の光の魔力弾はルファディエルへと襲い掛かる銃弾全てを相殺し、更に残った魔法弾は軍人達へと襲い掛かかった!
「ぐっ!?」
「がっ!?」
「バ、バカな……視線すら向けていないのに、正確な位置まで把握しているだと……!?」
ルファディエルが放った魔術――――連射光衝撃弾・広範囲を受けた軍人達はそれぞれ怯んだり驚いたりしたが
「くかかかっ!”軍師”のルファディエルからすれば、自分に攻撃が集中する事くらい戦闘が始まる前からお見通しだぜ!」
「な――――」
「しま――――」
「早い―――――」
「くかかかっ!ノッてきたぜ~!ヒャッハー!」
目にも止まらぬ速さで強襲してきたギレゼルに驚いた後すぐに迎撃態勢を取ろうとしたが、ギレゼルは自身がまるで狂戦士になったかのような狂気に身を任せた魔槍の乱舞を叩き込んできたため、軍人達はギレゼルの乱舞をまともに受けて怯み
「これでフィナーレだぜぇっ!」
「ぐああああああっ!?」
「む、無念………」
「クソ、忌々しい異種族共が……っ!」
狂気に身を任せて暴れまくる乱舞技であるギレゼルのSクラフト―――狂気乱舞を受けて戦闘不能になった軍人達は次々と意識を失って地面に倒れ
「その『異種族達の国であるメンフィルに2度も大敗北した』にも関わらず、未だ異種族の事をそんな風に見ている時点で、2度も”敗北”を味わったにも関わらずエレボニアは全く変わっていない証拠ね。」
「くかかかっ!まさに”負け犬の遠吠え”だな!くかかかっ!」
軍人の一人が気を失う寸前に呟いた言葉を聞いたルファディエルは呆れた表情で溜息を吐き、ギレゼルは暢気に笑っていた。
「セイッ!これはオマケよ!」
「ぐあっ!?」
「ががっ!?」
サラは上空からの強化ブレードによる奇襲から銃の追撃の連携攻撃をするクラフト―――絶光石火で奇襲し、サラの奇襲を回避しきれなかった軍人達は怯んだ
「くっ、舐めるな!?」
「自ら敵の懐に入ったこと、後悔するがいい……っ!」
一方サラのクラフトの回避に成功した軍人達の一部は銃でサラに反撃をしようとしたが
「おおおおおおっ!」
「そこだっ!」
「ぐっ!?」
「がっ!?」
ロイドがクラフト―――ブレイブスマッシュで、ガルシアが闘気を纏った突進―――ベアタックルを叩き込んでサラへの反撃を妨害した。
「一斉ではなく、左右に分かれて波状攻撃をしかけて休む暇を与えるな!-―――――ホーリーブレス!!」
「「「イエス・サー!」」」
一方レクター少佐はアーツで軍人達の傷を回復した後指示をし、指示を受けた軍人達はそれぞれロイド達に攻撃を仕掛けた。
「「喰らえ!」」
「オラアっ!」
「「ぐああっ!?」」
左右から同時に襲い掛かった軍人達はガルシアが高速回転しつつ相手の内蔵を蹴りつける軍用格闘技――――大回転旋風脚で吹き飛ばすと共に無力化し
「この……っ!」
「まだだ……っ!」
「させるか!」
「甘いわよ!」
「があああああっ!?」
「ぐあっ!?」
攻撃を放った後にできる僅かな隙を逃さないかのように他の軍人達が攻撃を仕掛けたがガルシアをカバーするようにロイドがトンファーに電撃を流し込んで攻撃するクラフト―――スタンブレイクで攻撃してきた軍人の一人を気絶させ、サラは強化ブレードを力強く振るって軍人を吹き飛ばし、吹き飛ばされた軍人は近くの木に頭をぶつけて意識を失った。
「ったく、たった3人で戦闘のプロフェッショナルの”軍人”達による波状攻撃を防ぐどころか、反撃で瞬殺するとか化物かよ……仕方ねぇな。-――――燃えちまえ!!」
あっという間に制圧された軍人達を見たレクター少佐は疲れた表情で溜息を吐いた後気を取り直してロイド達に向かって突撃し炎を纏わせた細剣をロイド達目がけて何度も振るった!
「「「!!」」」
レクター少佐が放った炎の魔剣による攻撃のクラフト――――レーヴァテインをロイド達はそれぞれ散開して回避し
「ヤァァァァッ!」
「っと!」
サラが反撃にクラフト―――鳴神をレクター少佐に放ち、次々と襲い掛かる雷の銃弾をレクター少佐は軽やかに回避し
「エネルギー充電――――チャージショット!!」
「あぶねっ!?」
背後から放たれたロイドの双銃によるエネルギーを溜めた事によって集束したエネルギー弾を振り返ることなく側面に跳躍して回避した。
「クク、秘書の割にはあのマクダエル市長の元第一秘書のように中々いい動きをするじゃねえか、”かかし男”よおっ!」
「……っ!!」
そこにガルシアが体重を乗せた重い蹴りのクラフト―――バーストキックで襲い掛かり、ガルシアの蹴りをレクター少佐は細剣で受け止めたが、受け止めた瞬間衝撃によって後退させられた。
「切り刻め――――」
「しま――――」
「紫電一閃!!」
「ぐっ!?」
レクター少佐がガルシアの攻撃を受け止めている間にレクター少佐の背後へと回ったサラは旋風を巻き起こしてレクター少佐を旋風へと引き寄せた後そのまま一閃し、サラのクラフト―――紫電一閃を受けたレクター少佐はダメージを受けると共に態勢を崩し
「崩れたわよ!」
「俺も続くっ!セイクリッド――――クロス!!」
「がっ!?」
レクター少佐が態勢を崩すとサラとリンクを結んでいるロイドが追撃にトンファーを十字に交差させ、収束し裂帛の気合とともに光の力と闘気を炸裂させるクラフトで追撃をした。
「一気に片を付ける!光と闇よ……今こそ俺に力を!ハァァァァ……ッ!!」
レクター少佐への追撃を終えたロイドはレクター少佐を迅速に制圧するために左右のトンファーにそれぞれ光と闇の魔力を纏わせ
「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「チッ………!」
光と闇の魔力を纏わせた猛ラッシュをレクター少佐に叩き付け、レクター少佐は細剣で猛ラッシュをさばいたが
「おおおおおっ……!」
「グッ!?」
猛ラッシュの後に放たれたロイドの高速回転攻撃により空へと打ち上げられ、回転攻撃によって空へと跳躍したロイドはトンファーによる渾身の一撃をレクター少佐に叩きつけた!
「スパイラル――――ネメシス!!」
「カハッ!?]
「あたしの本気――――見せてあげるっ!ハァァァァァァッ!!ハッ!セイッ!」
ロイドの渾身の一撃によってレクター少佐が地面に叩き付けられた瞬間、サラは全身に凄まじい紫電を纏ってレクター少佐に突撃し、斬撃と銃撃の乱舞攻撃をまさに雷光のような速さで叩き込んでレクター少佐から一端距離を取り
「ノーザン―――――ライトニング!!」
「があああああっ!?………ったく、好き放題に攻撃を叩き込みやがって……俺はサンドバッグじゃねぇぞ……!?そら――――」
凄まじい速さでレクター少佐目がけて突撃すると共に強化ブレードで一閃するとレクター少佐の足元から衝撃波が炸裂した!二人のSクラフトを受けてもなお、レクター少佐は闘志を失っておらず、状況を立て直すためにオーブメントで治癒アーツを発動したが、何も起こらずアーツは不発に終わった。
「?――――!チッ、さっきの紫電の奥義(Sクラフト)を受けた際にショートしちまったのか……!?」
アーツが不発に終わった事に困惑したレクター少佐は自身のARCUSⅡがショートしてオーブメントの機能を失っていることに気づくと表情を歪めた。
「クク、アンタのその運の良さは戦いには通じなかったようだな?」
「!?げっ―――――」
するとその時背後からガルシアの声が聞こえ、声を聞いたレクター少佐は慌ててガルシアから距離を取ろうとしたが
「そこだっ!―――でいっ!」
「不味-――――」
ガルシアはレクター少佐を捕まえて空高くへと放り投げ
「捕まえたぜ……!落ちろ――――ッ!!」
「ガッ!?クソ………ここまでか………」
更に自身が跳躍して落下して来るレクター少佐を捕まえて地面に叩きこみ、ガルシアの奥義(Sクラフト)―――――キリングドライバーをまともに受けたレクター少佐は立ち上がろうとしたが、今までの戦闘によるダメージでもはや立ち上がる気力もなく、地面に膝をついた!
「あいたた………ったく、人をサンドバッグのように好き放題にボコりやがって………”紫電”や”キリングベア”はともかく、バニングス達にまでここまでボコられるような恨みは買っていないはずだぜ………?」
「あら~、戦闘前にあたしは”遊撃士”として仕方なく本気を出すといったことをもう忘れるなんて、どこか頭の打ちどころが悪かったのかしら~?」
疲れた表情で溜息を吐いて呟いたレクター少佐の言葉に対して笑顔を浮かべて答えたサラの答えにロイド達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ハハ…………ですが、俺たちの相手をする羽目になった少佐達の方はまだマシだったと思いますよ?」
「そうですよね。むしろオルディス方面から撤退しようとしている人達の身を心配すべきですよね?何といっても、オルディス方面の最終防衛ラインはあのエステルさん達なんですから。」
我に返ったロイドとリーシャはそれぞれ苦笑しながら答え
「おいおい………ってことはクレア達はよりにもよって”ブレイサーオブブレイサー”達にボコられてんのかよ…………この様子だと、クロスベルに潜入していた連中は全員クロスベル(お前達)に捕まるだろうな…………」
「フフ、貴方達エレボニアは結社と比べればまだマシな方だと思うわよ?なんせヴァイスハイト皇帝はメンフィル同様結社の残党を”本気で抹殺する為に”自身の伝手を使って異世界から”最強の助っ人”を呼び寄せたのだから。」
「くかかかっ!”最強”ではなく、”最凶”と呼ぶべきなんじゃねぇのか、あいつ等の場合。」
二人の話を聞いて表情を引き攣らせたレクター少佐は疲れた表情で溜息を吐き、レクター少佐に指摘したルファディエルの話にギレゼルは暢気に笑いながら同意した。
「結社の残党……蛇狩り………”異世界からの最強の助っ人”………――――――!なるほどな。”嵐の剣神”達はエレボニア(俺達)ではなく、結社の残党――――いや、クロスベルに敵対する勢力に対する切り札か。ったく、1年半前のクロスベル動乱時同様、なんでクロスベルにはそんなとんでもない戦力が集まるんだよ………まさかとは思うが、”空の女神”まで再び降臨してクロスベルに味方させる算段もついているのか?」
ルファディエルとギレゼルの話を聞いてすぐに察しがついたレクター少佐は疲れた表情で溜息を吐いた後表情を引き締めてロイド達に問いかけた。
「あら、それこそ言葉通り”女神のみぞ知る”、だと思うわよ?1年半前の”空の女神”の降臨、降臨した彼女達が私たちに手を貸してくれたことに関してはヴァイスハイト皇帝達もそうだけど、私たちにとっても完全に想定外だったもの。」
「くかかかっ!1年半前の動乱後に”家族旅行”をしていたあの女神なら、『今度は新婚旅行をするために夫と一緒にまた来ちゃいました♪』とか言って、また来るかもしれないな♪」
「何それ。”空の女神”ってそんなハチャメチャな性格なの?」
「ハア………もしその話が本当なら、ある意味納得するわ………なんせあのエステルの先祖なんだからね………」
(アハハ………1年半前の件や空の女神の性格を考えると、本当にありえるかもしれませんから、洒落になっていませんよね?)
「(ああ………)―――――さてと。サラさん、フィー。打ち合わせ通り、少佐に関してはお願いします。」
ルファディエルとギレゼルの話を聞いたフィーはジト目になり、サラは呆れた表情で溜息を吐き、苦笑しているリーシャにささやかれたロイドは疲れた表情で頷いた後気を取り直してサラとフィーに視線を向けた。
「ん。」
「ええ、後は任せておきなさい。君達も後処理、頼むわね♪――――ほら、とっとと立ちなさい!帝都のあんた達の親玉の所までこのあたし達が送ってあげるんだから、ありがたく思いなさい。」
「何……?一体どういうことだ、バニングス。お前達は俺達を一斉検挙する為に俺達とやりあったんじゃねぇのか?」
フィーと共に近づいてきたサラに立ち上がるように促されたレクター少佐は困惑の表情でロイドに問いかけた。
「ええ、勿論倒れている彼らに関してはクロスベルへと連行する人達を今ルファ姉が呼んでいる最中で、彼らが到着次第少佐以外の人達を連行してもらいます。――――ですが少佐に関しては2年前の”競売会”で受けた”借り”がありますから、その”借り”を返すために少佐とオルディス方面の”子供達”だけ帰国させることをヴァイスハイト陛下達に頼んだ所、了承を得られましたので少佐達はサラさん達―――――エレボニアにいる遊撃士達に”保護”されて帝都まで帰還してもらいます。」
「………何?ということはクレア達も………………―――――”六銃士”の連中は一体何を考えていやがるんだ?幾ら何でも特務支援課(お前達)の私情だけで、倒れている連中よりも価値がある俺達をわざと見逃すなんて判断、絶対しねぇだろ。」
「クク、”鉄血”の懐刀であるあんたなら、あんたを含めた”鉄血の子供達を完全に無力化する絶好の機会がありながら、わざと見逃す理由”についても大体察しがつくんじゃねぇのか?」
ロイドの話を聞いて戸惑いの表情をしているレクター少佐にガルシアは不敵な笑みを浮かべてレクター少佐に問いかけた。
「…………――――!まさか………オッサンに対する”挑発”――――いや、”宣戦布告”か………!?」
「…………ヴァイスハイト陛下からオズボーン宰相への伝言です。『せっかく1年半前はメンフィルやリィン達に免じて見逃してやったのに、再びクロスベルに手を出そうとするのならば、今度は慈悲もなく貴様等の愚かな野望を徹底的に叩き潰し、貴様を必ず冥府へと送ってやろう。』―――――以上です。」
「………………」
ロイドからヴァイスのオズボーン宰相に対する伝言を聞いたレクター少佐は呆け
「―――――そしてこれは俺達”特務支援課”のオズボーン宰相に対する伝言です。貴方が『小さな意志』と評した俺達特務支援課の――――クロスベルの”炎”は絶対に貴方達のような全てを飲み込もうとする”炎”には呑ませはしない!」
「ロイドさん………」
「おおおおおっ!ここでお前達自身の”宣戦布告”もするとは、ハーレム以外にもあの”好色皇”の影響を受けたんじゃねぇのか?くかかかかっ!」
「まあ、今の様子からすると女性関係以外にも間違いなく影響を受けているでしょうね………」
「クク、まさか警察のガキ共がたった二年で”鉄血宰相”に宣戦布告までする程成長するとはな…………それでこそ、俺達”ルバーチェ”を終わらせた奴等だ。」
更にロイドは決意の表情でトンファーをレクター少佐に突き付けて宣言し、ロイドの宣言にリーシャが微笑み、ギレゼルが興奮している中通信を終えたルファディエルは苦笑し、ガルシアは満足げな笑みを浮かべてロイドを見つめ
「………………なるほどね。さすがはあたし達の代わりにリィンと共に学び、育った連中って所かしら。」
「………ん。ノリや雰囲気もまるでⅦ組(わたし達)を見ているみたいだね。」
サラとフィーもそれぞれ静かな笑みを浮かべて見守っていた。
「………………」
一方ロイドに宣言されたレクター少佐はロイドの背後にロイドを始めとした”特務支援課”の面々に加えてロイド達同様”特務支援課”のメンバーであったリィンとセレーネの幻影が映っている幻覚を見た事によって呆けた表情で黙り込み
「クク……ハハ………ハハハハハッ!まさか俺どころかオッサンに対してそこまで大きく出る発言をするようになるなんて、随分と成長したじゃねぇか、バニングス――――いや、特務支援課(お前達)は。この様子じゃシュバルツァーもその内、オッサンとの”縁”を完全に切ってオッサンに対して”宣戦布告”をするかもしれねぇな。」
やがて口元に笑みを浮かべて大声で笑い、感心した様子でロイドを見つめた。
「それ以前に”縁”もなにも、リィン自身、とっくに”鉄血宰相”を父親だと思っていないから、リィンと”鉄血宰相”の縁はとっくに切れているから、リィンも”鉄血宰相”に対して容赦はしないと思うけど。」
「そうよねぇ~?一年半前の”煌魔城”でも、プリネ皇女達もいる目の前でリィンを利用すると堂々とバカな宣言をした鉄血宰相本人に向かって『俺は父さんたち――――シュバルツァー家の長男にして大恩あるメンフィル皇家に忠誠を捧げているメンフィル貴族の一人だ。例え血が繋がっていようと貴方の事は決して”親”と認めないし、貴方の思い通りに動くと思ったら大間違いだ!』って宣言して、内戦後のあんたや”鉄血宰相”の”要請”を無視し続けているものねぇ?」
「クク、なるほどな………シュバルツァーも既にオッサンに対して”宣戦布告”をしていたのか。―――――ヴァイスハイト皇帝陛下と”特務支援課”の宰相閣下に対する伝言、確かに承りました。――――そんじゃ、またな。」
ジト目のフィーと口元をニヤニヤさせているサラの話を聞いたレクター少佐は口元に笑みを浮かべた後立ち上がってロイドを見つめて恭しく礼をし、軽く手を振りながら下山し始め
「今回の件に関わらせてくれて、感謝しているわ♪ま、これからもエレボニア関連で色々厄介ごとがあるでしょうけど、君達も頑張りなさい。」
「じゃ、今度はⅦ組(わたし達)と特務支援課(あなた達)が全員揃って共闘する日が来る事を期待して待っているね。」
レクター少佐に続くようにロイド達に応援や別れの言葉を告げた二人はレクター少佐の後を追い始めたが
「――――フィー、紫電!もし団長やゼノ達に会うことがあれば伝えておいてくれ。猟兵を西ゼムリア大陸から締め出すも同然の”西ゼムリア同盟”が調印され、”オルランド”の一族も俺のように猟兵稼業から退いた”闘神の息子”を除けば全員死に絶えた今の時代に”猟兵”はもはや”時代遅れの存在”だ。時代に取り残されたくなければ、俺のように”猟兵”を辞めた方がいいぜってな。」
「………………」
「ガルシア………ん、わかった。次、団長たちに会うことがあれば、伝えておく。」
ガルシアに声を掛けられ、サラはフィーと共にガルシアの伝言を聞くと立ち止まって重々しい様子を纏って黙り込み、フィーは辛そうな表情をした後すぐに気を取り直してガルシアへと振り向いて頷いた後レクター少佐の後を追い始めた。
その後ロイド達は気絶した軍人達を拘束し、ロイド達の連絡を受けて山道に到着したクロスベル軍・警察に拘束した軍人達の身柄を引き渡し、シュバルツァー男爵夫妻に別れの挨拶をした後ユミルを去ってルーレへと向かった―――――
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